診断の手引き

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シェーグレン(Sjögren)症候群

しぇーぐれんしょうこうぐん

Sjögren's syndrome

告示番 号7
疾病名シェーグレン症候群
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診断方法

以下により、小児期のシェーグレン症候群(SS)を診断する。

血液検査、唾液腺障害、涙腺障害について、検査結果を以下の様にスコアリングする

①血液検査データ(3ヶ月以上の間隔で基準を満たす場合にカウントする)

基 準スコア
IgG値年齢の基準値の97.5パーセンタイル以上*1
抗核抗体40倍 ~ 80倍1
160倍2
320倍以上3
リウマチ因子15.0 U/L 以上3
抗SS-A/Ro抗体 または 抗SS-B/La抗体 のいずれかオクタロニー法≧1倍、ELISA陽性基準以上6
*日本人小児の臨床検査基準値(日本公衆衛生協会 刊)による

②外分泌腺障害

A. 唾液腺
検 査基 準スコア
1. 口唇小唾液腺生検細胞浸潤を認めるが、フォーカス(導管周囲に50 個以上の単核球浸潤の浸潤)<1個 / 4mm21
フォーカスを4mm2に1個以上みとめる2
2. 耳下腺シアログラフィ*Rubin-Holt分類のstage ≧ 12
3. 唾液腺シンチグラフィ4大唾液腺のいずれか一つ以上に取り込み低下または分泌の低下あり1
4. 唾液分泌量の測定**サクソンテスト ≦ 2.0g/2分 または 安静時唾液分泌量 ≦ 1.5 mL/15分 または ガムテスト ≦ 10mL/10分1
*方法は、従来法およびMRIシアログラフィのいずれでもよい。
**唾液分泌量は、単独ではスコアをカウントしない。
B. 涙腺
検査と基準スコア
シルマーテスト≦ 5mm/5分 かつローズベンガルテストでvan Bijsterveld score ≧ 32
シルマーテスト≦ 5mm/5分 かつ蛍光色素試験で陽性2
ACRスコア(角膜・結膜の染色)* ≧ 32
*ACR クライテリアで採用されているリサミングリーンは、日本ではまだ保険適応がない。

判定

血清スコアの合計、および唾液腺スコアの合計、あるいは涙腺スコアのいずれか高い方により、以下の様に判定する。

Definite SS

  1. 涙腺スコアが 2、かつ血清スコアが 6 以上
  2. 唾液腺スコアが 2 以上、かつ血清スコアが 6 以上

Probable SS

  1. 唾液腺スコアが 1、かつ血清スコアが 4 以上
  2. 涙腺スコアが 2、かつ血清スコアが 2 ~ 5
  3. 唾液腺スコアが 2 以上、かつ血清スコアが 2 ~ 5

Possible SS

  1. 涙腺スコア 2、あるいは唾液腺スコアが 2 以上で、血清スコアが 1
  2. 唾液腺スコアが 1 で血清スコアが 1 ~ 3
  3. 涙腺・唾液腺スコアがいずれも 0 であるが、血清スコアが 4 以上

除外診断

ウイルス性疾患(流行性耳下腺炎、HCV, HIV、EBウイルス感染症など)、悪性腫瘍、サルコイドーシス、GVHD、頭頸部への放射線照射の既往、Stevens-Johnson症候群による後遺症としての唾液腺・涙腺障害

鑑別診断(一部の疾患は合併もあり得る)

他の膠原病、自己炎症性疾患、IgG4関連疾患、HTLV-1感染症、反復性耳下腺炎、線維筋痛症、慢性疲労症候群

参考条項

小児期のシェーグレン症候群(Sjo"gren症候群; SS)患者は、成人のSS患者にみられるような乾燥症状を呈することが少ない。
そこで、以下の様な症状、所見を認め、除外すべき疾患が否定的な患者においてはSSを考えて精査をすすめる。

