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ビオプテリン代謝異常症

びおぷてりんたいしゃいじょうしょう

Tetrahydrobiopterin deficiency

告示番 号56
疾病名ビオプテリン代謝異常症
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概要・定義

ビオプテリン代謝異常症は、3種の芳香族アミノ酸〔フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)〕水酸化酵素に共通の補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)の先天的な代謝異常によりBH4の欠乏をきたす遺伝性疾患である1)。一般には高フェニルアラニン血症(高Phe血症)を伴うものをさしていうが、広義には高Phe血症を伴わないものも含まれる2)。前者はフェニルケトン尿症(PKU)と異なり、低フェニルアラニン食による血清Phe値のコントロールにもかかわらず、重症で進行性の中枢神経症状が発症するが、新生児マス・スクリーニングで発見し、発症前に治療を開始すれば予後は良好である。後者は瀬川病とセピアプテリン還元酵素(SR)欠損症で、中枢神経症状のみで高Phe血症を伴わないため新生児マス・スクリーニングでは発見できず、神経症状を発症してから診断されるため治療が遅れることがある。

疫学

高Phe血症を伴うBH4欠損症の頻度は約170万人に1例である。本邦では瀬川病は約160例、SR欠損症は1例である。

病因

BH4の生合成系または再生系酵素をコードする遺伝子の先天的な変異によりBH4の欠乏をきたす遺伝性疾患で、常染色体劣性遺伝形式をとるが、瀬川病だけは常染色体優性遺伝形式をとる。BH4の欠乏によりPhe,Tyr,Trp水酸化反応の障害が起こり高Phe血症だけでなく、カテコールアミンとセロトニンの合成障害が同時に起こるため、神経伝達物質の低下による重篤な中枢神経障害がおこる。

症状

ビオプテリン代謝異常症では高Phe血症とジストニアなどの運動障害の他、睡眠障害や情緒障害が発症する。高Phe血症を伴わないSR欠損症では運動障害と情緒障害が、また瀬川病では運動障害が認められる。

診断

血液・尿プテリジン分析と乾燥濾紙血ジヒドロプテリジン還元酵素(DHPR)活性の測定により補酵素BH4の鑑別診断を行う。高Phe血症を伴わないSR欠損症と瀬川病では神経症状のジストニアで発見されるが、ドーパに対する反応性とプテリジン分析で鑑別し、遺伝子解析で診断する。

治療

高Phe血症の治療はBH4の投与またはPhe制限食で治療する。神経症状の治療はカテコールアミンに対してはL-DOPAの投与をセロトニンに対しては5HTPの投与を行う。

予後

高Phe血症を伴うBH4欠損症では乳児期早期より治療を開始しすれば全く正常に発達し、予後は良好である。SR欠損症と瀬川病は発症してから診断されるため治療の開始時期による影響はあるが一般に予後は良好である。

成人期以降

神経伝達物質の補充療法は生涯必要であり数日の退薬で死亡することがあるため、できるだけ一人暮らしはさけることを本人と家族に周知する必要がある。

参考文献

1) Shintaku H:Disorders of tetrahydrobiopterin metabolism and their treatment. Curr Drug Metab 2002;3:123-31
2) 新宅治夫:バイオプテリンと小児神経疾患、脳と発達、2009;41(1): 5 -10
:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
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