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1から6までに掲げるもののほか、糖尿病

そのた、とうにょうびょう

Other diabetes mellitus

告示番 号7
疾病名1から6までに掲げるもののほか、糖尿病
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概念・定義

糖尿病は、慢性的に高血糖をきたす病気である。1から6までに1型、2型、若年発症成人型糖尿病(MODY)、新生児糖尿病、インスリン受容体異常症、脂肪萎縮性糖尿病、が挙げられている。その他の糖尿病として、膵外分泌疾患、内分泌疾患、薬剤や化学物質によるもの、感染症、免疫機序によるまれな病態、その他の遺伝的症候群で糖尿病を伴うことの多いもの、などがある。

疫学

小児慢性特定疾患治療研究事業(小慢事業)への糖尿病全体での登録症例は、2005~2011年では、年間で新規約800例、継続約5,500例、転入、再開など含め合計約 6,200例であった。そのうち、1から6までに掲げるもののほかの糖尿病は、約30~40例が毎年登録されている。

病因


    病因は以下に示すように様々である。

  • 1)膵外分泌疾患

    膵炎、外傷 / 膵摘出、腫瘍、嚢胞性線維症、ヘモクロマトーシス、繊維石灰化膵疾患、その他

  • 2)内分泌疾患

    巨人症(先端巨大症)、クッシング症候群、グルカゴン産生腫瘍、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症、ソマトスタチン産生腫瘍、アルドステロン産生腫瘍、その他

  • 3)薬剤や化学物質によるもの

    Vacor、ペンタミジン、ニコチン酸、グルココルチコイド、甲状腺ホルモン、ジアゾキサイド、β- アドレナリン刺激薬、サイアザイド、ジランチン、α- インターフェロン、その他

  • 4)感染症

    先天性風疹感染、サイトメガロウイルス、コクサッキーB4、その他

  • 5)免疫機序によるまれな病態

    スティフマン症候群、自己免疫性多内分泌腺症候群1型・2型、その他

  • 6)その他の遺伝的症候群で糖尿病を伴うことの多いもの

    ダウン症候群、クラインフェルター症候群、ターナー症候群、ウオルフラム症候群、フリードライヒ症候群、ハッチンソン舞踏病、ローレンス―ムーン―ビードル症候群、筋緊張性ジストロフィー、ポルフィリア、プラダー―ウイリー症候群、その他

症状

診断の病期により症状は様々である。
無症状の症例から口渇、多飲、多尿を示す症例、さらに糖尿病ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis: DKA)で発症する症例がある。

診断

糖尿病の診断には慢性高血糖の確認が不可欠である。空腹時血糖値、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、随時血糖値、およびHbA1c値から慢性の高血糖が確認できれば、糖尿病と診断する。
糖代謝の判定区分は血糖値を用いた場合、糖尿病型(①空腹時血糖値≧126 mg/dl、または②75 g 経口糖負荷試験(OGTT)2 時間値≧200 mg/dl、あるいは③随時血糖値≧200 mg/dl)、正常型(空腹時血糖値<110 mg/dl、かつOGTT2 時間値<140 mg/dl)、境界型(糖尿病型でも正常型でもないもの)に分ける。また,④HbA1c(NGSP)≧6.5 %の場合も糖尿病型と判定する。
  1. 初回検査で、上記の①~④のいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定する。別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。但し、HbA1c のみの反復検査による診断は不可とする。また、血糖値とHbA1c が同一採血で糖尿病型を示すこと(①~③のいずれかと④)が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断する。 
    HbA1c を利用する場合には、血糖値が糖尿病型を示すこと(①~③のいずれか)が糖尿病の診断に必須である。糖尿病が疑われる場合には、血糖値による検査と同時にHbA1c を測定することを原則とする。
  2. 血糖値が糖尿病型(①~③のいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。


    • 糖尿病の典型的症状(口渇,多飲,多尿,体重減少)の存在
    • 確実な糖尿病網膜症の存在

  3. 過去において上記1.ないし2.の条件がみたされていたことが確認できる場合は、現在の検査結果にかかわらず、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いをもって対応する。
  4. 診断が確定しない場合には、患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
  5. 糖尿病の臨床診断に際しては、糖尿病の有無のみならず、成因分類、代謝異常の程度、合併症などについても把握するよう努める。

治療


  • 1)薬物治療

    糖尿病に至った病因によって治療方針は異なる。
    インスリン治療を開始する基準としては、DKAやケトーシスのある場合、血糖日内変動で200 mg/dl以上が高頻度にみられる場合などである。インスリン療法の選択は各年代の特徴を理解して、本人の実生活を把握して行う。持効型インスリンと超速効型インスリンを用いた基礎―追加インスリン療法による頻回注射法が最も多い。持続皮下インスリン注入療法(CSII)も小児で増加しつつある。
    経口血糖降下薬として、メトホルミン、α―グルコシダーゼ阻害薬、グルメピリドなどを用いる。GLP-1受容体作動薬やDPP-4阻害薬もあるが、特にDPP-4阻害薬については小児では慎重にすべきである。
    血糖のコントロール目標値は早朝、食前で90~145mg/dl、食後で90~180mg/dl、就寝時で120~180mg/dlである。目標HbA1c値は、全小児期年齢で7.5%(NGSP)未満である。9.0 %以上はハイリスクであり介入を必要とする。

  • 2)食事療法

    糖尿病に至った病因によって食事療法も異なる。ただし、栄養のバランスのとれた規則正しい食生活を指導することは大切である。肥満を伴っている場合は、食事、運動療法による肥満の改善が重要である。

予後

 糖尿病の慢性合併症には、細小血管症(網膜症、神経障害、腎症)と大血管症(心疾患、脳卒中、など)がある。高血圧、脂質代謝異常(中性脂肪高値、HDLコレステロール低値、LDLコレステロール高値)にも注意が必要である。
 小児・思春期において、罹病期間が2 年経過していたら暦年齢の11 歳から、罹病期間が5 年経過していたら歴年齢9 歳から、眼底検査スクリーニングが最も効率的に網膜症の進展を検出する。また、早期腎症の評価のために、微量アルブミン尿の検査を定期的に行う。

文献


  • 1)清野裕、他、糖尿病診断基準に関する調査検討委員会 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)、糖尿病 2012;55(7):485-504.
  • 2)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 日本糖尿病学会編集、2013、南江堂.
  • 3)Craig ME, Hattersley A, Donaghue KC: Definition, epidemiology and classification of diabetes in children and adolescents. Pediatr Diabetes 2009: 10(suppl 12): 3-12.
  • 4)小児・思春期糖尿病管理の手引き 改訂第3版、コンセンサス・ガイドライン 日本糖尿病学会、日本小児内分泌学会編、2011、南江堂.
  • 5)糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第5版、日本糖尿病学会編集、2012、診断と治療社.
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会
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