診断の手引き

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微小血管障害性溶血性貧血

びしょうけっかんしょうがいせいようけつせいひんけつ

microangiopathic haemolytic anaemia; MAHA

告示番 号49
疾病名微小血管障害性溶血性貧血
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血栓性微小血管障害症(TMA)の診断方法

TMAの3主徴

クームス試験陰性のMAHA:破砕赤血球を伴う貧血、ハプトグロビン低、,LDH上昇、間接ビリルビン上昇などを伴う。
消耗性の血小板減少
微小循環障害による臓器障害

1.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

TMAの3主徴にさらに発熱、動揺性神経障害を加え、これらを古典的5徴候とする症候群である。
多くの場合後天性に生じるが、先天性素因に基づくものもある。
TTPに関しては、別項「血栓性血小板減少性紫斑病」を参照。

2.溶血性尿毒症症候群(HUS)

志賀毒素産生腸管出血性病原大腸菌(Shiga toxin-producing Escherichia coli : STEC)に起因するSTEC-HUSと、下痢症状を伴わない非定型HUS(atypical HUS : aHUS)に大別される。

大基準

  1. STEC-HUS
    1. 3主徴
      1. 溶血性貧血(破砕状赤血球を伴う貧血でHb 10 g/dL未満)
      2. 血小板減少(血小板数15万/μL未満)
      3. 急性腎傷害(血清クレアチニン値が年齢・性別 基準値の1.5倍以上。血清クレアチニン値は小児腎臓学会の基準を用いる
    2. 随伴症状
      1. 中枢神経:意識障害、痙攣、頭痛、出血性梗塞等
      2. 消化管:下痢、血便、腹痛、重症では腸管穿孔、腸狭窄、直腸脱、腸重積等
      3. 心臓:心筋傷害による心不全
      4. 膵臓:膵炎
      5. DIC
     
    参考1:
    溶血性貧血による LDHの著明な上昇、ハプトグロビン低下、ビリルビン上昇を伴うが、クームス試験は陰性である。
    参考2:
    血清O157 LPS抗体、便O157抗原や便志賀毒素の迅速診断検査、便からの腸管出血性大腸菌の分離等を確定診断の補助とする。

  2. aHUS
  3. 非定型溶血性尿毒症症候群 (aHUS)は慢性腎疾患を参照。

3.造血幹細胞移植後の血栓性微小血管障害症(SCT-TMA)

日本造血細胞移植学会において2種類の診断基準を採用している。

(1)北米BMT CTN毒性評価委員会のSCT-TMA診断基準

  1. 破砕赤血球の存在(強拡大1視野2個以上)
  2. LDH上昇(施設基準以上)
  3. 他に説明不能な腎障害、または神経学的障害の存在
  4. 直接、間接クームス試験陰性

(2)ヨーロッパEBMT Europian Leukemia NetのSCT-TMA診断基準

以下の5項目をすべて満たすこと。

  1. 末梢血中の破砕赤血球の増加(4% 超)
  2. 新規発症で、遷延性または進行性の血小板減少症(5万/μL未満、もしくは発症前の50% 以上の低下)
  3. 急速に出現し、遷延性のLDH上昇
  4. ヘモグロビンの低下、もしくは赤血球輸血の増加
  5. 血清ハプトグロビンの低下

当該事業における対象基準

血栓症の既往がある場合又は治療で抗凝固療法を行っている場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会
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