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シスチン症

しすちんしょう

Cystinosis

告示番 号123
疾病名シスチン症
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概要・定義

シスチンが細胞内に蓄積するために発症する先天代謝異常症である。3型の病型に分類され、腎(乳児)型は、すべての細胞内でシスチンが蓄積し、乳児期より腎性ファンコニー症候群を合併する。中間(若年)型は、細胞内のシスチン蓄積の進行は緩徐で、発症は思春期以降である。非腎(眼)型は、角膜のシスチン蓄積のみが症状である。

疫学

常染色体劣性遺伝。発生頻度は出生10万-20万に1人である。

病因

シスチンをライソゾームから細胞質へ輸送するライソゾーム膜輸送担体であるシスチノシンの先天欠損により、全身の細胞のライソゾーム内にシスチンが蓄積し、細胞障害が生じる。シスチノシンをコードするCTNS遺伝子は17q13に存在し、シスチノーシス患者からは様々な遺伝子変異が報告されている1)。

症状

発症年齢、臨床症状により、以下の3つに分類される2)3)。
①腎型(古典型・乳児型・早期発症型):出生時は無症状であるが、生後6カ月頃より腎性ファンコニー症候群が出現し、ネフローゼ症候群を呈して10歳前後に腎不全となる。その他に骨髄、肝臓、脾臓、腸、筋肉、脳などの臓器におけるシスチン蓄積により、多彩な症状を合併する。角膜のシスチン結晶は、羞明、角膜びらん、網膜色素変性などを引き起こす。
②中間型(若年型・遅発性腎型):思春期頃からファンコニー症候群、眼症状などを呈する。診断されてから数年以内に腎不全末期となる。
③非腎性型(眼型):腎機能障害や成長障害はなく、眼症状のみを呈する。

診断

治療

①腎症状:腎性ファンコニー症候群に対しては、水分、電解質、アシドーシスの補正、くる病骨病変に対してはリン酸塩、ビタミンD補充が行われる。腎不全が進行した場合は腎臓移植が適応となる。
②内分泌異常:甲状腺機能低下症に対する経口L-サイロキシン投与や糖尿病に対するインスリン投与、原発性性腺機能低下に対するテストステロン投与、成長障害に対する成長ホルモンが有効である。
③眼症状:角膜のシスチン結晶減少のため、1日10回から12回、システアミンの点眼を行なう。
④システアミン内服:細胞内のシスチンを除去するため、システアミンの内服を行なう。小児は1日当たり60-90mg/kg、成人は1回500mgを6時間おきに経口内服する。

予後

腎型シスチノーシスは、適切な治療を行わないと10歳前後で死に至るが、腎移植やシスチン除去などの治療を行えば40代から50代まで十分なQuality of Lifeが得られる。新生児期あるいは乳児早期にシスチン除去を開始した場合、成長障害、腎症状の進行を防ぐことが可能である。

参考文献

1) Anikster Y, et al. CTNS mutations in patients with cystinosis. Hum Mutat.1999;454-458.
2)Gahl WA, et al. : Cystinosis: A Disorder of Lysosomal Membrane Transport. In Scriver CR, Beaudet AL, Valle D, Sly WS. (eds), The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease. McGraw-Hill, New York, NY, 2001;5085–5108.
3)小須賀基通. シスチノーシス、ライソゾーム病、診断と治療社、2011;228-230.
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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