診断の手引き

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腎血管性高血圧

じんけっかんせいこうけつあつ

Renovascular hypertension

告示番 号12
疾病名腎血管性高血圧
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診断方法

確定診断は画像検査で行うが,状況に応じて使い分ける必要もある。

  1. 血液検査
  2. 血液検査上は血薬レーン活性(PRA),アルドステロン,Na高値,K低値を示す場合があるが,陽性率はさほど高くない。腎機能障害が出現している場合は,BUN, Cr上昇を伴う。PRAは,片側性腎動脈狭窄では上昇することが多いが,臨床経過の長い場合や両側性腎動脈狭窄では正常値を示す場合がある。またPRAは降圧薬の影響を受けるので気をつけて判断する。カプトプリル投与前後でのPRA測定(カプトプリル負荷試験)も有用で,腎血管性高血圧では負荷後PRAが過剰に上昇する。また血管狭窄の原因が大動脈炎症候群では,病初期に,CRP陽性,血沈亢進を伴うが,後期には消失している場合がある。
  3. 核医学検査
  4. 分腎機能,腎血流の左右差の評価には,腎シンチ・スキャン(レノグラム)が有用である。カプトプリルを負荷すれば,障害動脈が狭窄し,障害側が低潅流となる。
  5. 超音波検査
  6. 超音波検査は形態的かつ機能的診断のスクリーニングとして有用性が高い。腎臓に10mm以上の左右差を認める場合,腎血管性高血圧を疑うが,左右差を認めない症例も多い。腎血流ドプラでは腎動脈起始部ならびに腎内の区域動脈,葉間動脈の血流を検出し,腎動脈狭窄の評価が可能である。腎内血流パターンから求められる抵抗係数を,経皮的腎動脈形成術(per‐cutaneous transluminal renal angioplasty:PTRA)の効果予測の指標とする場合もある。
  7. 造影CT血管撮影(CTA),磁気共鳴血管造影 (MRA)
  8. 有用性は非常に高いが,両検査とも腎機能低下 症例では慎重に適応を検討する必要がある。
  9. 血管造影
  10. 形態的診断の確認検査は,大動脈造影や選択的腎動脈造影検査である。 しかし、侵襲性の問題があり、上記のスクリーニング検査で診断のつかない症例や、腎動脈狭窄の詳しい評価が必要な場合に行うのが望ましい。

腎動脈線維筋性異形成 (Fibromuscular dysplasia (FMD) of renal artery)の診断

若年(35歳未満、特に女性)発症の高血圧症や55歳未満で降圧剤による血圧コントロールが困難な高血圧症では腎動脈線維筋性異形成(腎動脈FMD)が疑われる1,2。血漿レニン活性(plasma renin activity: PRA)が高値であることも腎動脈FMDを疑う要因ではあるが、PRAは食塩の摂取状態により影響され、特に若年者では高齢者よりも影響を強く受けるため、PRA値と腎動脈FMDの関連は必ずしも高くない8,9。アンジオテンシン系阻害薬内服後に認めるPRAの急激な上昇やレノグラム上の閉塞パターンへの移行、またPRAの腎静脈での左右差が診断に有用であると考えられていたが、近年は診断法としては推奨されていない。

これらの診断法による腎動脈FMD病変の検出に対する感度と特異度が高くなかったことや、他の診断法が発達したことが推奨されなくなったことの理由と考えられる。

カテーテルを用いた腎動脈造影が最も信頼性の高い診断法であり、腎動脈本幹の中間から遠位部に病変を認めることが多い。線維性病変の血管壁に占める部位により特徴的な画像所見を呈する1,3,5

内膜増殖は帯状局所性の内膜線維性病変であることが多く、同心円状の狭窄を呈し‘砂時計様’の狭窄画像を呈することが多い。中膜に限局した病変である中膜線維増殖では中膜の非薄化と肥厚を交互に認め‘数珠状(string-of-beads)’の画像を呈し、非薄化部位を反映するbeads所見は正常動脈径よりも拡張していることが多い。

中膜と外膜の境界部病変である傍中膜線維増殖は局所病変であることが多いが、複数の狭窄により数珠状画像を呈する場合もある。数珠状病変を呈する場合も中膜線維増殖による病変と比較しbeads数が少なく、beads径も小さく正常動脈径よりも狭いことが多い。中膜平滑筋の過形成による中膜過形成は同心円状の狭窄を呈し、血管造影上は内膜増殖と区別が困難である。外膜あるいは血管周囲の線維増殖である外膜増殖は限局した‘筒状’の狭窄画像を呈することが多い。しかし、限局した病変の形態が‘砂時計様’か‘筒状’かの判断はあいまいであり、画像所見と病理所見の相関は必ずしも高くない2。また、画像所見と血流障害の程度が合致しないこともあり、診断に苦慮する場合は、狭窄が疑われる部位での圧格差測定や血管内超音波検査(intravascular ultra sonography: IVUS)による評価が有用である10,11

画像技術の発達により、CT angiography や MR angiography で無症候性の腎動脈FMDが診断されることも多くなっている。しかし、これらの検査と選択的腎動脈造影による診断の比較検討は十分になされておらず、これら画像検査の腎動脈FMD診断における有用性は不明である。

参考文献

  1. Olin JW, Sealove BA: Diagnosis, management, and future developments of fibromuscular dysplasia、J Vasc Surg 53:826-836, 2011.
  2. Plouin PE et al:Fibromuscular dysplasia. Orphanet J Rare Dis 2:28, 2007.
  3. Harrison EG Jr, McCormack LJ: Pathologic classification of renal arterial disease in renovascular hypertension. Mayo Clin Proc 46: 161-167,1971.
  4. Harrison EG Jr,et al:Morphology of fibromuscular dysplasia of the renal artery in renovascular hypertension Am J Med 43:97-112,1967.
  5. Stanley JC,et al: Arterial fibrodysplasia, Histopathologic character and current etiologic concepts. Arch Surg110: 561-566,1975.
  6. Slavin RE: Segmental arterial mediolysis: course,sequelae, prognosis, and pathologic-radiologic correlation、Cardiovasc Pathol 18: 352-360, 2009.
  7. Rosenberg ME et al: The paradox of the renin-angiotensin system in chronic renal disease. Kidney Int 45: 403-410,1994.
  8. Noth RH: Age and the renin-aldosterone system. Arch lntern Med 137: 1414-1417, 1977.
  9. Colyer WR Jr, et al: Utility of a 0.014” pressure-sensing guidewire to assess renal artery translesional systolic pressure gradients. Catheter Cardiovasc lnterv 59: 372-377,2003.
  10. Sheikh KH, et al: Intravascular ultra sound assessment of the renal artery. Ann lntern Med 115: 22-25,1991.
  11. Chao CP: Segmental arterial mediolysis. Semin lntervent Radiol 26: 224-232, 2009.

当該事業における対象基準

治療で薬物療法を行っている場合又は腎移植を行った場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年5月23日
文責
:日本小児腎臓病学会
成長ホルモン療法の助成に関して
腎機能障害が進行し、身長が-2.5SD以下の場合でがつ成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
成長ホルモン療法の助成に関しては下記を参照ください
成長ホルモン療法の助成に関して
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