72

糖原病Ⅸ型

とうげんびょうきゅうがた

Glycogen storage disease type IX

告示番 号72
疾病名糖原病Ⅸ型
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概要・定義

糖原病IX型は加リン酸分解によりグリコーゲンのα-1.4結合を切断し、グルコース-1-リン酸が生成される反応を触媒するグリコーゲンホスホリラーゼをb(非活性型)からa(活性型)に変換する酵素、ホスホリラーゼキナーゼの欠損症である。異常を生じるサブユニットと発現臓器により分類される少なくとも4つの病型が知られ。X連鎖性肝型のIXa型(別名X連鎖性肝型糖原病、X-linked liver glycogenosis; XLG)が最も多い。

疫学

糖原病の中で、最も有病率が高い。

病因

ホスホリラーゼキナーゼは4種類のサブユニットの4量体(αβγδ)4を形成し、組織特異的なアイソザイムが存在するため、糖原病IX型には以下の臨床病型が存在する。
① IXa型(肝型);α1サブユニット異常症(原因遺伝子PHKA2、染色体 Xq22.13)
② IXb型(肝筋型);βサブユニット異常症(原因遺伝子PHKB、染色体 16q12.1)
③ IXc型(肝型);γサブユニット異常症(原因遺伝子PHKG 2、染色体 16p11.2)
④ IXd型(筋型);α2サブユニット異常症(原因遺伝子PHKA1、染色体 Xq13.1-q13.2)
IXa型、IXd型はX連鎖性遺伝性、IXb型、IXc型は常染色体劣性の遺伝形式をとる。

症状

IXa, IXb, IXc型では、空腹時の低血糖症状、肝腫大、腹部膨満、人形様顔貌、低身長、成長障害を発症する。低血糖は一般にI型糖原病に比し軽度である。IXb型とはIXd型では筋症状が出現し、IXb型では運動の遅れなど軽度のミオパチー症状を伴う。IXd型では、運動不耐、運動時有痛性筋けいれん、横紋筋融解症、ミオグロビン尿症が引き起こされる。

診断

治療

IXa, IXb, IXc型では低血糖やケトーシスの出現時には、グルコースを投与し、代謝性アシドーシスを補正する。低血糖の予防のために、特に乳児や小児では、頻回の食事摂取や必要に応じて、夜間の持続注入を行う。糖原病治療用ミルク、非加熱のコーンスターチを投与する。ショ糖、果糖、乳糖摂取を1回に大量に与えないように注意が必要である。IXd型では、横紋筋融解症、腎機能障害の急性期には、大量輸液,高カリウム血症対策と尿アルカリ化,急性腎不全に対しては血液透析などを行う。筋症状や筋崩壊の予防のために、重量挙げなどの強い等尺性の運動を避ける。

予後

IX型では、乳児期から出現する肝臓の腫大と身体の成長障害は軽症のことが多い。成長障害や肝腫大、低血糖は年齢とともに軽快し、多くの成人では無症状である。筋型ホスホリラーゼキナーゼ欠損症では、筋力低下が徐々に進行する場合がある。

成人期以降

常染色体劣性遺伝形式をとるIX型では、肝硬変を生じる例の報告があるため、長期的な経過観察が必要である。

参考文献

Beauchamp NJ1, et al. Glycogen storage disease type IX: High variability in clinical phenotype. Mol Genet Metab. 2007 ;92:88-99
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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