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無β-リポタンパク血症

むべーたりぽたんぱくけっしょう

Abetalipoproteinemia

告示番 号40
疾病名無β-リポタンパク血症
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概要・定義

リポ蛋白粒子形成に関与するミクロソームトリグリセリド転送蛋白の遺伝子異常により発症する常染色体劣性遺伝性疾患である。小腸で吸収された食事性脂肪はリポ蛋白として転送されずに細胞内に蓄積するため、脂肪吸収障害による下痢、脂肪便となり腹痛、成長障害などを、脂溶性ビタミン欠乏による神経症状、発達遅滞などを呈する。また、肝臓で合成された脂肪も全身に転送されることなく脂肪肝となる1、2)。

疫学

まれな疾患である。これまでの報告は世界で数十家系にとどまる。我が国では数家系の報告がある。

病因

1993年、本症で、主に肝細胞および小腸上皮細胞のミクロソーム分画に存在してトリグリセライド(TG)やコレステロールエステルの転送を担うタンパクであるmicrosome triglyceride transfer protein (MTP) の遺伝子変異が同定された。

症状

乳児期の脂肪便、慢性下痢、発育障害がみられる。十二指腸粘膜は脂質蓄積で特徴的な黄白色調となる。脂溶性ビタミン欠乏の症状や脂肪肝を呈する。ホモ接合体のみ発症し、ヘテロ接合体では無症状で、血清脂質も正常とされる。

診断

血中総コレステロールは20~50 mg/dl程で、ほとんどがHDL-Cである。TGも10 mg/dl以下となる。アポBも測定感度以下となり、脂溶性ビタミンが低下する。抹消血に有棘赤血球がみられるのも特徴的である。兄弟、両親の検査も必要。MTP欠損の証明には、小腸あるいは肝生検組織でのMTP活性測定と遺伝子変異の同定が必要。家族性低β-リポタンパク血症との鑑別を要するが無β-リポタンパク血症の方が重篤とされる。

治療

脂溶性ビタミン、特にビタミンEを大量に補充する。消化器症状には脂肪制限する。中鎖脂肪酸 (MCT) を用いることもある。

予後

未治療では神経学的合併症によりADLが低下する1、2)。

成人期以降

成人期以降も小児期同様の治療が必要である。

参考文献

1.大橋健. 無β-リポタンパク血症(ミクロソームトリグリセリド転送タンパク欠損症). 日本臨床 別冊先天代謝異常症候群-病因・病態研究、診断・治療の進歩- (第2版、下) 2012; 108-111
2.石神眞人, ほか. 低脂血症の病因, 診断と管理. 山下静也(編), 最新医学 別冊 新しい診断と治療のABC 13脂質異常症(高脂血症), 改訂第2版. 最新医学社, 2008; 463-473
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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