診断の手引き

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慢性腎不全(腎腫瘍によるものに限る。)

まんせいじんふぜん (じんしゅようによるものにかぎる。)

Chronic renal failure due to renal tumour

告示番 号44
疾病名慢性腎不全(腎腫瘍によるものに限る。)
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診断方法

血尿,腹痛,腹部膨満,腹部腫瘤などの臨床症状および画像検査所見によって診断を行う。
小児の腎機能評価はCKD診療ガイドラインによる準じ、血清Cr値、推算糸球体濾過量(estimated GFR: eGFR)により行う。1-3
血清Cr値が基準値(表1)を超える場合、eGFR <90ml/分/1.73m2またはCKDステージ2以上のものを腎機能低下と診断する(表2)。


表1 日本小児の血清Cr基準値(酵素法)
年齢2.50%50.00%97.50%
3–5 (月)0.140.20.26
6–80.140.220.31
9–110.140.220.34
1(歳)0.160.230.32
20.170.240.37
30.210.270.37
40.20.30.4
50.250.340.45
60.250.340.48
70.280.370.49
80.290.40.53
90.340.410.51
100.30.410.57
110.350.450.58
男子女子
年齢(歳)2.50%50.00%97.50%2.50%50.00%97.50%
120.40.530.610.40.520.66
130.420.590.80.410.530.69
140.540.650.960.460.580.71
150.480.680.930.470.560.72
160.620.730.960.510.590.74

表2 小児CKDのステージ分類
病期ステージ重症度の説明GFR mL/分/1.73m2治療
1腎障害*は存在するがGFRは正常または亢進≥90移植治療が行われている場合は1-5T
2腎障害が存在し,GFR軽度低下60~89
3GFR中等度低下30~59
4GFR高度低下15~29
5末期腎不全<15(または透析)透析治療が行われている場合は5D
*腎障害:蛋白尿,腎形態異常(画像診断),病理の異常所見等を意味する。

eGFRの算出は、次の式-1)(2歳以上12歳未満)を用いる。
式-1) eGFR(mL/分/1.73m2)=k×身長(cm)/血清Cr値(酵素法),k=0.35 a),1)
また、2歳以上18歳未満については次の式-2),3)を用いて計算できる 2)。
式-2) eGFR(mL/分/1.73m2)= 110.2×(血清Cr基準値/患者血清 Cr) + 2.93
式-3a) 男児: y= -1.259x5 + 7.815x4 - 18.57x3 + 21.39x2 - 11.71x + 2.628
式-3b) 女児: y= -4.536x5 + 27.16x4 - 63.47x3 + 72.43x2 - 40.06x + 8.778
y=血清Cr基準値(mg/dl), x=身長(m)


2歳未満については、血清Cr値に基づき、表1または表3により腎機能障害を判定する


表3 日本人小児2歳未満の血清Cr値(mg/dl)とCKDステージ
年齢病期ステージ
345
<3-5ヶ月
6-8ヶ月
9-11ヶ月
1歳
0.41~0.80
0.45~0.88
0.45~0.88
0.47~0.92
0.81~1.60
0.89~1.76
0.89~1.76
0.93~1.84
1.61~
1.77~
1.77~
1.85~

参考文献

  1. Nagai T, Uemura O, Ishikura K, et al. Creatinine-based equations to estimate glomerular filtration rate in Japanese children aged between 2 and 11 years old with chronic kidney disease. Clin Exp Nephrol 17: 877-81, 2013.
  2. Uemura O, Nagai T, Ishikura K, et al. Creatinine-based equation to estimate the glomerular filtration rate in Japanese children and adolescents with chronic kidney disease. Clin Exp Nephrol.18:626-33, 2014.
  3. 日本腎臓学会 編.CKD診療ガイドライン2013. 東京医学社, 東京, 2013.

当該事業における対象基準

腎機能の低下(おおむね3か月以上、血清Crが年齢性別ごとの中央値(別表参照)の1.5倍以上持続)がみられる場合又は腎移植を行った場合

表. 年齢・性別毎の血清クレアチニンの中央値および腎機能低下基準値
年 齢中央値
(mg/dL)
腎機能低下 基準値
(mg/dL)
男女共通
3〜5か月0.200.30
6〜8か月0.220.33
1歳0.230.35
2歳0.240.36
3歳0.270.41
4歳0.300.45
5歳0.340.51
6歳0.340.51
7歳0.370.56
8歳0.400.60
9歳0.410.62
10歳0.410.62
11歳0.450.68

年 齢中央値
(mg/dL)
腎機能低下 基準値
(mg/dL)
男 子
12歳0.530.80
13歳0.590.89
14歳0.650.98
15歳0.681.02
16歳0.731.10
17歳以上0.831.24
年 齢中央値
(mg/dL)
腎機能低下 基準値
(mg/dL)
女 子
12歳0.520.78
13歳0.530.80
14歳0.580.87
15歳0.560.87
16歳0.590.89
17歳以上0.630.95

腎機能低下基準値は、中央値の1.5倍値。12歳以上は男女別となっている。
17歳以上も近年の標準測定法である"酵素法"での正常値(男:0.83、女性:0.63(Jaffe法だと1.03、0.83 相当))を用いて1.5倍として計算。
:バージョン1.1
更新日
:2015年5月23日
文責
:日本小児腎臓病学会
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腎機能障害が進行し、身長が-2.5SD以下の場合でがつ成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
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