診断の手引き

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多発性嚢胞腎

たはつせいのうほうじん

Polycystic kidney disease; PKD

告示番 号8
疾病名多発性嚢胞腎
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診断方法

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)、常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)の診断は、ともに2010年に厚生労働省進行性腎障害調査研究班から発表された診療指針に記載された診断基準に準ずる(表1、2)


表1. ADPKD診断基準
(厚生労働省進行性腎障害調査研究班「常染色体優性多発性嚢胞腎診療ガイドライン(第2版)」

  1. 家族内発生が確認されている場合
  2. 超音波断層像で両腎に嚢胞がおのおの3個以上確認されるもの
    CTでは,両腎に嚢胞がおのおの5個以上確認されるもの
  3. 家族内発生が確認されていない場合
    • 15歳以下では、CTまたは超音波断層像で両腎におのおの3個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合
    • 16歳以下では、CTまたは超音波断層像で両腎におのおの5個以上嚢胞が確認され、以下の疾患が除外される場合

除外すべき疾患

  • 多発性単純性腎嚢胞 multiple simple renal cyst
  • 腎尿細管性アシドーシス renal tubular acidosis
  • 多嚢胞腎 multicystic kidney (多嚢胞性異形成腎 multicystic dysplastic kidney)
  • 多房性腎嚢胞 multilocular cysts of the kidney
  • 髄質嚢胞性疾患 medullary cystic disease of the kidney (若年性ネフロン癆 juvenile nephronophthisis)
  • 多嚢胞化萎縮腎(後天性嚢胞性腎疾患) acquired cystic disease of the kidney
  • 常染色体劣性多発性嚢胞腎 autosomal recessive polycystic kidney disease

表2. ARPKDの診断基準

1 に加えて 2 の一項目以上を認める場合に ARPKD と診断する。

  1. 皮髄境界が不明瞭で腫大し高輝度を示す典型的超音波画像所見
  2. a)両親に腎嚢胞を認めない、特に 30 歳以上の場合
    b)臨床所見、生化学検査、画像検査などにより確認される肝線維症
    c)ductal plate の異常を示す肝臓病理所見
    d)病理学的に ARPKD と確認された同胞の存在
    e)両親の近親婚

表3. ADPKD診断における必須項目ならびに検査

  1. 必須項目
  2. (1)
    家族歴:腎疾患(透析・移植を含む)、頭蓋内出血・脳血管障害
    (2)
    既往症:脳血管障害、尿路感染症
    (3)
    自覚症状:肉眼的血尿,腰痛・側腹部痛、腹部膨満、頭痛、浮腫、嘔:気など
    (4)
    身体所見:血圧、腹囲(仰臥位で、腰と腸骨稜上縁を回るラインで測定する).。心音、腹部所見、浮腫などにも注意を払う。
    (5)
    尿検査:尿一般検査、尿沈渣、尿タンパク/尿クレアチニン比
    (6)
    腎機能:血清クレアチニン値、推算GFR値
    (7)
    画像検査: 超音波検査(腹部)、頭部MRアンジオグラフイー
  3. 適宜行う検査
  4. (1)
    血液・尿検査:Ca、Pi、動脈血ガス分析、24時間蓄尿による腎機能の評価
    (2)
    身体所見: 鼠径ヘルニアにも注意を払う。
    (3)
    画像検査:核磁気共鳴断層法(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、心臓超音波検査、注腸検査

ADPKD診断のポイント(表1、3)

  • 診断には家族歴の詳細な聴取が重要であり、腎疾患だけではなく、高血圧やくも膜下出血の家族歴も確認する。肝にも好発し、脾、精巣、卵巣にもできる。嚢胞以外の病変では、高血圧、大腸憩室、総胆管拡張、脳動脈瘤(頭蓋内出血)、僧帽弁逆流症などを合併する。
  • 超音波検査では、両側の腎組織内に大小多数の低エコーの囊胞が存在する。
  • 画像検査では、腎囊胞の程度やサイズを確認するだけでなく、合併症の検索も行う。
  • 肝、膵、脾、卵巣の囊胞の有無、胆管系拡張の有無(腹部超音波検査、CT)、心臓(僧帽)弁逆流の有無(心臓超音波検査)、脳動脈瘤の有無(MRアンギオグラフィ)などを確認する。
  • 大腸憩室を疑う症状があれば、注腸造影か下部消化管内視鏡が必要となる。

ARPKD診断のポイント(表2)

  • 診断には家族歴の有無が重要であり、同胞の本疾患既往歴や両親の近親婚の有無を徴取する。ただし、本邦では近親婚の頻度は少なく、複合ヘテロ変異による症例の存在もあることに留意する。
  • 臨床症状として総尿の濃縮力障害があり、尿浸透圧が500mOsm/kg以上になることはない。
  • 超音波検査が最も簡便で診断に有用である。両腎とも著明な腫大があり、びまん性の集合管拡張のため、全体的に高輝度、皮髄境界は不明瞭で微小囊胞を認める。囊嚢胞は通常小さく2 mm 未満で microcyst と呼ばれる。びまん性に存在するため、全体に高エコー輝度になるのが特徴的である。皮髄境界は不明瞭で微小嚢胞を認める。Salt-and-pepper-appearanceとよばれる。肉眼で確認できるものは macrocyst と呼ぶが、直径 2 cm 以下が多い(表4)。
  • 造影CTでは、拡張した管腔が線条に造影されるが、腎機能障害が認められる場合は、造影剤により腎機能を悪化させる可能性があり、その適応には慎重な検討が必要である。
  • 肝機能は比較的保たれるが、ALPや直接ビリルビンの上昇、門脈圧充進(脾機能亢進)による好中球減少がみられる。反復する胆管炎や胆管閉塞で肝へのダメージは進行し、最終的には肝合成能も低下する。
  • 超音波検査やCTでは、拡張した胆管が、肝内に囊胞のように存在する。
  • 囊胞様の中心部に血管が走行する。その特徴的な画像は、超音波検査や造影CTでcentral dot sign、MRI T2強調画像ではcentral flow void signとよばれる。

表4. ARPKD における典型的な腎超音波像
パターン1著明な腎拡大
全体のエコー輝度上昇
皮質髄質境界が消失
中心エコーの消失
直径2cm以下の囊胞がみられる
パターン2著明な腎拡大
主に髄質のエコー輝度上昇
直径2cm以下の囊胞がみられる
パターン3中等度の腎拡大
髄質に限局したエコー輝度城主
囊胞はみられない
年長児においては、嚢胞の髄質局在(すなわち、エコー輝度上昇)が著明である(パターン2と3)

当該事業における対象基準

治療で薬物療法を行っている場合又は腎移植を行った場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年5月23日
文責
:日本小児腎臓病学会
成長ホルモン療法の助成に関して
腎機能障害が進行し、身長が-2.5SD以下の場合でがつ成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
成長ホルモン療法の助成に関しては下記を参照ください
成長ホルモン療法の助成に関して
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