104

副腎白質ジストロフィー

ふくじんはくしつじすとろふぃー

Adrenoleukodystrophy

告示番 号84
疾病名副腎白質ジストロフィー
診断手引き、医療意見書等のダウンロードはこちら

概要・定義

副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy; ALD)は中枢神経の白質と副腎の障害を特徴とするX連鎖性の遺伝性疾患で、3〜10歳で発症して大脳半球の広範な進行性脱髄と副腎機能不全を特徴とする小児大脳型や20歳以降に痙性歩行で発症するadrenomyeloneuropathy (AMN)、成人で性格変化、知能低下、精神症状で発症する成人大脳型に、副腎不全症状のみのタイプなど多彩な臨床型を有している。病因はXq28に存在するABCD1遺伝子異常による。しかしその病態についてはほとんど解明されておらず、多彩な臨床型も遺伝子変異とは相関が無く、脱髄の発症機序や極長鎖脂肪酸蓄積の病態への関与も未解明である。また大脳型の唯一の治療法は発症早期の造血細胞移植である。

疫学

発症頻度は米国では出生男児21,000人に1人が患者,出生女児14,000人に1人が保因者との報告があり,国内でも2〜3万人に1人程度の男性患者が存在すると考えられている。

病因

病因はABCD1遺伝子異常による。

症状

発症年齢と症状により,下記の病型に分類される。
1) 小児大脳型 (CCALD) :3〜10歳に視力や聴力の異常,行動異常や成績低下,歩行障害,けいれん等で発症し,症状の広がりから急速な進行を認め,数年で寝たきりの経過をとることが多い。
2) 思春期大脳型(AdolCALD):発症年齢が11〜21歳でCCALDと同様の症状を呈するが,やや緩徐に進行する傾向にある。
3) AMN:思春期から成人以降で発症することが多く,痙性歩行を主症状とし,インポテンツ,尿失禁を伴う。
4) 成人大脳型(ACALD):精神症状、行動異常、認知機能低下等で初発し、比較的急速な進行を呈する。
5) 小脳・脳幹型:小脳失調によるふらつき歩行が主症状で日本人に多い。
6) アジソン型:2歳以降から成人期にかけて易疲労感,全身倦怠感,脱力感,筋力低下,体重減少,低血圧や,色素沈着で発症する。
7) 女性発症者:女性保因者でも20〜50%で軽度なAMN類似の症状をきたすことが報告されている。

診断

治療

現在,大脳型ALDに対して唯一,有効な治療法は発症早期の造血細胞移植で、骨髄非破壊的前処置による低リスクの移植や,臍帯血による移植例も比較的良好な治療成績を挙げている。また適合する骨髄ドナーが見つからなかった大脳型症例に対して,正常ABCD1遺伝子を導入した自己造血細胞移植により症状の進行停止を認めている。
男性患者では定期的な副腎機能検査を実施し,必要があれば副腎ホルモンを補充する。
AMNおよび女性発症者の下肢の痙縮に対しては抗痙縮薬や適切な理学療法を早期に開始することにより,症状の軽減や進行の予防が期待される。直腸膀胱機能障害に対しても,泌尿器科医等に相談して早期の対応が重要である。

予後

大脳型では無治療の場合、2年以内に嚥下障害,寝たきりになる症例が多いが、進行が緩やかな例もある。AMNでは一般に緩やかに進行するが、大脳型に移行して急速な悪化をきたす例が存在する。小脳・脳幹型も大脳型に、アジソン型でもAMNや大脳型に進展することがあるので,注意を要する。

成人期以降

ALD患者では半数以上は成人期以降に発症する。小児期に発症前診断された患者では、現時点では病型予測は不可能であり、成人期以降もMRI検査や副腎機能評価、神経内科などでの定期的なフォローアップが重要である。

参考文献

1) 副腎白質ジストロフィー診療ハンドブック2013. 日本先天代謝異常学会・厚生労働省難治性克服事業「ライソゾーム病(ファブリ病含む)に関する調査研究」協力. 岐阜; 2013.
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
「小児慢性特定疾病の対象疾患について」に戻る