診断の手引き

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成熟B細胞リンパ腫

せいじゅくびーさいぼうりんぱしゅ

Mature B-cell lymphoma

告示番 号86
疾病名成熟B細胞リンパ腫
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診断方法

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主症状

腹部に多くみられる、そのほかリンパ節、皮膚、肝臓、脾臓、ワルダイエル輪に腫瘤形成する。

細胞マーカー検査及び遺伝子検査

パラフィン切片による免疫染色の場合は、CD20、CD79a、MIB-1、CD3、TdT を必須マーカーとし、必要に応じてCD10、BCL2、BCL6、Mum1、EBV 等を追加する。凍結切片による免疫染色ならびに浮遊細胞によるフローサイトメトリー解析の場合は、上記マーカーに加えて、表面免疫グロブリン、CD22、CD24 等を含めた適切なマーカーを追加する。
成熟B 細胞性腫瘍の根拠として、CD20 またはCD79a が陽性、かつ CD3 およびTdT が陰性の所見が必要である。なお、ほとんどの場合、CD20 とCD79a はともに陽性となる。

染色体転座t(8;14)、 t(2;8)、 t(8;22)は比較的特徴的である。
precursor B lymphoblastic lymphoma は成熟B 細胞性腫瘍との区別が難しい場合があるため十分な検討が必要である。precursor B lymphoblastic lymphoma は、CD79a が陽性である、TdT が高率に陽性となる、表面免疫グロブリンが陰性である、CD20 ならびにCD45 が陰性の場合が多い、などの特徴を持つ。従って、これらの細胞マーカー所見ならびに細胞組織所見に基づいてprecursor B lymphoblastic lymphoma を除外する。

病理組織学的検査

diffuse large B-cell lymphoma は、核の大きさが正常マクロファージと同じか、あるいは正常小リンパ球の2 倍を超える大型細胞のびまん性増殖からなる。4 つの亜型variant(中心芽球亜型centroblastic、免疫芽球亜型immunoblastic、T 細胞・組織球豊富亜型T-cell or histiocyte rich、未分化大細胞型anaplastic)に分けられるが、中心芽球亜型が最も多い。
中型細胞が優勢に増殖する場合にはextramedullary leukemia (granulocytic sarcoma) との鑑別が必要な場合がある。節性と節外性、あるいは各亜型に関わらずリンパ腫細胞のびまん性増殖により既存組織が置換され、リンパ洞内や濾胞間、周囲の軟部組織にしばしば浸潤する。
繊維性硬化像や結節性増殖を示すことがあるが、濾胞性リンパ腫にみる濾胞樹状細胞の網目状分布を欠いている。

細胞マーカーではCD19、CD20、CD22、CD79a 等のB 細胞関連抗原が陽性となるが、いくつかが欠落することもある。表面あるいは細胞質免疫グロブリンは半数以上に認められる。IgM が最も多く、細胞質免疫グロブリンの発現は形質細胞への分化を示す症例にみられる。未分化大細胞亜型ではCD30 発現をみる。他にCD5、CD9、CD10、CD21、CD24、bcl-2、bcl-6 やEB ウイルス関連抗原(LMP1、EBNA2)の発現をみることがある。


以下に各亜型の特徴を記載するが、治療開始にあたっての病理診断では必ずしも記載を必要としない。中心芽球亜型centroblastic variantは、中心芽球centroblast/non-cleaned cellと呼ばれる大型のリンパ腫細胞からなる。円形や類円形核は水疱状で核クロマチンは核縁部に集合する。核小体は2~4 個認められ、核膜に接することが多い。細胞質に乏しく両染性から好塩基性、ときに核は多分葉状を呈する。免疫芽球亜型immunoblastic vatiant は、90%以上の細胞が核中心性の単一核小体と好塩基性細胞質を有する免疫芽球様細胞からなる。免疫芽球様細胞と同じ免疫グロブリン軽鎖を発現する形質芽球plasmablast、形質細胞、ならびに小型から中型の形質細胞様リンパ球が混在するが、中心芽球centroblast は10%以内である。

T 細胞・組織球豊富亜型T-cell or histiocyte rich variant は、腫瘍細胞に比較しておびただしい反応性T 細胞、マクロファージの出現をみる。腫瘍細胞は大型で、中心芽球、免疫芽球、ホジキンリンパ腫に出現するR-S(Reed-Sternberg)細胞やL&H(lymphocytic and histiocytic)細胞に類似するため、nodular lymphocyte predominant Hodgkin lymphoma との鑑別が必要となる。

