19

溶血性貧血(脾機能亢進症によるものに限る。)

ようけつせいひんけつ (ひきのうこうしんしょうによるものにかぎる。)

haemolytic anaemia due to hypersplenism

告示番 号54
疾病名溶血性貧血(脾機能亢進症によるものに限る。)
診断手引き、医療意見書等のダウンロードはこちら

疾患

脾機能亢進により、赤血球破壊の亢進や捕捉・貯蔵能の増大が起こり貧血をきたす疾患である。脾機能亢進症は、①1系統以上の血球減少、②血球減少に対応した骨髄過形成、③脾腫、④脾摘による血球減少の改善、の4項目すべてを満たすものと定義される(Dameshek)。

疫学

ほとんどの脾機能亢進症は続発性であるため、その頻度は原疾患による。

原因

ほとんどの脾機能亢進症は続発性で、肝疾患に伴う門脈圧亢進症や溶血性貧血、感染症、悪性血液疾患や代謝異常症などが基礎疾患となる。遺伝性球状赤血球症など細胞膜異常のある赤血球、また自己免疫性溶血性貧血など抗体が結合した赤血球が脾臓で除去・破壊により、脾機能が亢進して貧血が助長されることもある。門脈圧亢進症や代謝異常症などの場合、脾腫に伴う血液貯蔵能の増大により正常赤血球が捕捉・破壊され貧血が生じると考えられている。

症状

一般的な溶血性貧血と同様に、赤血球破壊による貧血・黄疸と脾腫が主症状である。日機能亢進症の程度により貧血の重症度も異なり、汎血球減少を認める場合もある。また、原疾患により他の症状も異なる。

治療

原疾患の治療が基本となるが、その治療効果が不十分な場合には脾臓摘出術によって貧血の改善が期待できる。遺伝性球状赤血球症ではしばしば脾臓摘出術が施行される。しかし、摘脾による細菌感染症のリスク増大(とくに乳幼児)、あるいは門脈圧亢進症の治療法選択への影響などから、慎重な判断が必要である。また、手術前に肺炎球菌やインフルエンザ菌B型のワクチン接種を行うことが推奨されている。

予後

原疾患により予後は異なるが、脾臓摘出後の一般的な予後は良好である。

参考文献

1) 厚生労働省特発性造血障害に関する調査研究班 溶血性貧血の診断基準 (平成16年度改訂)
2) 厚生労働省特定疾患門脈血行異常症調査研究班 門脈血行異常症の診断と治療: 特発性門脈圧亢進症診断の手引き (2001)
3) Dameshek W: Hypersplenism. Bull NY Acad Med. 1955. 31:113-126.
4) Alonso EM, Hackworth C, Whitington PF. Portal hypertension in children. Clin
Liver Dis. 1997. 1(1):201-22.
5) Erslev AJ: Hypersplenism and hyposplenism. Williams Hematology. 6th. 2001. 683-687. McGraw-Hill.
6) Harmanci O, Bayraktar Y. Portal hypertension due to portal venous thrombosis:
etiology, clinical outcomes. World J Gastroenterol. 2007. 14;13(18):2535-40.
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児血液・がん学会
「小児慢性特定疾病の対象疾患について」に戻る