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3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症

さんめちるくろとにるこえーかるぼきしらーぜけっそんしょう

3-methylcrotonyl-CoA carboxylase deficiency

告示番 号106
疾病名3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症
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概要・定義

ロイシン異化過程の中間代謝産物である3-メチルクロトニル-CoAを3-メチルグルタコニル-CoAに変換する3-メチルクロトニル-CoAカルボキシラーゼ(MCC)欠損により生ずる常染色体劣性遺伝性疾患である。典型例は乳幼児期に感染症罹患等を契機にReye症候群様症状で発症するが、偶然発見される無症状例から重度の発達遅滞例など多彩な臨床像が報告されている1)2)。

疫学

欧米での発症頻度は3.6~8.5万人に1人、有症状者は全体の約10%程度、さらに重症な患者は1~2%のみと考えられている2)3)4)。日本では約15万出生に1人と推定されている5)。

病因

MCCはミトコンドリアに局在するビオチンを補酵素とする酵素であり、α鎖とβ鎖の二つの異なるサブユニットからなる。α鎖はビオチンを含有しMCCC1(MCCA)遺伝子に、β鎖はMCCC2(MCCB)遺伝子にそれぞれコードされており、本症はα鎖、β鎖いずれかの欠損により生じる1)2)。

症状

生後6か月から3歳までに、発熱や嘔吐・下痢などの急性疾患罹患時にけいれん、嗜眠、昏睡、代謝性アシドーシス、低血糖、高アンモニア血症などReye症候群様症状で発症することが多い6)。適切な治療がなされなければ、脳浮腫が進行し、救命されても重大な神経学的後遺症を残す。新生児スクリーニングで発見された症例は、多くの場合無症状であるが、検査上低カルニチン血症、軽度の高アンモニア血症を呈することが多い。家族解析で無症状の同胞例が発見されることがある。

診断

治療

急性発作時:適切な電解質を含んだ高張糖液を用いてエネルギーを補給し異化作用を抑制する。末梢から十分なエネルギーを投与できない場合は中心静脈ラインを利用する。適宜インスリンの併用やビタミン、アルカリ化剤、レボカルニチン投与を行う。
慢性期:症状の有無にかかわらず低カルニチン血症を認める場合はレボカルニチン(エルカルチン®)を30~100mg/kg/日投与する。低蛋白食やロイシン除去粉乳を用いたロイシン制限食が勧められているが、その効果は不明である7)。
Sick day:急性疾患罹患等により異化作用が亢進すると重篤なアシドーシス発作を起こす危険性がある1)6)。発熱、嘔吐・下痢などにより経口摂取が不十分である場合は高張糖液の補液を行い、異化亢進を予防する。
急性発作時:適切な電解質を含んだ高張糖液を用いてエネルギーを補給し異化作用を抑制する。末梢から十分なエネルギーを投与できない場合は中心静脈ラインを利用する。適宜インスリンの併用やビタミン、アルカリ化剤、レボカルニチン投与を行う。
慢性期:症状の有無にかかわらず低カルニチン血症を認める場合はレボカルニチン(エルカルチン®)を30~100mg/kg/日投与する。低蛋白食やロイシン除去粉乳を用いたロイシン制限食が勧められているが、その効果は不明である7)。
Sick day:急性疾患罹患等により異化作用が亢進すると重篤なアシドーシス発作を起こす危険性がある1)6)。発熱、嘔吐・下痢などにより経口摂取が不十分である場合は高張糖液の補液を行い、異化亢進を予防する。

予後

急性アシドーシス発作を起こさなければ予後は良好である。

成人期以降

新生児スクリーニング陽性を契機に未発症の母親が発見される可能性がある。無症状であっても低カルニチン血症を認めればレボカルニチン(エルカルチン®)を投与すべきと考える7)。

参考文献

1) Uematsu M, et al. Novel mutations in five Japanese patients with 3-methylcrotonyl-CoA carboxylase deficiency. J Hum Genet 2007; 52:1040–1043
2) Stadler SC, et al. Newborn screening for 3-methylcrotonyl-CoA carboxylase deficiency: population heterogeneity of MCCA and MCCB mutations and impact on risk assessment. Hum Mutat 2006; 27:748–759
3) Grünert SC, et al.: 3-Methylcrotonyl-CoA carboxylase deficiency: clinical, biochemical, enzymatic and molecular studies in 88 individuals. Orphanet J Rare Dis2012; 7: 31-54
4) Koeberl DD, et al.: Evaluation of 3-methylcrotonyl-CoA carboxylase deficiency detected by tandem mass spectrometry newborn screening. J Inherit Metab Dis 2003; 26: 25-35
5) 山口清次:タンデムマス導入による新生児マススクリーニング体制の整備と質的向上に関する研究.厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業 平成22~24年度総合研究報告書2013: 3-17
6) Ficicioglu C, et al.: 3-Methylcrotonyl-CoA carboxylase deficiency: metabolic decompensation in a noncompliant child detected through newborn screening. Pediatrics 2006; 118:2555–2556
7) Arnold GL, et al. A Delphi-based consensus clinical practice protocol for the diagnosis and management of 3-methylcrotonyl CoA carboxylase deficiency. Mol Genet Metab 2008; 93:363–370

:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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