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原発性高シュウ酸尿症

げんぱつせいこうしゅうさんにょうしょう

Primary hyperoxaluria

告示番 号102
疾病名原発性高シュウ酸尿症
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概要・定義

原発性高シュウ酸尿症Ⅰ型(primary hyperoxaluria type 1; PH1)は肝臓のペルオキシソームに存在するアラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(alanine:glyoxylate aminotransferase: AGT)の欠損により、肝臓内のグリオキシル酸が蓄積する常染色体劣性遺伝性疾患で、ペルオキシソーム病の範疇に含まれている。一方、原発性高シュウ酸尿症Ⅱ型(PH2)は肝臓のサイトゾルに局在するグリオキシル酸還元酵素/ヒドロキシピルビン酸還元酵素(GRHPR)の欠損によりグリオキシル酸が蓄積する常染色体劣性遺伝性疾患である。グリオキシル酸はシュウ酸の前駆物質であり、両型とも過剰に産生されたシュウ酸により、不溶性のシュウ酸カルシウムが腎臓をはじめ全身の臓器に沈着して多臓器に障害をきたす。
最近、non-PH1/non-PH2のPHの家系例で、ホモ接合体マッピング法により10番染色体q24.2に存在するDHDPSL遺伝子の変異が第3のPHの病因であると報告され、この遺伝子はミトコンドリア内のヒドロキシプロリンからグリオキシル酸への代謝経路にある酵素蛋白をコードしていると示唆されている。

疫学

本邦では1962年から2003年までの原発性高シュウ酸尿症患者59例の報告がまとめられている1)。

病因

PH1はAGT、PH2はGRHPRの欠損によりグリオキシル酸が蓄積する常染色体劣性遺伝性疾患である。

症状

PH1の発症は乳児期より50歳までみられるが、半数以上の症例は5歳以前に、90%以上は25歳までに尿路結石の典型的症状である腎仙痛や無症候性血尿で発症する2)。その後、尿路結石を繰り返し、腎石灰化症、腎不全が進行して、ほとんどの症例で末期の腎不全状態に陥る。腎以外の症状では、致命的な症状として心筋内へのシュウ酸カルシウム沈着による不整脈が挙げられ、本症の透析患者の死因の半数を占めている。さらに痛風に類似した骨痛や網膜症、歯の異常、末梢神経障害、腎不全による成長障害などがみられる。
一方、PH2小児例では診断時年齢は平均1.7歳(0.8〜15歳)で、尿路結石の症状で発症し、初診時に腎石灰化症まで呈することはまれである。経過もPH1より軽症で腎不全まで進行する例もまれである3)。

診断

治療

対症療法としてはシュウ酸結石を抑制するために、多量の水分摂取による尿量の維持、尿中シュウ酸の溶解度を高めるマグネシウムやサイアザイトの投与が検討されている。また PH1の軽症例ではAGTの補酵素であるビタミンB6の内服投与に反応する場合もあり、PH2についても有効との報告がある。腎不全に対しては血液または腹膜透析が行われるが、内因性のシュウ酸の産生を上回る透析効率を得ることは難しい。
根治的な治療法としてはPH1では欠損した肝臓のAGT酵素を補充するための肝移植で、回復が期待出来ない腎不全に対しては腎移植が必要である。

予後

国外の報告によると、PH1では18歳以上で診断されたのは30%で、そのうちの59%は腎疾患末期であったのに対し、18歳未満で診断された症例での末期患者は23%であった4)。一方、PH2では石灰沈着はPH1より軽度であり、経過も腎疾患末期患者がPH1では12例中4例に対して、PH2では8例中0例であった5)。

参考文献

1) Takayama T et al: Primary hyperoxaluria type 1 in Japan. Am J Nephrol 25: 297-302, 2005.
2) Latta K, Brodehl J. Primary hyperoxaluria type I. Eur J Pediatr 1990;149: 518-22.
3) Johnson SA et al. Primary hyperoxaluria type 2 in children. Pediatr Nephrol 2002;17:597-601.
4) van Woerden CS et al. Primary hyperoxaluria type 1 in The Netherlands: prevalence and outcome. Nephrol Dial Transplant 2003;18: 273-9.
5) Milliner DS et al. Phenotypic expression of primary hyperoxaluria: comparative features of types I and II. Kidney Int 2001;59:31-6.

:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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