120

先天性葉酸吸収不全症

せんてんせいようさんきゅうしゅうふぜんしょう

Hereditary folate malabsorption

告示番 号76
疾病名先天性葉酸吸収不全症
診断手引き、医療意見書等のダウンロードはこちら

概要・定義

先天性葉酸吸収不全症(HFM)は葉酸の輸送体であるPCFT (proton-coupled folate transporter)の機能障害を原因とする常染色体劣性遺伝性疾患である。

疫学

極めて希であり、国内から報告は10例に満たない。

病因

SLC46A1(PCFTをコードする遺伝子)の機能喪失型変異に起因する。小腸上皮での吸収不全による全身性の葉酸欠乏と、脳脈絡膜での中枢神経系の葉酸欠乏によって病像が作られる。

症状

出生時の葉酸が枯渇する生後数か月から以下の症状で発症する。
・哺乳不全、体重増加不良
・遷延性下痢、口腔粘膜障害
・巨赤芽球性貧血、汎血球減少症
・免疫不全様徴候(カリニ肺炎、低ガンマグロブリン血症)
・精神発達遅滞、運動障害、失調、けいれん
・大脳基底核に石灰化病変を認めることがある。

診断

治療

・フォリン酸(folinic acid、ロイコボリンR)の非経口(筋肉注射など)もしくは経口大量投与
・葉酸(folic acid)の使用は不適当と考えられている

予後

未治療(診断に至らなかった例など)の場合には感染などによる死亡例が報告される一方で、乳児期早期からの適切な治療により通常の生活を営んでいる成人例の報告もある。

成人期以降

成人期においても前述の治療の継続が必要である。

参考文献

1) Diop-Bove N, et al. Gene Review: Hereditary Folate Malabsorption. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1673/
2) 辻恵、ほか. 先天性葉酸吸収不良. 先天代謝異常症候群(第2版) 日本臨牀社 2012;278-281

:バージョン2.0
更新日
:2015年5月25日
文責
:日本先天代謝異常学会
「小児慢性特定疾病の対象疾患について」に戻る