診断の手引き

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ループス腎炎

るーぷすじんえん

Lupus Nephritis; LN

告示番 号40
疾病名ループス腎炎
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診断方法

臨床的に全身性エリテマトーデス(SLE)の診断を行う(表1、膠原病:「細分類2:全身性エリテマトーデス」も参照)。腎生検にて組織学的重症度の判定を行う(表2)。腎生検の適応は大分類(慢性糸球体腎炎)に準ずる(表3)。
SLEでは、初発時には明らかな尿所見を認めず、腎生検によって所見を認める場合があることから(silent lupus nephritis)、尿所見の有無に関わらず腎生検の適応となることに留意する。


表1. SLEの診断基準(アメリカリウマチ協会)
1. 頬部紅斑
2. ディスコイド疹
3. 光線過敏症
4. 口腔内潰瘍
5. 非びらん性関節炎
6. 漿膜婆
 a) 胸膜炎
 b) 心膜炎
7. 腎障害
 a) 0.5g/日以上,もしくは定量しなかったときは
  3+以上の持続性蛋白尿
   あるいは
 b) 細胞性円柱
8. 神経障害
 a)けいれん
 b)精神障害
9. 血液学的異常
 a) 溶血性貧血
 b) 白血球減少症4,000/mm3未満
 c) リンパ球減少症1,500/mm3未満
 d) 血小板減少症10×104/mm3未満
10. 免疫学的異常
 a) 抗DNA抗体
 b) 抗Sm抗体
 c) 抗リン脂質抗体陽性(抗カルジオリピン抗体異常値,
  ループス抗凝固因子陽性,血清梅毒反応の生物学的
  偽陽性のいずれか)
11. 抗核抗体
SLEの診断:同時、あるいは経過中のどの時点にでも、上記11項目中、4項目以上が存在する場合、SLEと診断する。

表2. ループス腎炎の組織分類

Class Ⅰ:微小変化メサンギウムルーブス腎炎
光顕にて正常糸球体だが、蛍光抗体法にてメサンギウムに免疫沈着物を認める。
Class Ⅱ:メサンギウム増殖性ループス腎炎
光顕にてメサンギウムに限局したメサンギウム細胞の増生(程度を問わない)とメサンギウム基質の増加がみられ、メサンギウムに免疫沈着物陽性蛍光抗体法や電顕にて孤立性の上皮下または内皮下沈着物がみられても、光顕ではみられない。
Class Ⅲ:巣状ループス腎炎
活動性であれ非活動性であれ,全糸球体の50%未満に、分節性もしくは全節性の病変を認める巣状糸球体腎炎を指す。病変は管内性および管外性糸球体病変を含む。典型的には巣状内皮下免疫沈着物があって、メサンギウム変化はあってもなくてもよい。
Ⅲ(A)
活動性病変のみ:巣状増殖性ループス腎炎
Ⅲ(A/C)
活動性および慢性病変:巣状増殖性および硬化性ループス腎炎
Ⅲ(C)
慢性非活動性で糸球体の癌痕をみる:巣状硬化性ループス腎炎

※巣状とは採取した全糸球体の50%未満に病変がみられるもの、びまん性は全糸球体の50%以上に病変があること。分節性は一つの糸球体内の病変が係蹄の半分未満であること。全節性は糸球体内の病変が係蹄の半分以上であること。

Class Ⅳ:びまん性ループス腎炎
活動性であれ非活動性であれ、全糸球体の50%以上に、分節性もしくは全節性の病変を認めるびまん性糸球体腎炎を指す。管内性および管外性糸球体病変を含む。典型的にはびまん性の内皮下免疫沈着物を認め、メサンギウム変化はあってもなくてもよい。
Ⅳ-S(A)
活動性病変:びまん性分節性増殖性ループス腎炎
Ⅳ-G(A)
活動性病変:びまん性全節性増殖性ループス腎炎
Ⅳ-S(A/C)
活動性および持続性病変:びまん性分節性増殖性および硬化性ループス腎炎
Ⅳ-G(A/C)
活動性および持続性病変:びまん性全節性増殖性および硬化性ループス腎炎
Ⅳ-S(C)
瘢痕を伴う持続性非活動性病変:びまん性分節性硬化性ループス腎炎
Ⅳ-G(C)
瘢痕を伴う持続性非活動性病変:びまん性全節性硬化性ループス腎炎
Class V: 膜性ループス腎炎
全節性または分節性に上皮下免疫複合体またはその形態的残骸が光顕,蛍光抗体法,電顕のどれかで認める。メサンギウム変化のあるなしにかかわらない。V型がⅢ型もしくはⅣ型に合併するときは両者を診断名とする。
ClassⅥ:進行した硬化性ループス腎炎
90%以上の糸球体が全節性に硬化し,残存糸球体機能がないとき。

表3. 大分類2:慢性糸球体腎炎

診断は臨床症状および(または)腎生検の組織所見によって行う。

1. 臨床症状
タンパク尿および(または)血尿の尿異常が1年以上続くもの

2. 腎生検の適応
以下の場合は腎生検の適応である.

持続性蛋白尿(尿蛋白/尿Cr比0.5g/g以上が3カ月以上持続;2歳以上)
持続性血尿+蛋白尿(血尿+尿蛋白/尿Cr比0.2g/g以上が3カ月以上持続;2歳以上)
ネフローゼ症候群(成人と異なり大部分は腎生検の適応とならない.):微小変化型以外が疑われる症例,先天性が疑われる症例,ステロイド抵抗性を呈する症例
急速進行性腎炎症候群
全身性エリテマトーデス(SLE)
紫斑病性腎炎:ネフローゼ症候群, 急性腎炎症候群, 急速進行性腎炎症候群, 持続する蛋白尿を呈する症例

当該事業における対象基準

病理診断で診断が確定し、治療でステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、抗凝固薬、抗血小板薬、アルブミン製剤、降圧薬のうち一つ以上を用いる場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年5月23日
文責
:日本小児腎臓病学会
成長ホルモン療法の助成に関して
腎機能障害が進行し、身長が-2.5SD以下の場合でがつ成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
成長ホルモン療法の助成に関しては下記を参照ください
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