未分化大細胞亜型anaplastic variant は、奇異な多形性核を持つCD30陽性の大型円型あるいは多陵形細胞に特徴付けられる亜型で、ときにはR-S 細胞に類似する。
癌細胞のごとく細胞同士の付着性が強く、顕著なリンパ洞内浸潤を示す。EB ウイルス感染と関連性があるが、t(2;5)(p23;q35)やALK(anaplastic lymphoma kinase)蛋白は発現しない。まれだが、ALK 陽性のDiffuse large B-cell lymphoma 亜型が報告されている。この亜型は形態学的にはimmunoblastic variant に類似しているが、細胞質IgA 陽性所見以外B 細胞マーカーの発現がないこと、CD30 は陰性だがEMA が強陽性になること、ALK 遺伝子の再構成はなく全長のALK 蛋白発現があること、CD4 およびCD57 が陽性となること、aggressive な経過を示すこと等の特徴を示す。

mediastinal large B-cell lymphoma は、胸腺髄質B リンパ球由来とされるリンパ腫で前縦隔に発生する。間質の硬化に伴い小葉性に増殖するのが特徴である。リンパ腫細胞は大型で淡明あるいは両染性の細胞質を有するが、多分葉中心芽球細胞から比較的単調な免疫芽球様細胞まで症例により細胞の大きさや核形状が多彩であり、ときにはR-S 細胞様の巨細胞をみる。免疫組織学的にB 細胞関連抗原(CD19、CD20、CD22、CD79a)が陽性であるが、多くの例で表面および細胞質免疫グロブリンは陰性を示す。陽性の場合はIgG、IgA が多い。CD30 が弱く発現することがある。


Burkitt lymphoma は、好塩基性細胞質を有する中型細胞の単調なシート状増殖から成り、細胞同士は密着して増殖する。スタンプ標本のギムザ染色では、複数の小空胞を有するFAB-L3相当の芽球を認める。腫瘍細胞は粗網状円形核と2~5 個の中心性核小体を有する。増殖能が高く多数の核分裂像を認める。アポトーシスも高率で、死滅した細胞を貪食したマクロファージによる星空像starry sky pattern を示すことが多いが、この病型に特異的ではない。ピロニン好性の好塩基性細胞質には通常脂肪小空胞をみる。異型バーキットあるいはバーキット様亜型atypical Burkitt/Burkitt-like variant は組織亜型のひとつで、核の大きさや形状に多形性を示し、びまん性大細胞型B リンパ腫と類似性を示すこともある。細胞質内Ig 陽性所見を示し免疫グロブリンを産生するものはBurkitt lymphoma with plasmacytoid differentiation と呼ばれ、AIDS などの免疫不全の際にみられる。

表面免疫グロブリンはIgMの例がほとんどで、B 細胞関連表面マーカー(CD19、CD20、CD22、CD79a)が陽性を示す。CD5陰性、TdT 陰性でCD10 は陽性のことが多い。細胞回転の最も速いリンパ腫の一つで、増殖分画(Ki-67、 MIB-1)はほぼ100%を示し、より陽性率の低い他の組織型、特にびまん性大細胞型B リンパ腫との鑑別に役に立つ。MYC 遺伝子が免疫グロブリン遺伝子領域に転座し、t(8:14)(q24;q32)、t(2:8)(p12;q24)あるいはt(8:22)(q24;q11)を示す。異型バーキット亜型と診断する場合は、上記の形質を十分考慮する必要がある。

Burkitt leukemia はFAB 分類L3 に相当するもので、従来、B 細胞性急性リンパ芽球型白血病B-cell acute lymphoblastic leukemia(B-ALL)と呼ばれたものを指す。バーキットリンパ腫の白血病型と考えられており、WHO 分類ではBurkitt leukemia と命名されている。なお、WHO分類では、前駆B 細胞性リンパ芽球性白血病をB-ALL と呼んでおり、注意が必要である。細胞は中型から大型で、核網は粗大顆粒状で密である。核小体は明瞭で数個認められる。細胞質は比較的広く好塩基性が著しく、空胞を多数有する。sIg が陽性でL 鎖のクローナリティを有し、通常CD19、CD20、CD22、CD79a が陽性、CD34、TdT は陰性である。染色体異常としては、8q24 のMYC 遺伝子と免疫グロブリンの遺伝子座との転座、t(8;14)(q24;q32)、t(2;8)(p12;q24)、t(8;22)(q24;q11)を有することが多い。diffuse large B-cell lymphomaとBurkitt lymphoma およびBurkitt lymphoma 亜型の鑑別診断は必ずしも容易ではない

診断

原則として、病理組織学的検査により診断する。

参考文献

  1. Jaffe ES, Harris NL, Stein H et al. WHO classification of tumors, pathology and genetics, tumors of hematopoietic and lymphoid tissues. IARC press,Lyon, 2001
  2. 小児腫瘍カラーアトラス 第1巻悪性リンパ腫、白血病および関連病変 日本病理学会小児腫瘍組織分類委員会編集、金原出版、2002
  3. 悪性リンパ腫臨床と病理―WHO分類(第4版)に基づいて 吉野正ほか、先端医学社、2009

当該事業における対象基準

組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会
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低身長を認め成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
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