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カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅡ欠損症

かるにちんぱるみといるとらんすふぇらーぜつーけっそんしょう

Carnitine palmitoyl transferase II deficiency

告示番 号44
疾病名カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅡ欠損症
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概要・定義

カルニチン回路異常症の1つで、フリーカルニチンからアシルカルニチンの生成が障害されることにより、長鎖脂肪酸のミトコンドリア内への転送が障害され、脂肪酸代謝が十分行われずにエネルギー産生低下を引き起こす。新生児期発症型はけいれん、意識障害、呼吸障害などで急性発症し、著しい低血糖や高アンモニア血症、肝逸脱酵素の上昇などをきたす。乳児期以降は飢餓時や発熱時に、Reye様症候群として発症する。急性発症が死亡につながる症例もある。

疫学

本邦でのCPT2欠損症は約260,000出生に対して1例の頻度と推測されている。

病因

CPT2遺伝子(1p32.3に局在)の異常に基づきCPT2活性が低下し、アシルカルニチンから遊離カルニチンへの転換が障害されることによる。筋型のS113L変異は約60%を占める高頻度変異である。F352C変異は熱不安定型の日本人に特異的な多型として報告され、高熱時に重症化する急性脳症との関連が指摘されている(本疾患とは区別して考える)。

症状

新生児発症型はけいれん,意識障害,呼吸障害,心不全などで急性発症し,著しい低血糖や高アンモニア血症,肝逸脱酵素の上昇,高CK血症,心筋症などをきたし、致死率が高い。伝導障害や上室性頻拍などの不整脈が初発症状としてみとめられることも多い。先天奇形(小頭症,外表奇形,嚢胞性異形成腎)などが認められることがある。
乳幼児発症型は、感染や長時間の飢餓を契機に急性発症し,急性増悪を繰り返すこともある。急性期の症状は,筋力低下,急性脳症様/Reye様症候群様発作,突然死などである。
遅発型は、主に年長児,学童あるいは成人以降に,間欠的な横紋筋融解症,筋痛などの症状を呈する。

診断

治療

急性期は長鎖脂肪酸の利用障害によるエネルギークライシスとミトコンドリアの2次的機能障害が中心であるため,これらを改善させる治療が必要である。輸液や各種ビタミン剤の投与、カルニチンの投与(20-30mg/kg/day)、高アンモニア血症があればアルギニン、フェニル酪酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムなどの投与を行う。安定期には食事間隔の指導(年齢に応じた空腹許容時間の厳守)、シックデイにおける早期治療介入、高炭水化物(総カロリーの70%程度),低脂肪食(総カロリーの20%以下)などの栄養療法を行う。中鎖脂肪酸はミトコンドリア内への輸送は障害されないため,中鎖トリグリセリド(MCT)オイル,MCTパウダーやMCT強化乳の摂取が推奨される。

予後

新生児発症型は、予後不良である。乳幼児型も急性期に速やかな治療が行わなければ死に至ることもある。遅発型においては筋症状の重症度・頻度は様々である。

成人期以降

遅発型も含め,学童期以降の成人期のリスクとして,ダイエット,過度な運動,外科手術,妊娠,出産,飲酒が挙げられるので注意を要する

参考文献

1) Roe CR,et al: Mitochondrial fatty acid oxidation disoders. The Metabolic and molecular Bases of Inherited disease, 8thed, McGraw-Hill, NY, 2001 p2299,Fig.101-2
2) 重松陽介:タンデムマス診断精度向上・維持, 対象疾患設定に関する研究. 厚生労働省科学研究費補助金「タンデムマス導入による新生児マススクリーニング体制の整備と質的向上に関する研究」/平成23年度総括・分担研究報告書, p49-57, 2012
3) Thomas Wieser. Carnitine Palmitoyltransferase II Deficiency. GeneReviews™ [Internet]. Initial Posting: August 27, 2004; Last Update: October 6, 2011.

:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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