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ベルナール・スーリエ(Bernard-Soulier)症候群

べるなーる・すーりえしょうこうぐん

Bernard-Soulier syndrome

告示番 号15
疾病名ベルナール・スーリエ症候群
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概念・定義・分類

一次止血で中心的な役割を担う血小板が、数の上では止血レベルにあるにもかかわらず、血小板機能に障害があり、粘膜と皮膚の出血が主体の止血困難、出血傾向を来たす疾患で、遺伝的欠陥による先天性血小板機能異常症と、様々な基礎疾患や薬剤により引き起こされる後天性血小板機能異常症に大別される。後天性に血小板機能を低下させる疾患には、尿毒症(慢性腎不全)、肝疾患、異常蛋白血症(多発性骨髄腫、マクログロブリン血症など)、膠原病、骨髄増殖性疾患(慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、本態性血小板血症)、骨髄異形成症候群などがある。
一方、先天性血小板機能異常症の中では、粘着能の異常であるBernard-Soulier症候群、放出能の異常であるストレージプール病、凝集能の異常である血小板無力症が代表的な疾患である。先天性血小板機能異常症は、①血小板レセプター異常症、②放出異常症、③プロコアグラント活性異常症に分類することもある。

疫学

我が国では最近の疫学調査がないため、血小板機能異常症の頻度は不明であるが、出血傾向の軽いケースまで含めれば後天性のタイプは決して稀ではない。      一方、先天性血小板機能異常症は1986年の報告によると血小板無力症が222例、Bernard-Soulier症候群が43例登録されている。その後、血小板機能異常症の診断法の進歩により、多くの施設で経験されるようになったが、まれな疾患であることに変わりはない

病因

血小板は血管破綻部位に集まって、凝集塊(一次血栓)を形成するがそのプロセスは粘着、放出、凝集の3段階に分かれて進行する。すなわち血管が破綻すると、血流面に露呈した血管内皮下組織にvon Willebrand因子を接着剤として血小板膜表面に存在する糖蛋白(GPIb/IX/V複合体)を介して血小板が粘着する。粘着した血小板は収縮して、血小板細胞の顆粒の中に貯蔵されていた活性化物質(アデノシン2リン酸、セロトニン、フィブリノゲンなど)を放出する。これらの活性化物質は、血小板膜に存在する別の糖蛋白GPIIb/IIIa複合体、インテグリンαIIb/β3とも呼ばれる)に働き、血漿中のフィブリノゲンを接着剤として血小板同士が付着(凝集)するようにする。かくしておびただしい数の血小板が凝集して一次血栓を形成し、とりあえず血管破綻部位からの血液の流出を食い止める。この反応プロセスで、GPIb/IX/V複合体の遺伝的欠損により粘着能が障害されるのがBernard-Soulier症候群、GPIIb/IIIa複合体の遺伝的欠損により凝集能が障害されるのが血小板無力症で、いずれも常染色体劣性遺伝形式をとる。放出障害は、放出そのものの障害(放出機構異常症)と、放出物質の欠如(ストレージプール病)に大別されるが、いずれも出血傾向は軽微で、臨床的に問題となることは稀である

症状

鼻粘膜や口腔粘膜、皮膚表層の出血が主体で、鼻出血や歯肉出血、紫斑を認める。初潮開始以降の女性では月経過多の頻度が高い。抜歯など小手術後の止血困難で診断されることもある。時には消化管出血や血尿も見られ、打撲などの外的要因により頭蓋内出血など重篤な出血を来たすことがある。一方、血友病でよく認められる関節内出血や筋肉内出血などの深部出血はほとんどない。出血症状の強さには個人差があり、これらの個人差には膜糖蛋白の欠損の程度が関与している

治療

最も重要なことは、重篤な出血を回避する生活指導である。また、血小板機能を抑制する薬剤(非ステロイド系消炎鎮痛剤など)を服用しないように指導する。皮膚・粘膜の小出血には圧迫止血が基本であるが、鼻出血や口腔内出血などの粘膜出血には抗プラスミン剤が有効である。重篤な出血時や外科的処置時には、血小板輸血が必要になる。血小板輸血を繰り返すことで、HLAや血小板膜糖蛋白に対する同種抗体ができて、適合血小板以外は効果がなくなることがあり、この場合は遺伝子組み換え活性型第VII因子製剤を投与する

参考文献

金子 誠、矢富 裕:血小板機能異常症の診断と対応.  わかりやすい血栓と止血の臨床(日本血栓止血学会編) 南江堂、東京、2011、p48-54

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児血液・がん学会
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