診断の手引き

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中枢性塩喪失症候群

ちゅうすうせいえんそうしつしょうこうぐん

Cerebral salt wasting syndrome

告示番 号68
疾病名中枢性塩喪失症候群
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診断方法

中枢神経疾患を有する者で低Na血症を来した場合、常に鑑別診断としてCSWを考える。

診断項目

  1. 血中Na の低下  血中Na < 135 mEq/L かつ 血漿浸透圧が低下
  2. 尿中Na 高値   尿中Na >40 mEq/L かつ 尿浸透圧 >100 mOsmol/kg
  3. Na摂取と排泄のバランスがマイナスとなっている。
  4. 脱水所見:皮膚ツルゴールの低下、体重減少、低血圧、ヘマトクリットの上昇、BUN/Crの上昇など。

以上の 1~3 の 3項目を満たす。4が確認されれば確定診断できるが、脱水が明らかでない例も認めるので注意する。

補助的診断項目

  1. 血中尿酸値の低下と尿酸の尿中排泄亢進
  2. 脱水の改善により希釈尿の排泄を見、血中Na値が改善する。
  3. 血中Kの上昇を認めない。

除外診断

以下の低 Na 血症を除外する

  • 腎疾患,副腎疾患など低Na血症を来す明らかな他の病因のあるもの
  • SIADH:病態は類似しているが、治療が全く異なるので鑑別は重要である。以下を参考にする。細胞外液量の項目以外はCSWとSIADHに共通であるが、病因が異なることに注意する。
 
細胞外液量 ADH分泌 尿中Na排泄亢進 血中尿酸値低下と尿中尿酸亢進 等張液輸液に対する反応
CSW低下(程度には幅がある)細胞外液量低下により亢進原発性にNa喪失亢進BNP分泌亢進による可能性希釈尿の排泄と低Na血症改善
SIADH上昇~正常原発性に亢進細胞外液量増加によりNa排泄亢進ADHの直接作用Na排泄増加と水分貯留亢進による低Na血症増悪

【注意点】

脳器質性疾患では、CSWとSIADHが併存することがある。治療反応性を注意深く観察する必要がある。

参考文献

  1. Ganong CA et al. Am J Dis Child 1993; 147:167.
  2. Jimenez R et al. Pediatr Neurol 2006; 35:261.
  3. Maesaka JK et al. Kidney Int 2009; 76:934.
  4. Singh S et al. Crit Care Med 2002; 30:2575.
  5. Palmer BF “Cerebral salt wasting” UpToDate
  6. Somers MJ and Traum AZ “Hyponatremia in children” UpToDate

当該事業における対象基準

治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年2月19日
文責
:日本小児内分泌学会
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