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ポンペ(Pompe)病

ぽんぺびょう

Pompe disease; glycogen storage disease type II

告示番 号129
疾病名ポンペ病
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概要・定義

ライソゾームにおける酸性α-グルコシダーゼの活性低下あるいは欠損により、主に筋細胞のライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積して起こる進行性の筋疾患である。

疫学

発生頻度は民族差がある。日本人では約10~20万人に1人と推定される。成人型患者の中に診断されていない症例が多く存在すると推測される。文献的には、1歳未満の発症は14%で、1歳以上17歳までの発症は24%、18歳以上の発症は62%と報告されている。

病因

常染色体性劣性遺伝形式をとる。病初期は、グリコーゲンに満ちた小さなライソゾームが筋細胞質に認められるが、臨床的には無症状である。次第に、グリコーゲンを蓄積したライソゾームが膨張し、最終的に細胞質は大きな空胞で占められるようになり、ミトコンドリア等の細胞内小器官も自己貪食され空胞内に取り込まれた状態になる。さらに進むと筋細胞は消失し、組織は脂肪変性を来す。ライソゾームにグリコーゲンが蓄積することと、ライソゾームの機能障害、自己貪食の亢進が筋組織を破壊すると考えられている。

症状

1). 乳児型:生後2か月頃哺乳力低下、筋力低下が出現し、フロッピーインファントとなる。心肥大、巨舌、肝腫大を認める。自然歴では、乳児型は18か月までに全例が死亡する。死因は心機能障害、呼吸障害である。
2). 遅発型(小児型・成人型):小児型は生後6か月~幼児期に発症。筋力低下が徐々に進行する。2歳以降の発症例では、心肥大症状は伴わないことが多い。呼吸不全や呼吸器感染症で20~30歳代で死亡する。成人型は10歳以降に発症する。60歳代に気付かれる症例もある。骨格筋の障害が主で、心筋障害はまれである。
遅発型の重症度には大変幅がある。近位筋優位の筋力低下を来たす。骨格筋の症状として、運動が下手である、脊柱側弯症、腰痛などが認められる。呼吸筋の障害のため、疲れやすい、息切れ、風邪をこじらせやすいなどに気付かれる。また、夜間睡眠中の低換気のため、朝起きた時の頭痛や日中の眠気などを訴える。軟口蓋の力が弱く鼻咽腔閉鎖不全となるため、鼻声になる。脳動脈瘤を起こしやすい

診断

治療

酵素補充療法がある。

予後

乳児型では、無治療の場合は心不全等で1歳半までに死亡する。遅発型では、重症度は様々であるが、呼吸不全や呼吸器感染症で死亡する。酵素補充療法により予後は改善できる。

成人期以降

呼吸器感染症に注意を要する。気胸を発症することもある。

参考文献

:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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