診断の手引き

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高安動脈炎(大動脈炎症候群)

たかやすどうみゃくえん (だいどうみゃくえんしょうこうぐん)

Takayasu arteritis

告示番 号4
疾病名高安動脈炎
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診断方法

診断方法

A. 診断基準

1. Definite
以下を全て満たすもの

  1. 画像検査(DSA(digital subtraction angiography)、CT、MRA)において、大動脈とその主要分枝及び肺動脈に閉塞性あるいは拡張性病変を認める。
  2. 以下の所見のうち少なくとも 1つを認める。
    1. 脈拍欠損あるいは間欠跛行
    2. 上下肢血圧左右差あるいは上下肢血圧差
    3. 頸部、背部、腹部での血管雑音
    4. 高血圧
    5. 炎症反応(赤沈亢進、CRP上昇、白血球増多、γグロブリン増加)
  3. 上記の鑑別疾患が否定されている。

2. Probable
以下を全て満たすもの

  1. 造影CT 、造影MRI 、超音波検査、FDG-PETなどにおいて、大動脈とその主要分枝及び肺動脈に血管壁炎症所見を認める。
  2. 炎症反応(赤沈亢進、CRP 上昇、白血球増多、γグロブリン増加)を認める。
  3. 下記の鑑別疾患が否定されている。
B. 鑑別疾患

1 動脈硬化症、2 炎症性腹部大動脈瘤、3 血管型ベーチェット病、4 梅毒性中膜炎、5 先天性血管異常、6 細菌性動脈瘤

C. 画像検査による特徴
  1. 大動脈石灰化像:胸部単純エックス線写真、CT
  2. 胸部大動脈壁肥厚:胸部単純エックス線写真、CT、MRA
  3. 動脈閉塞、狭窄病変:DSA、CT、MRA
  4. 弓部大動脈分枝:
    限局性狭窄からびまん性狭窄まで
    下行大動脈:
    びまん性狭窄(異型大動脈縮窄)
    腹部大動脈:
    びまん性狭窄(異型大動脈縮窄)しばしば下行大動脈、上腹部大動脈狭窄は連続
    腹部大動脈分枝:
    起始部狭窄(腎動脈を含む)
  5. 拡張病変:DSA、超音波検査、CT、MRA
  6. 上行大動脈:
    びまん性拡張、大動脈弁閉鎖不全の合併
    腕頭動脈:
    びまん性拡張から限局拡張まで
    下行大動脈:
    粗大な凹凸を示すびまん性拡張、拡張の中に狭窄を伴う念珠状拡張から限局性拡張まで
  7. 肺動脈病変:肺シンチ、DSA、CT、MRA
  8. 冠動脈病変:冠動脈造影
  9. 多発病変:DSA
  10. 血管壁炎症所見:造影CT 、造影MRI 、超音波検査、FDG-PET
D. 診断上参考となる検査所見
  1. 炎症反応:赤沈亢進、CRP上昇、白血球増多、γグロブリン増加
  2. 貧血
  3. 免疫異常:免疫グロブリン増加(IgG、IgA)、補体増加(C3、C4)
  4. 凝固線溶系:凝固亢進(線溶異常)、血小板活性化亢進
  5. HLA:HLA-B52、B39
E. 症状
  1. 頭部虚血症状:めまい、頭痛、失神発作、片麻痺など
  2. 上肢虚血症状:脈拍欠損、上肢易疲労感、指のしびれ感、冷感、上肢痛
  3. 心症状:息切れ、動悸、胸部圧迫感、狭心症状、不整脈
  4. 呼吸器症状:呼吸困難、血痰
  5. 高血圧による症状
  6. 眼症状:一過性又は持続性の視力障害、失明
  7. 下肢症状:間欠跛行、脱力、下肢易疲労感
  8. 疼痛:頸部痛、背部痛、腰痛
  9. 全身症状:発熱、全身倦怠感、易疲労感、リンパ節腫脹(頸部)
  10. 皮膚症状:結節性紅斑
  11. 消化器合併症:非特異的炎症性腸炎
F. 診断上重要な身体所見

  1. 上肢の脈拍ならびに血圧異常(橈骨動脈の脈拍減弱、消失、著明な血圧左右差)
  2. 下肢の脈拍ならびに血圧異常(大動脈の拍動亢進あるいは減弱、血圧低下、上下肢血圧差)
  3. 頸部、背部、腹部での血管雑音
  4. 心雑音(大動脈弁逆流が主)
  5. 腎性高血圧
  6. 眼底変化(低血圧眼底、高血圧眼底、視力低下)
  7. 顔面萎縮、鼻中隔穿孔(特に重症例)
  8. 炎症所見:微熱、頸部痛、全身倦怠感

認定対象

A. 診断基準 のうち 1. Definite もしくは 2. Probable のいずれかを満たす場合。

参考文献

  1. 難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jp/entry/141
  2. 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2006-2007年度合同研究班報告) 血管炎症候群の診療ガイドライン Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 1253-1318, 2008
  3. Ozen, S., et al. EULAR/PRINTO/PRES criteria for Henoch-Schönlein purpura, childhood polyarteritis nodosa, childhood Wegener granulomatosis and childhood Takayasu arteritis: Ankara 2008. Part II: Final classification criteria. Annals of the rheumatic diseases, 69(5), 798–806, 2010.
  4. Jennette, J. C., et al. 2012 revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides. Arthritis and rheumatism, 65(1), 1–11, 2013.
  5. Ohigashi, H., et al. Improved Prognosis of Takayasu Arteritis Over the Past Decade. Circulation Journal, 76(4), 1004–1011, 2012.

当該事業における対象基準

治療で非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド薬、免疫調整薬、免疫抑制薬、抗凝固療法、γグロブリン製剤、強心利尿薬、理学作業療法、生物学的製剤又は血漿交換療法のうち一つ以上を用いている場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児リウマチ学会
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