診断の手引き

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血栓性血小板減少性紫斑病

けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう

thrombotic thrombocytopenic purpura

告示番 号20
疾病名血栓性血小板減少性紫斑病
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診断方法

他に原因を認めない血小板減少を認めた場合、TTPの可能性を考え、下記に従い診断する。

確定例

以下の1または2を満たす場合は、TTPと診断する。

  1. ADAMTS13活性が5%未満に著減していること
  2. 抗ADAMTS13自己活性中和抗体(インヒビター)が陽性であれば後天性TTPと診断する。陰性であればUSSと診断する(補足1)
  3. ADAMTS13活性に関わらず、下記の特徴的な五徴候すべてを認めること(補足2)

疑い例

ADAMTS13活性に関わらず、五徴候のうち血小板減少とMAHAを認める場合は、下記の除外すべき疾患などを鑑別して他の疾患が否定できれば、TTP疑い例とする。ただし、TTP疑い例でも直ちに治療が必要な症例が存在する。

五徴候の目安

  1. 血小板減少
  2. 血小板数が10万/ul未満。1-3万/ulの症例が多い。
  3. 細血管障害性溶血性貧血(microangiopathic hemolytic anemia: MAHA)
  4. MAHAは、赤血球の機械的破壊による貧血で、ヘモグロビンが12g/dl未満(8-10g/dlの症例が多い)で溶血所見が明らかなこと、かつ直接クームス試験陰性で判断する。溶血所見とは、破砕赤血球の出現、間接ビリルビン、LDH、網状赤血球の上昇、ハプトグロビンの著減などを伴う。
  5. 腎機能障害
  6. 尿潜血や尿蛋白陽性のみの軽度のものから血清クレアチニンが上昇する症例もあり。ただし、血液透析を必要とする程度の急性腎不全の場合は溶血性尿毒症症候群(HUS)が疑われる。
  7. 発熱
  8. 37℃以上の微熱から39℃台の高熱まで認める
  9. 動揺性精神神経症状
  10. 頭痛など軽度のものから、せん妄、錯乱などの精神障害、人格の変化、意識レベルの低下、四肢麻痺や痙攣などの神経障害などを認める。

除外すべき疾患

  1. 播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)
  2. TTP症例では、PT, APTTは正常で、フィブリノゲン、アンチトロンビンは低下しないことが多い。く、FDP,D-dimerは軽度の上昇にとどまることが多い。DICの血栓は、フィブリン/フィブリノゲン主体の凝固血栓である。
  3. 溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)
  4. 腸管出血性大腸菌(O157など)感染症による典型HUSは、便培養検査・志賀毒素直接検出法(EIA)などの大腸菌の関与を確認する方法や抗LPS(エンドトキシン)-IgM抗体などで診断する。
    非典型HUSは“非典型HUSの診断基準”を参照のことすること(http://www.jsn.or.jp/guideline/ahus.php)。
  5. HELLP症候群
  6. HELLP症候群とは、妊娠高血圧腎症や子癇で、溶血(hemolysis)、肝酵素の上昇(elevated liver-enzymes)、血小板減少(low platelets)を認める多臓器障害である。診断は、Shibaiらの診断基準(文献4)によって行われるが、この基準ではTTPとの鑑別が困難である区別できない。この診断基準を満たし、かつ、妊娠高血圧症候群を合併している症例はHELLP症候群と診断し、それ以外をTTP疑い例とするのが無難であるが、正常血圧でもHELLP症候群を発症することがあるので注意する。
  7. Evans症候群
  8. Evans症候群では直接クームス陽性である。ただし、クームス陰性Evans症候群と診断されることがあるが、このような症例の中からADAMTS13活性著減TTPが発見されている。

補足

  1. 抗ADAMTS13自己抗体インヒビターがをベセスダ法で測定し、1 Bethesda単位/ml以上は明らかな陽性と判断できる。しかし、陰性の判定判断は必ずしも容易ではなく、USSの診断は両親のADAMTS13活性測定などを参考に行うが、確定診断にはADAMTS13遺伝子解析が必要である。
    USS患者の両親は、ヘテロ接合体異常であることからADAMTS13活性は30-50%を示す場合が多い。
  2. 後天性TTPには、基礎疾患が存在せず発症する特発性と、薬物投与関連、造血幹細胞や臓器移植関連、膠原病や悪性疾患に伴う症例、妊娠に伴う症例などの続発性が存在する。特発性の約7割の症例でADAMTS13活性が著減し、続発性では抗血小板薬チクロピジン関連や膠原病の一部を除いてADAMTS13活性が著減しないという特徴がある。

当該事業における対象基準

治療で補充療法、G-CSF療法、除鉄剤の投与、抗凝固療法、ステロイド薬の投与、免疫抑制薬の投与、抗腫瘍薬の投与、再発予防法、造血幹細胞移植、腹膜透析又は血液透析のうち、一つ以上を継続的に実施する(断続的な場合も含めておおむね6か月以上)場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会
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