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メンケス(Menkes)病

めんけすびょう

Menkes disease

告示番 号29
疾病名メンケス病
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概要・定義

銅の腸管での吸収障害により、著明な銅欠乏障害をきたすX染色体劣性の遺伝性疾患。銅欠乏により重篤な中枢神経障害、特徴的なkinky hair、結合織異常(膀胱憩室、血管の脆弱・蛇行、骨粗鬆症、皮膚・関節の過伸展)をきたす。神経障害は生後2~3月ごろに発症する。神経障害発症前にヒスチジン銅皮下注射の治療を開始すれば、神経障害は予防ないしは軽減できる。しかし、治療開始が遅れると神経障害は全く改善しない。
疫学:我が国での発症頻度は、出生男子約12万人に1人と想定されている。ごくまれに女子の報告がある。

疫学

我が国での発症頻度は、出生男子約12万人に1人と想定されている。ごくまれに女子の報告がある。

病因

銅輸送ATPaseの1つであるATP7A遺伝子の変異により、ATP7Aの活性が著しく低下している。ATP7Aは肝細胞以外の殆どの細胞で発現しており、銅のサイトソルからゴルジ体内への輸送を司っている。本症では、銅がゴルジ体に輸送されないため、細胞内に銅が蓄積し、細胞外への銅の分泌が障害されている。

症状

生後2~3か月頃から、けいれん、退行現象などで発症する。重篤な中枢神経障害、本症に特徴的な頭髪、低体温、皮膚・関節の過伸展、筋力低下、膀胱憩室、骨粗鬆症、骨折、下痢などが見られる。頭髪は脱毛・色素脱毛(赤茶けている)・短く捻じれた毛でkinky-hair(図1)と言われている。

診断

血清銅・セルロプラスミン低値で疑われる。確定診断は遺伝子解析または培養皮膚線維芽細胞の銅濃度高値で行う。遺伝子変異部位は非常に多彩で、まれに変異が同定されない場合がある。

治療

現在、行われている治療はヒスチジン銅の皮下注射である。週に2~4回投与する。治療量の目安は、血清銅とセルロプラスミンを基準範囲に維持する。ヒスチジン銅治療で、頭髪異常は改善する。また、治療開始が新生児時期であれば、中枢神経障害は予防ないしは軽減できる。しかし、治療開始が神経症状出現後であれば、神経障害や結合織異常には、効果がない。

予後

肺炎、尿路感染を繰り返すことが多い。感染症や血管破裂などで、幼児期になくなる例が多いが、成人例も報告されている。尿路感染・骨折の予防が大切である。

成人期以降

予後と同じ

参考文献

児玉浩子他:Menkes病の診療指針. 厚生労働科学研究費補助金「Menkes病・occipital horn症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23年~24年度総合研究報告書、2013年、pp46-62.

:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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