診断の手引き

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非典型溶血性尿毒症症候群

ひてんけいようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん

Atypical haemolytic uraemic syndrome; aHUS

告示番 号36
疾病名非典型溶血性尿毒症症候群
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診断方法

診断は、2013年に日本腎臓学会、日本小児科学会から公表された診断基準に基づいて行う(表1)1, 2すなわち、溶血性貧血、血小板減少、腎障害の3主徴を認める者のうち、下痢や血便などの志賀毒素に関連した胃腸炎症状がないという臨床症状、検査所見から診断する。

表1. 非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の診断基準

Definite(確実)

三主徴がそろい,志賀毒素に関連するものでないこと。血栓性血小板減少性紫斑病でないこと。
微小血管症性溶血性貧血;Hb 10g/dl 未満
血中Hb 値のみで判断するのではなく、血清LDH の上昇、血清ハプトグロビンの著減、末梢血スメアでの破砕赤血球の存在をもとに微小血管症性溶血の有無を確認する。
血小板減少;PLT 15 万/μl 未満
急性腎障害(AKI);
小児例:年齢・性別による血清クレアチニン基準値の1.5 倍 (血清クレアチニンは、小児腎臓病学会の基準値を用いる。)
成人例:AKI の診断基準を用いる


Probable(疑い):

急性腎障害(AKI)、微小血管症性溶血性貧血、血小板減少の3 項目のうち2 項目を呈し、かつ志賀毒素に関連するものでも、血栓性血小板減少性紫斑病でもないこと。

付則事項

① 志賀毒素産生性大腸菌感染症の除外診断:
大腸菌の関与を確認する方法:培養検査・志賀毒素直接検出法(EIA)・抗LPS-IgM 抗体など
② 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の除外診断:
従来、TTP は古典的5 徴候で診断されてきた。しかしADAMTS13 の発見により、TTP 症例は人種にかかわらず、その60〜90%はADAMTS13 活性が<5%と著減している事が判明した。
従ってaHUS の診断においてADAMTS13 活性著減例(<5%) はTTP と診断し、これを除外する必要がある。しかしながら、TTPの古典的5 徴候は今も臨床現場で用いられており、この中にはADAMTS13 活性が正常ないし軽度低下に留まるものもある。従って、ADAMTS13 活性5%以上を示す患者についてはその他の臨床症状も加味してaHUS であるか TTP であるかを判断する。
③ 明確な他の原因によるTMA の除外診断:
DIC、強皮症腎、悪性高血圧、抗リン脂質抗体症候群など、TMA の病態を生じることが明らかな疾患を除外する。
④ Probable に該当すれば、aHUS の可能性を念頭に置き、各種鑑別診断に必要な検査検体の採取に努める。aHUS の診療に精通した施設にコンサルトし治療方針を決定する。
⑤ HUS の病態を呈し、以下の状況にある場合には、下痢の有無にとらわれずaHUS を考慮する。
  • 生後6 か月未満の症例
  • 発症時期が明確でない症例(潜在性発症例)
  • HUS の既往がある症例(再発症例)
  • 原因不明の貧血の既往
  • 腎移植後HUS の再発
  • HUS の家族歴(食中毒事例は除外する)
  • 下痢や血便を伴わない症例

参考文献

  1. Sawai T, Nangaku M, Ashida A, et al Diagnostic criteria for atypical hemolytic uremic syndrome proposed by the Joint Committee of the Japanese Society of Nephrology and the Japan Pediatric Society. Pediatr Int. 56: 1-5, 2014
  2. 非典型溶血性尿毒症症候群診断基準作成委員会.「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の診断基準」(http://www.jsn.or.jp/guideline/ahus.php)

当該事業における対象基準

治療でステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、抗凝固薬、血漿交換療法、輸血のうち1つ以上を用いる場合又は腎移植を行った場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年5月23日
文責
:日本小児腎臓病学会
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腎機能障害が進行し、身長が-2.5SD以下の場合でがつ成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
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