診断の手引き

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骨髄異形成症候群

こつずいいけいせいしょうこうぐん

Myelodysplastic syndrome

告示番 号44
疾病名骨髄異形成症候群
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診断方法

主要な症状

顔色不良、倦怠感、発熱、出血症状などの非特異的症状を呈するが、無症状で偶然発見される例も少なくない。白血病と異なり肝脾腫やリンパ節腫脹などはまれである。

診断

1)
遷延する原因不明の血球減少(Hb;10g/dL未満、好中球;1,500/uL未満、血小板;10万/uL未満のいずれか1項目以上)
2)
2系統以上の細胞における異形成、または1系統において10%以上の細胞に異形成を認める
3)
造血細胞における核型や遺伝子などのクローナルな異常
4)
芽球増加 (末梢血および骨髄において20%未満)
5)
以下の染色体異常または融合遺伝子を認める場合は芽球比率に関わらずAMLとする
t(15;17)(q22;q12); PML-RARA, t(8;21)(q22;q22); RUNX1-RUNX1T1, inv(16)(p13.1q22)または t (16;16)(p13.1;q22);CBFB-MYH11, t(9;11)(p22;q23); MLLT3-MLL, t(6;9)(p23;q34); DEK-NUP214, inv(3)(q21q26.2)またはt(3;3)(q21;q26.2); RPN1-EVI1,
t(1;22)(p13;q13);RBM15-MKL1

※註釈

  1. 上記のうち、1), 2), 5)は必須。3), 4)が加わると診断の確実性が増す
  2. 骨髄検査を行う際は原則として骨髄生検も同時に行う
  3. 鑑別診断が困難な場合は診断を急がず1~4週あけての再検査を行う
  4. 小児MDSで認められる異形成を以下に示す
  1. 赤芽球系
    • 核の分葉化: 核が腎臓型、2個以上の分葉、ないしはいびつな不整形を呈する
    • 多核赤芽球: 1つの赤芽球内に明らかに分離した2つ以上の核を有する
    • 巨赤芽球様変化: 多染性ないし正染性赤芽球の1.5倍以上の大きさ。核のクロマチン凝集が粗い
    • 細胞質内顆粒・封入体: 細胞質内に顆粒ないしは断片化した核が存在
  2. 骨髄球系
    • 偽Pelger異常: 細いフィラメントで架橋された鼻眼鏡状の2つの核(2分葉型)、ないしは中心に位置する円形核(単分葉型)を有する成熟顆粒球
    • 核不整: 分葉が不整な分葉核球、巨大杆状核球、明らかに分離した複数の核や輪状核など
    • 顆粒低形成: 好中球顆粒やアズール顆粒の著明な減少
    • 核-細胞質成熟段階の不一致: 好中性の細胞質を有する骨髄球や好塩基性の細胞質を有する後骨髄球以降の成熟顆粒球
  3. 巨核球系
    • 微小巨核球: 前骨髄球より小さい単核の巨核球
    • 小型2分葉核巨核球: 微小巨核球よりやや大きく、分離した2つの円形核を有する
    • 円形単核巨核球: 分葉のない円形の核を1つ有する小型巨核球
    • 分離多核巨核球: 3つ以上に分離した円形の核を有する巨核球。細胞質の大きさは問わない。

病型

末梢血および骨髄における芽球比率によって小児不応性血球減少症 (refractory cytopenia of childhood; RCC)と芽球増加を伴う不応性貧血 (refractory anemia with excess blast;RAEB)に大別される。成人で認められる環状鉄芽球を伴う不応性貧血や染色体異常del(5q)を伴うMDSは小児では極めてまれである。遺伝性骨髄不全症候群(inherited bone marrow failure syndrome; IBMFS)などの先天性疾患や、悪性腫瘍に対する化学療法・放射線治療、再生不良性貧血(aplastic anemia; AA)に対する免疫抑制療法などに続発する二次性MDSは予後や治療法の選択が異なるため一次性MDSとは区別すべきである。

  1. 小児不応性血球減少症 (refractory cytopenia of childhood; RCC)
  2. 遷延する血球減少を呈し、芽球比率が骨髄にて5%未満、かつ末梢血にて2%未満である小児MDSを指す。半数以上の症例が低形成骨髄を示しており、AAとの鑑別のためには骨髄生検が必須である。
  3. 芽球増加を伴う不応性貧血 (refractory anemia with excess blast; RAEB)
  4. 遷延する血球減少を呈し、芽球比率が骨髄にて5%以上20%未満、末梢血にて2%以上20%未満である小児MDSを指す。WHO分類ではRAEBをRAEB-1(骨髄中芽球 5-9%)とRAEB-2(骨髄中芽球 10-19%)にわけているが、小児では両群の生存率に差を認めず分ける意義はない。
  5. 二次性MDS (secondary MDS)
  6. IBMFSなどの先天性疾患や、悪性腫瘍に対する化学療法・放射線治療、AAに対する免疫抑制療法などに続発するものを指し、これらの既往歴、治療歴を有する例にMDSを認めた際は芽球の頻度にかかわらず二次性MDSとして対応する。

鑑別診断

異形成を呈する可能性がある以下の疾患を鑑別する必要がある。

AA、IBMFS (Fanconi貧血、Shwachman-Diamond症候群、dyskeratosis congenita、先天性無巨核球性血小板減少症、Diamond-Blackfan貧血、先天性重症好中球減少症、congenital dyserythropoietic anemiaなど)、自己免疫疾患 (特発性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデスなど)、先天性免疫不全(Wiskott-Aldrich症候群など)、先天性代謝異常 (メバロン酸キナーゼ欠損など)、Pearson 症候群、薬剤性(バルプロ酸など)、感染症 (サイトメガロウイルス、EBウイルス、パルボウイルス、など)、栄養障害 (ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏、銅欠乏など)、発作性夜間血色素尿症、脾機能亢進症、血球貪食症候群など

参考文献

  1. Hasle H, Niemeyer CM, Chessells JM, et al. A pediatric approach to the WHO classification of myelodysplastic and myeloproliferative diseases. Leukemia. 2003; 17:277-282.
  2. Baumann I, Niemeyer CM, Bennett JM, et al: Childhood myelodysplastic syndrome. WHO classification of tumours of haematopoietic and lymphoid tissues, Swerdlow SH, et al., ed. WHO press Geneve 2008, 104-107
  3. Cantu Rajnoldi A, Fenu S, Kerndrup G, et al: Evaluation of dysplastic features in myelodysplastic syndromes: experience from the morphology group of the European Working Group of MDS in Childhood (EWOG-MDS). Ann Hematol 84:429-433, 2005
  4. Kardos G, Baumann I, Passmore SJ, et al: Refractory anemia in childhood: a retrospective analysis of 67 patients with particular reference to monosomy 7. Blood 102:1997-2003, 2003
  5. Hasle H, Baumann I, Bergstrasser E, et al: The International Prognostic Scoring System (IPSS) for childhood myelodysplastic syndrome (MDS) and juvenile myelomonocytic leukemia (JMML). Leukemia 18:2008-2014. 2004

当該事業における対象基準

組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会
成長ホルモン療法の助成に関して
低身長を認め成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
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