診断の手引き

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異所性副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生症候群

いしょせいふくじんひしつしげきほるもんさんせいしょうこうぐん

Ectopic ACTH syndrome

告示番 号10
疾病名異所性副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生症候群
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診断方法

主症候

  1. )特異的症候
    • 満月様顔貌
    • 中心性肥満または水牛様脂肪沈着
    • 皮膚の伸展性赤紫色皮膚線条(幅 1 cm 以上)
    • 皮膚のひ薄化および皮下溢血
    • 近位筋萎縮による筋力低下
    • 小児における肥満をともなった成長遅延
  2. )非特異的症候
  3. 高血圧、月経異常、座蒼(にきび)、多毛、浮腫、耐糖能異常、骨粗鬆症、色素沈着、精神異常
    上記の i )特異的症候および、 ii ) 非特異的症候の中から、それぞれ一つ以上を認める。

検査所見

  1. 血中 ACTH とコルチゾール(同時測定)が高値~正常を示す(註1)。
  2. 尿中遊離コルチゾールが高値~正常を示す(註2)。

上記のうち 1. は必須である。
上記の1. 、2.を満たす場合、ACTH の自律性分泌を証明する目的で、
Ⅲのスクリーニング検査を行う。

スクリーニング検査

  1. 一晩少量デキサメサゾン抑制試験:前日深夜に少量(0.5 mg)のデキサメサゾンを内服した翌朝(8-10 時)の血中コルチゾール値が 5 μg/dl 以上を示す(註3)。
  2. 血中コルチゾール日内変動:複数日において深夜睡眠時の血中コルチゾール値が 5 μg/dl 以上を示す。(註4)
  3. DDAVP試験:DDAVP (4 μg) 静注後の血中 ACTH 値が前値の 1.5 倍以上を示す。(註5)
  4. 複数日において深夜唾液中コルチゾール値が、その施設における平均値の1.5倍以上を示す。(註6)

1.は必須で、さらに 2.から4. のいずれかを満たす場合、ACTH依存性クッシング症候群を考え、異所性 ACTH 症候群との鑑別を目的に確定診断検査を行う。

確定診断検査

  1. CRH試験:ヒト (CRH 100 μg) 静注後の血中 ACTH 頂値が前値の 1.5 倍以上に増加する。
  2. 一晩大量デキサメサゾン抑制試験:前日深夜に大量(8 mg) のデキサメサゾンを内服した翌朝(8-10 時)の血中コルチゾール値が前値の半分以下に抑制される(註7)。
  3. 画像検査:MRI検査により下垂体腫瘍の存在を証明する(註8)。
  4. 選択的静脈洞血サンプリング(海綿静脈洞または下錐体静脈洞):本検査において血中 ACTH 値の中枢・末梢比 (C/P 比) が2以上(CRH 刺激後は3以上)ならクッシング病、2未満(CRH 刺激後は3未満)なら異所性 ACTH症候群の可能性が高い。
    クッシング病の診断の手引き(平成21年度改訂)

診断基準

  • 確実例: Ⅰ、Ⅱ、ⅢおよびⅣの 1.2.3.4.を満たす
  • ほぼ確実例:Ⅰ、Ⅱ、ⅢおよびⅣの 1.2.3.を満たす
  • 疑い例:Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを満たす
註1.
採血は早朝(8∼10時)に、約30分間の安静の後に行う。ACTH が抑制されていないことが、副腎性クッシング症候群との鑑別において重要である。 血中コルチゾール測定値に関しては、RIAによる測定値に基づいている。
註2.
原則として24時間蓄尿した尿検体で測定する。ただし随時尿で行う場合は、早朝尿ないし朝のスポット尿で測定し、クレアチニン補正を行う。
註3.
一晩少量デキサメサゾン抑制試験では従来 1∼2 mg のデキサメサゾンが用いられていたが、一部のクッシング病患者においてコルチゾールの抑制を認めることから、スクリーニング検査としての感度を上げる目的で、0.5 mg の少量が採用されている。
註4.
複数日に測定して高値を確認することが必要。
註5.
DDAVP(デスモプレシン)は、検査薬としては保険適応がなされていない。
註6.
複数日に測定して高値を確認することが必要。
註7.
標準デキサメサゾン抑制試験(8 mg/日、分4,経口、2日間)では、2日目の尿中 遊離コルチゾールが前値の半分以下に抑制される。
註8.
下垂体MRI 検査での下垂体腫瘍陽性率は 1.5 テスラのMRIでは60-80% 程度である。1.5テスラのMRIで病変が発見できない、または不明確な場合は、3テスラのMRIで診断することを推奨する。ただしその場合、小さな偶発種(非責任病巣)が描出される可能性を念頭に置く必要がある。

当該事業における対象基準

治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児内分泌学会
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