診断の手引き

30

ウィルムス(Wilms)腫瘍/腎芽腫

うぃるむすしゅようじんがしゅ

Wilms tumour; Nephroblastoma

告示番 号5
疾病名ウィルムス腫瘍/腎芽腫
疾患概要、医療意見書等のダウンロードはこちら

診断方法

主症状

発見の契機は腹部腫瘤が最も多い。他には腹痛、血尿、発熱、腫瘍内出血による貧血などが認められる。

検査所見

  1. 画像診断では、超音波検査、造影CT、MRIなどにより腎原発の腫瘤を確認する。特異的な所見はないが、造影CTでは腫瘍内出血、壊死、脂肪、石灰化など多彩な所見を呈する。腫瘍塞栓がか大静脈から心房へ至る場合もある。
  2. 病理組織学的検査では肉眼的には正常腎臓との境界は明瞭で、通常線維性被膜により区画されている。灰白色充実性で、粘液腫状、出血壊死を認める。弾性に関しては、腫瘍に含まれる線維性結合組織の量により軟のものから硬のものまで様々である。組織学的には、後腎芽細胞成分、上皮成分、間葉成分を種々の割合で認める。後腎芽細胞成分は細胞質に乏しく、粗いクロマチンを有する円形から多角形の腫瘍細胞より構成されており、細胞境界は不明瞭である。これらがシート状に増殖する。核分裂像は比較的多く認められる。
    上皮成分は後腎芽細胞類似のやや大型核を有する腫瘍細胞が、明らかな細胞接着性を有しながら、尿細管類似あるいは糸球体様構造を呈する。間葉成分は、類円形から短紡錘形の腫瘍細胞が豊富な粘液基質を背景に索状に配列している。また、横紋筋や脂肪組織、扁平上皮、軟骨、骨組織、神経膠組織への分化を認めることもある。 これら後腎芽細胞成分、上皮成分、間葉成分が種々の割合で認められるものを混合型、腫瘍の2/3以上を上皮成分で占めるものを上皮型、間葉成分が2/3以上を占めるものを間葉型、後腎芽細胞成分が2/3以上を占めるものを後腎芽細胞優位型と分類する。
    尚、前述した3成分の割合に関係なく、クロマチンが増加し、通常の腫瘍細胞の3倍以上の大きさの核を有する、いわゆる退形成像を呈するものを退形成腎芽腫と分類する。
  3. 腎芽腫腫瘍内でWT1をはじめとする癌抑制遺伝子変異が認められることがある。生殖細胞系列にこれら遺伝子異常をもつ症例では、両側発症や家族発症のリスクがある。

その他の徴候

Beckwith-Wiedemann症候群(腎芽腫、臍ヘルニア、巨舌、巨体)WAGR症候群(腎芽腫、無虹彩症、尿路奇形、精神発育遅滞)、Denys-Drash症候群(腎芽腫、腎不全、生殖器の発達異常)に合併することがある。

診断

原則として、病理組織学的検査により診断する。

参考文献

  1. 小児腫瘍組織カラーアトラス第4巻、小児腎腫瘍(日本病理学会小児腫瘍組織分類委員会 編)、金原出版、東京、2008
  2. Perlman EJ, Grosfeld JL, Togashi K, Boccon-Gibod L. Nephroblastoma. In: John NE, Guido S, Jonathan IE, Isabell AS (eds). World Health Organization Classification of Tumours: Pathology and Genetics of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs. IARC Press: Lyon, France, 2004, pp 48–52.
  3. 画像診断 小児固形腫瘍の画像診断 秀潤社 29(8), 2009

当該事業における対象基準

組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会
成長ホルモン療法の助成に関して
低身長を認め成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
成長ホルモン療法の助成に関しては下記を参照してください。
成長ホルモン療法の助成に関して
「小児慢性特定疾病の対象疾患について」に戻る