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グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症

ぐるこーすとらんすぽーたーわんけっそんしょう

Glucose transporter 1 deficiency

告示番 号65
疾病名グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症
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概要・定義

グルコーストランスポーター1 (GLUT1) 欠損症はSLC2A1遺伝子の変異により血液脳関門から脳内へのグルコースの取り込みが障害され、乳児期発症のてんかん性脳症、発達遅滞、痙性麻痺、運動失調、不随意運動などの神経症状が引き起こされる疾患であり、髄液糖の減少を特徴とする。

疫学

約200人の症例が報告されている。本邦における全国調査(平成23年度)では、本疾患の患者は50人以上が確認された。

病因

脳のエネルギー源であるグルコースのトランスポーターの異常により、代謝性てんかん性脳症や発達遅滞などの神経症状が引き起こされる。原因遺伝子は染色体1p34.2に存在するSLC2A1であり、SLC2A1のヘテロ接合性の変異によるハプロ不全により発症することが多い。

症状

乳児期発症のてんかん性脳症、発達遅滞、後天性小頭症、痙性麻痺、運動失調、不随意運動などの神経症状が出現する。乳児期早期に発作性異常眼球運動発作で発症することが多い。てんかんは抗てんかん薬による治療に抵抗性で、空腹で発作頻度が上昇する。GLUT1欠損症には、軽症例が報告されており、軽症例では、てんかんや発作性労作誘発性ジスキネジアのみを示すものもある。

診断

治療

ケトン食療法がてんかん発作や認知機能に対して有効である。早期に治療を開始することにより、知的な予後が改善する可能性がある。早乳幼児期には3:1のケトン食療法が行われることが多い。思春期以降もケトン食を継続するが、修正アトキンス食などを行うことがある。ケトンフォーミュラが入手可能であり、ケトン食療法の献立を作成する上で利便性が高い。

予後

生命予後は良好である。てんかん発作は、乳幼児期に多いが、成長とともに減少する。認知障害や言語の非流暢性が様々な程度で見られる。

成人期以降

運動障害や、発作性労作誘発性ジスキネジアは思春期以降に悪化したり、あらたに出現する場合がある。

参考文献

1)小国弘量:グルコーストランスポーター1欠損症症候群の実態と診断治療指針に関する研究。厚生労働科学研究費補助金 (難治性疾患克服研究事業)平成23年度 総括・分担研究報告書。2012;1-7
2) Klepper J.GLUT1 deficiency syndrome in clinical practice. Epilepsy Res. 2012 ;100:272-7.


:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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