診断の手引き

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カルマン(Kallmann)症候群

かるまんしょうこうぐん

Kallmann syndrome

告示番 号72
疾病名カルマン症候群
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診断方法

I 主症候

  1. 二次性徴の欠如
  2. 思春期遅発症および/または二次性徴の進行不全
    • 思春期遅発症では、思春期徴候の発来を、以下の年齢までに認めない。
    • 男子:15歳に至るまでに二次性徴の発来(外性器の発育;精巣容量の4ml以上への発育、陰茎の成長)を認めない。
      女子:14歳に至るまでに二次性徴の発来(乳房腫大)を認めない。
    • 二次性徴を認めても、充分成熟するまで進行しない。
    • 思春期年齢における骨年齢進行の遅滞、骨端線閉鎖遅延。
    • 思春期年齢における成長加速を認めない。

II 副症候

無嗅症・低嗅症、腎奇形(片側無形成腎)・口唇口蓋裂・鏡像運動・難聴などを伴う。

III 検査所見

  1. 血中ゴナドトロピン値の基礎値・LHRH負荷に対する反応低値と、性ホルモン低値を同時に認める。(註 1)
  2. カルマン症候群の原因遺伝子として既知の遺伝子に、疾患の病因となる変異を認める。

診断基準

  • カルマン症候群:主症候の1)または2)を認め、副症候のいずれかおよびIIIの1)を認める。さらにIIIの2)をみとめれば病因が確定する。
  • カルマン症候群以外の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症:主症候の1)または2)を認め、IIIの1)を認めたもののなかから、カルマン症候群、体質性思春期遅発症を除外する。(註 2)

註 1) 血中ゴナドトロピン(LH・FSH値)の思春期年齢での基準値は、各施設の標準値を用いる。施設標準値の設定がない場合は、表の値を用いる。

別表 1
男 子
前思春期思春期
10歳未満10歳以上Tanner 2 - 3Tanner 4 - 5
LH前値 (mIU/mL)0.02 - 0.150.04 - 0.250.44 - 1.631.61 - 3.53
LH頂値 (mIU/mL)1.70 - 3.772.03 - 11.810.9 - 20.621.7 - 39.5
FSH前値 (mIU/mL)0.38 - 1.110.01 - 0.251.73 - 4.271.21 - 8.22
FSH頂値 (mIU/mL)1.38 - 9.185.69 - 16.61.68 - 10.811.2 - 17.3
基礎値LH/FSH0.03 - 0.240.03 - 0.080.16 - 0.630.24 - 0.70
頂値 LH/FSH0.28 - 0.550.26 - 0.991.4 - 3.41.3 - 3.3

女 子
前思春期思春期
10歳未満10歳以上Tanner 2 - 3
LH前値 (mIU/mL)0.01 - 0.090.02 - 0.110.05 - 2.44
LH頂値 (mIU/mL)1.93 - 4.732.14 - 7.825.70 - 18.5
FSH前値 (mIU/mL)0.54 - 2.471.16 - 3.640.92 - 3.29
FSH頂値 (mIU/mL)0.97 - 6.311.34 - 5.041.11 - 3.89
基礎値LH/FSH0.01 - 0.080.02 - 0.030.03 - 0.42
頂値 LH/FSH0.09 - 0.250.15 - 0.410.74 - 1.4

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班 平成15年度 総括・分担研究報告書(p 119-120), 2004

註 2)
体質性思春期遅発症(思春期の発来が遅れるが、後に二次性徴の発来と進行・完全な成熟を認める)との鑑別は、思春期年齢では困難である。以下を参考にするが、絶対的な鑑別の要件ではない。

  1. 体質性思春期遅発症では、低身長を伴い、小児期から骨年齢が遅延することが多い。
  2. 体質性思春期遅発症では、副腎の成熟も遅滞し、DHEA-Sの上昇も遅れることが多い。

当該事業における対象基準

治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児内分泌学会
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