診断の手引き

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鉄芽球性貧血

てつがきゅうせいひんけつ

sideroblastic anaemia

告示番 号48
疾病名鉄芽球性貧血
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診断方法

1)疾患概念

骨髄における環状鉄芽球の出現を特徴とする貧血である。

2)診断基準

環状鉄芽球が骨髄総赤芽球の15%を超える(FAB分類)血清フェリチンの増加、不飽和鉄結合能減少を認める。上記に加えて遺伝子変異が確認できたものが、遺伝性鉄芽球性貧血の確定診断となる。家族歴は遺伝性鉄芽球性貧血を強く疑う所見である。
遺伝性で最も頻度の高いXLSAは小球性低色素性の貧血で男児発症を特徴とする。環状鉄芽球の定義:核周囲1/3以上にわたって10個以上の鉄顆粒が存在(新WHO分類)

3)診断のフローチャート

遺伝性鉄芽球性貧血は、まず鉄芽球の存在、若年発症、遺伝性により疑い、遺伝子解析により診断を確定する。家系の中での遺伝性が明らかでない場合は、造血細胞以外の組織で遺伝子の変異を確認し、胚細胞変異であることを確認する。遺伝性鉄芽球性貧血の中ではALAS2変異によるXLSAの頻度が最も高いため、男児で、臨床上ビタミンB6に反応性を認めた場合は積極的に遺伝子解析を行う。XLSAの場合は変異ALAS2たんぱく質の活性低下をin vitroで確認することも可能である。

4)鑑別診断

以下に挙げる後天性鉄芽球性貧血を除外する必要がある。

後天性鉄芽球性貧血

  • 薬剤性、中毒性: 抗結核薬、鉛等
  • アルコール性:ヘム合成酵素障害、VitB6欠乏
  • 骨髄異形成症候群

通常、後天性鉄芽球性貧血は発症年齢、遺伝性から鑑別が可能であるが、成年発症のXLSA症例も報告されていることから(3)、時に遺伝性との鑑別を必要とする。アルコール性、薬剤性の後天性鉄芽球性貧血については、生活歴、治療歴から鑑別する。薬剤性はVit B6に対する拮抗作用を原因として発症することが多い。Vit B6はALAS2の補酵素であるため、その欠乏により、ALAS2活性が低下し鉄芽球性貧血の発症に至る。抗結核薬のINHはその代表的な薬剤である。多系統の血球に異常が認められる場合や染色体異常が認められる場合は骨髄異形成症候群の診断となるが、貧血のみで染色体異常がなく、ビタミンB6に反応する場合は、遺伝子解析を考慮するべきである。

参考文献

  1. Rudles RW, Falls HF. Hereditary (?sex-linked) anemia. Am J Med Sci. 1946;211:641-57
  2. Cotter PD , Rucknagel DL, Bishop DF. X-linked sideroblastic anemia: identification of the mutation in the erythroid-specific δ-aminolevulinate synthase gene (ALAS2) in the original family described by Cooley. Blood. 1994; 84;3915-24.
  3. Furuyama K, Harigae H, Kinoshita C, Shimada T, Miyaoka K, Kanda C, et al. Late-onset X-linked sideroblastic anemia following hemodialysis. Blood. 2003 ;101:4623-4.
  4. Bergmann AK, Campagne DR, McLoughlin EM, Agarwal S, Fleming MD, Bottomley SS, et al. Systemic molecular genetic analysis of congenital sideroblastic anemia: evidence for genetic heterogeneity and identification of novel mutations. Pediatr Blood Cancer. 2010; 54:271-278.
  5. 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業. 特発性造血障害に関する調査 研究班. 特発性造血障害疾患の. 診療の参照ガイド. 平成22年度改訂版. 平成23(2011 )年3月www.jichi.ac.jp/zoketsushogaihan/all.pdf

当該事業における対象基準

治療で継続的に補充療法若しくは除鉄剤の投与を行っている場合又は造血幹細胞移植を実施する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会
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