診断の手引き

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多発血管炎性肉芽腫症

たはつけっかんえんせいにくげしゅしょう

granulomatosis with polyangiitis; GPA

告示番 号5
疾病名多発血管炎性肉芽腫症
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診断方法

診断方法

A. 主要症候
  1. 上気道症状:鼻(膿性鼻漏、出血、鞍鼻)、眼(眼痛、視力低下、眼球突出)、耳(中耳炎)、口腔・咽頭痛(潰瘍、嗄声、気道閉塞)
  2. 肺症状:血痰、咳嗽、呼吸困難
  3. 腎症状:血尿、蛋白尿、急速に進行する腎不全、浮腫、高血圧
  4. 血管炎による症状
  5. ① 全身症状:
    発熱(38℃以上、2週間以上)、体重減少
    ② 臓器症状:
    紫斑、多関節炎(痛)、上強膜炎、多発性神経炎、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、消化管出血(吐血・下血)、胸膜炎
B. 主要組織所見
  1. 上気道、肺、腎の巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎
  2. 免疫グロブリン沈着を伴わない壊死性半月体形成腎炎
  3. 小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎
C. 主要検査所見

PR-3 ANCAが高率に陽性を示す

D. 診断基準

1. Definite GPA

  1. 上気道、肺、腎のそれぞれ 1 臓器症状を含めA. 主要症状の 3 項目以上を示す例
  2. 上気道、肺、腎、血管炎によるA. 主要症状の 2 項目以上とB. 主要組織所見1、2、3 の 1 項目以上を示す例
  3. 上気道、肺、腎、血管炎によるA. 主要症状の 1 項目以上とB. 主要組織所見1、2、3 の 1 項目以上及び PR-3 ANCA 陽性を示す例

2. Probable GPA

  1. 上気道、肺、腎、血管炎によるA. 主要症状の 2 項目以上を示す例
  2. 上気道、肺、腎、血管炎によるA. 主要症状の 1 項目以上及び、B. 組織所見1、2、3 の 1 項目以上を示す例
  3. 上気道、肺、腎、血管炎によるA. 主要症状の 1 項目と PR-3 ANCA陽性を示す例

E. 参考となる検査所見
  1. 白血球増加、CRPの上昇
  2. 血中尿素窒素、血清クレアチニンの上昇
F. 鑑別診断
  1. 上気道、肺の他の原因による肉芽腫性疾患(サルコイドーシス)
  2. 他の血管炎症候群(顕微鏡的多発血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)など
G. 参考事項
  1. 上気道、肺、腎のすべてがそろっている例を全身型、上気道、肺のうち単数もしくは 2 つの臓器にとどまる例を限局型と呼ぶ
  2. 全身型は上気道、肺、腎の順に症状が発現することが多い
  3. 発症後しばらくすると、上気道、肺の病変に黄色ブドウ球菌を主とする感染症を合併しやすい
  4. 上気道、肺の肉芽腫による占拠性病変の診断にCT、MRI、シンチ検査が有用である
  5. PR-3 ANCAの力価は疾患活動性と並行しやすい。稀にMPO-ANCA(P-ANCA)陽性を認める例もある

認定基準

上記D. 診断基準 のうち 1. Definite GPA (確実) あるいは 2. Probable GPA(疑い)、の基準を満たすものを主に認定する。
本認定基準は、典型的な組織所見を認めない例、ANCA陰性例など早期例あるいは非典型例が、認定の範疇に入ることを否定するもので無いことを附記する。

参考文献

  1. ANCA関連血管炎の診療ガイドライン (ANCA関連血管炎のわが国における治療法の確立のための多施設共同前向き臨床研究班 難治性血管炎に関する調査研究班 進行性腎障害に関する調査研究班) 2011年2月28日発行 ANCA関連血管炎の診療ガイドライン - Minds(http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/ANCA/anca.pdf)
  2. Ozen, S., et al. EULAR/PReS endorsed consensus criteria for the classification of childhood vasculitides. Ann Rheum Dis, 65(7), 936–941, 2006.
  3. Ozen, S., et al. EULAR/PRINTO/PRES criteria for Henoch-Schönlein purpura, childhood polyarteritis nodosa, childhood Wegener granulomatosis and childhood Takayasu arteritis: Ankara 2008. Part II: Final classification criteria. Ann Rheum Dis, 69(5), 798–806, 2010.
  4. Jennette, J.C., et al. 2012 Revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides. Arthritis Rheum, 69(5), 1-11, 2013.

当該事業における対象基準

治療で非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド薬、免疫調整薬、免疫抑制薬、抗凝固療法、γグロブリン製剤、強心利尿薬、理学作業療法、生物学的製剤又は血漿交換療法のうち一つ以上を用いている場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児リウマチ学会
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