シェーグレン症候群の存在を示唆する所見
  1. 臨床症状・臓器障害
    • 全身症状:発熱、倦怠感、リンパ節腫脹、朝のこわばり、原因不明の全身の疼痛
    • 腺外臓器症状:関節痛・関節炎、環状紅斑など皮疹、紫斑、甲状腺腫、レイノー症状
    • 腺症状:反復性耳下腺腫脹、う歯の増加、口腔の痛み、口内炎の反復、ラヌラ、繰り返す眼の発赤、眼の異物感・かゆみ
    • (問診で確認) 摂食時よく水を飲む、口臭、涙が出ない
    など
  2. 検査所見の異常 (期間を3ヶ月以上あけて、2回以上陽性)
    • 唾液腺腫脹のはっきりしない時期の唾液腺型アミラーゼ高値
    • 年齢における97.5パーセンタイル以上のIgG高値、あるいは高γグロブリン血症
    • 白血球減少、あるいはリンパ球減少
    • 赤血球沈降速度の亢進
    など
  3. 合併しやすい疾患
    • 橋本病、無菌性髄膜炎、間質性腎炎、血小板減少性紫斑病、ぶどう膜炎
    • 他の膠原病、特に全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、多関節型若年性特発性関節炎など
    • 線維筋痛症、慢性疲労症候群
    など

認定基準

血清スコアの合計、および唾液腺スコアの合計、あるいは涙腺スコアのいずれかが下記の基準を満たし、除外診断が行われた場合、認定対象とする。なお、唾液腺スコアと涙腺スコアはいずれか点数の高い方を採用する。

  • 涙腺スコアが 2、かつ血清スコアが 2 以上
  • 唾液腺スコアが 1、かつ血清スコアが 4 以上
  • 唾液腺スコアが 2 以上、かつ血清スコアが 2 以上

なお、以下の場合には、腺外臓器障害に対する治療が必要であり、シェーグレン症候群以外の疾患が否定的な場合には認定対象とする。

  • 涙腺スコア 2、あるいは唾液腺スコアが 2 以上で、血清スコアが 1
  • 唾液腺スコアが 1 で血清スコアが 1 ~ 3
  • 涙腺・唾液腺スコアがいずれも 0 であるが、血清スコアが 4 以上
註:
血液検査データは、感染症などによる一過性の上昇を鑑別するため、3ヶ月以上間隔をあけて2回以上陽性を確認することが原則であるが、腺外臓器障害により治療が必要な例においては、1回でも認定対象とする。その場合においても、鑑別診断を十分に行うことが必要である。

参考文献

  1. 藤林孝司・他:シェーグレン症候群改訂診断基準.厚生省特定疾患自己免疫疾患調査研究班平成10年度研究報告書.1999;135-138
  2. Vitali C, et al: Classification criteria for Sjögren’s syndrome: a revised version of the European criteria proposed by the American-European consensus group. Ann Rheum Dis 2002; 61: 554-558.
  3. Shiboski SC, et al: American College of Rheumatology classification criteria for Sjögren's syndrome: a data-driven, expert consensus approach in the Sjögren's International Collaborative Clinical Alliance cohort. Arthritis Care Res 2012; 64: 475-87.
  4. 冨板美奈子・他:小児シェーグレン症候群の臨床像.リウマチ1994;34:863-870
  5. Tomiita M, et al:The clinical features of Sjögren's syndrome in Japanese children. Acta Paediatr Japonica 1997;39:268-272
  6. 武井修治、加藤忠明:小児慢性特定疾患治療研究事業(小慢)のデータベースを利用した稀少膠原病の検討—小児シェーグレン症候群。 平成18年度厚生労働省科学研究費補助金分担研究報告書:20-23, 2007.
  7. 武井修治:小児シェーグレン症候群SSの病態と臨床像—成人SSとの異同を中心に 日本臨床免疫学会雑誌 33: 8-14, 2010.
  8. Cimaz R, et al:Primary Sjögren syndrome in paediatric age:a multicentre survey. Eur J Pediatr 2003;162:661-665
  9. Singer NG, et al:Sjögren's syndrome in childhood. Curr Rheumatol Rep 2008;10:147-155
  10. Bartůnková J, et al: Primary Sjögren's syndrome in children and adolescents: proposal for diagnostic criteria. Clin Exp Rheumatol 1999; 17: 381-386.
  11. Tomiita M, et al:Usefulness of magnetic resonance sialography in patients with juvenile Sjögren's syndrome. Clin Exp Rheumatol 2005;23:540-544

当該事業における対象基準

治療で非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド薬、免疫調整薬、免疫抑制薬、抗凝固療法、γグロブリン製剤、強心利尿薬、理学作業療法、生物学的製剤又は血漿交換療法のうち一つ以上を用いている場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児リウマチ学会
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