診断の手引き

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大動脈弁狭窄症

だいどうみゃくべんきょうさくしょう

Aortic valve stenosis

告示番 号41
疾病名大動脈弁狭窄症
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診断方法

【臨床所見】
左室収縮期圧は上昇し代償性に左室肥大を呈する。進行すると相対的な虚血が生じ左室収縮性は低下し心不全症状を呈する。

最重症例では出生前、出生後の重症心不全が診断のきっかけとなるが、軽・中等症では心雑音で気づかれることが多い。頸部に放散する駆出性収縮期雑音を胸骨右縁に聴取する。 大動脈閉鎖不全を合併している場合(1/4程度)には拡張期雑音を聴取する。軽、中等症では駆出性クリックを聴取する。圧較差が25mmHgを越えるとスリルを触れる。

【胸部X線】
進行すると心拡大、肺静脈うっ血像を呈する。

【心電図】
左室肥大所見を呈するが、左室肥大所見の程度と圧較差の程度は必ずしも相関しない。

【心エコー図】
大動脈弁の解剖学的異常を認める。
左室長軸像で大動脈弁肥厚、ドーム形成を認める。 短軸像では弁尖の数、交連部の癒着などが観察できる。
上行大動脈は狭窄後拡張を呈する。
ドプラ法を用いた狭窄弁での血流加速を検出し、重症度の判定が可能である。
左室壁の代償性肥厚を認めるが、進行すると代償機転は破綻し肥厚は圧負荷に追いつかなくなり左室は拡大する。

【心臓カテーテル・造影所見】
左室圧の上昇を認め、大動脈圧との収縮期圧較差から重症度判定が可能である。
造影で大動脈弁のドーム形成、上行大動脈の拡大を認める。
治療としてバルーン拡大術が行われることがある。

【運動負荷】
トレッドミル、エルゴメーターなどの運動負荷テストは重症度判定に有用である。

■診 断
心エコーで形態診断および重症度評価が可能である。
治療方針決定および治療目的で心臓カテーテルを行う。

重症度分類
軽 症:左室—大動脈圧差50mmHg未満
中等症:左室—大動脈圧差50mmHg以上
重 症:左室—大動脈圧差75mmHg以上で、ST変化、有症状

新生児、乳児では、圧差に関わらず、左室収縮機能が低下していれば重症である。

当該事業における対象基準

治療中又は次の①から⑨のいずれかが認められる場合
①肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
②肺動脈狭窄症(右室-肺動脈圧較差20mmHg以上)
③2度以上の房室弁逆流
④2度以上の半月弁逆流
⑤圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
⑥心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
⑦左室駆出率あるいは体心室駆出率0.6以下
⑧心胸郭比 60%以上
⑨圧較差20mmHg以上の大動脈再縮窄

:バージョン1.1
更新日
:2015年8月26日
文責
:日本小児循環器学会
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