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アルカプトン尿症

あるかぷとんにょうしょう

Alkaptonuria

告示番 号97
疾病名アルカプトン尿症
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概要・定義

アルカプトン尿症は、チロシンの代謝経路上に位置する、ホモゲンチジン酸(homogentisic acid, HGA)をマレイルアセト酢酸へと転換するHGA-1,2-ジオキシゲナーゼの遺伝的欠損により発症する先天代謝異常症のひとつで、常染色体劣性遺伝を示す(1)。本症の特徴的な所見は、尿中へのHGAの排泄増加、HGAポリマーやHGAの酸化物の組織沈着による結合織の褐色変化、脊椎や大関節の関節炎、である。また、心血管系へHGAが沈着すると、大動脈弁や僧帽弁の閉鎖不全症などが生じる。

疫学

我が国では、極めて稀な疾患である。スロバキア系民族では本症の発生頻度が、19,000人に1人と高く、この原因は4種類のHGD遺伝子変異の創始者効果に起因することが知られている(2)。

症状

小児期は、アルカリ化した尿が暗褐色を呈することが唯一の症状である。HGAは尿を長期間放置後アルカリ性となった場合に暗褐色となるが、酸性下では無色のため尿色の変化に気づかれない事も多い。20歳代からの関節炎、30歳代の組織の色素沈着、40歳代での大動脈拡張、大動脈弁や僧帽弁の閉鎖不全症が現れる。同じく40歳代に前立腺結石や腎結石などの泌尿器の合併症も出現する。他の多くのアミノ酸代謝異常症とは異なり、精神発達遅滞の合併はない。

診断

治療

関節痛に対する治療が問題となる。膝関節、股関節、肩関節が痛みの原因である場合、人工関節置換術が考慮される。筋力や柔軟性と保つためには、理学療法が必要になる。新しい治療薬として、HGA産生酵素である4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼの阻害薬であるニチシノンが検討されている。HGA産生を抑制することでHGAの蓄積による諸症状を軽減することを目的としている(3)。

予後

小児期は基本的に無症状であり、生命予後は一般に良好である。

成人期以降

循環器系の合併症の有無は生命予後に影響するため、40歳以後は心臓の1~2年毎の定期検査を受診することが望ましい。心エコー検査で、大動脈拡張の有無や大動脈弁・僧帽弁の閉鎖不全の有無をチェックする。また、CT検査で冠動脈の石灰化の有無を調べる。

参考文献

1) Fernández-Cañón JM, The molecular basis of alkaptonuria. Nat Genet. 1996;14:19-24.
2) Zatkova A. Rapid detection methods for five HGO gene mutations causing alkaptonuria. Clin Genet. 2003;63:145-9.
3) Suwannarat P, Use of nitisinone in patients with alkaptonuria. Metabolism. 2005;54:719-28.
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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