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GM2-ガングリオシドーシス

じーえむつーがんぐりおしどーしす

GM2-gangliosidosis

告示番 号122
疾病名GM2-ガングリオシドーシス
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概要・定義

GM2-ガングリオシドーシスは、β-ヘキソサミニダーゼAの欠損により発症するテイ・サックス病、β-ヘキソサミニダーゼAとB 両方の欠損により発症するサンドホフ病、GM2活性化蛋白の欠損により発症するGM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損症があり、常染色体劣性遺伝形式を示す遺伝病である。脳を中心にGM2ガングリオシドなどの糖脂質が蓄積する。発症頻度はテイ・サックス病、サンドホフ病が1/30万人とされ、GM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損症はきわめてまれである。発症時期と臨床経過により、乳児型、若年型、成人型に分類される。乳児型は生後6~7ヶ月までに発達の遅れが見られ、筋緊張低下、音に対する過敏症、眼底のチェリーレッドスポットを認める。肝脾腫、骨異常はほとんどない。若年型は2~10歳頃に発症し、臨床症状は乳児型に類似するが、やや軽度である。成人型は、発達は正常で20~30歳で発症する。歩行障害、構音障害が初期症状として多く、ジストニアなどの錐体外路症状を呈する。

疫学

日本でのテイ・サックス病の罹患率は8万~10万人に1人と考えられている。サンドホフ病は約30万人に1人とされ、GM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損症はきわめてまれである。

病因

中枢神経に多いGM2ガングリオシドなどを分解するβ-ヘキソサミニダーゼA、BまたはGM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損により発症する。これらに関係する遺伝子はHEXA、HEXB、GM2Aの3種類があり、HEXAの変異によりテイ・サックス病、HEXBの変異によりサンドホフ病、GM2Aの変異によりGM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損症が発症する。

症状

テイ・サックス病、サンドホフ病、GM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損症を臨床症状で区別するのは困難である。発症年齢により乳児型、若年型、成人遅発型に分類できる。
乳児型は3ヶ月ころまでの発達は正常な場合が多いが、その後精神運動発達遅滞や退行が見られる。眼底のチェリー・レッドスポットは特徴的である。けいれん、視覚や聴覚の障害、嚥下困難などが出現する。
若年型は比較的稀である。2歳~10歳で発症する。進行性の運動失調と協調運動障害の症状が発症し、けいれんも伴い退行が見られる。
成人遅発型は稀で、症状や経過は様々である。チェリー・レッドスポットは認めないことも多い。構音障害、ジストニア、運動失調、アテトーゼなどの錐体外路症状、精神障害など様々な症状を呈する。知的障害は軽度である。

診断

末梢リンパ球、皮膚線維芽細胞のヘキソサミニダーゼAおよびBの活性測定が有用。テイ・サックス病ではヘキソサミニダーゼAのみが、サンドホッフ病ではヘキソサミニダーゼAおよびBが欠損している。症状などから本症が疑われヘキソサミニダーゼAおよびBの活性測定が正常範囲の場合にGM2ガングリオシド活性化蛋白質欠損症を疑い、皮膚線維芽細胞を用いた特殊検査が必要となる。また、遺伝子診断としてはHEXA、HEXB、GM2Aなどの遺伝子変異を検出する。日本人テイ・サックス病では、IVS5,-1G>Tのスプライス異常が多い。

治療

現段階では対症療法に限られる。マラリア治療薬であるピリメサミンがシャペロンとして有効との報告があるが、臨床応用はなされていない。

予後

乳児型の患者さんは、3歳までに亡くなることが多い。若年型は、10~15歳くらいで植物状態になり亡くなることが多い。
成人型は錐体外路症状、精神障害などで生活が困難となる。

成人期以降

成人型は臨床症状や経過が様々であり、脊髓小脳変性症などとの鑑別に注意する。

参考文献

新寳理子、酒井規夫:GM2ガングリオシドーシス. 別冊日本臨床 新領域別症候群 No.20 先天代謝異常症(第2版) 下—病因・病態研究、診断・治療の進歩—:486-490,2012.
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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