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インターロイキンⅠ受容体拮抗分子欠損症

いんたーろいきんわんじゅようたいきっこうぶんしけっそんしょう

deficiency of the interleukin-1-receptor antagonist

告示番 号13
疾病名インターロイキンⅠ受容体拮抗分子欠損症
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概念・定義

 本疾患は、炎症性サイトカインであるIL-1とⅠ型IL-1レセプターに対して競合阻害するIL-1レセプターアンタゴニストの欠損により起こる、常染色体劣性遺伝形式の自己炎症性疾患である。膿疱症・骨髄炎・骨膜炎が主症状となる。

病因

 本疾患は、2009年に、IL-1RaをコードするIL1RN遺伝子の機能喪失型ホモ変異が原因である疾患として報告され、その後コンパウンドヘテロ変異での発症も確認されている。IL-1レセプターアンタゴニストによるIL-1シグナルの抑制機構が障害され、IL-1のシグナル伝達が過剰となり炎症が生じると考えられている。

疫学

 非常に稀な疾患であり、現時点では本邦での報告はまだない。全世界でもこれまでに10例程度の報告しかない。

臨床症状

 生下時もしくは生後3週間以内に発症することが多く、その症状としては、膿痂疹様発疹、関節腫脹、口腔内粘膜病変等が報告されている。全身症状として、他の炎症性疾患と異なり、発熱を認めない症例が大部分である。
皮膚所見として、局部に嚢胞が散在する程度から、全身に重度の膿疱症あるいは魚鱗癬様皮疹が広がる症例も存在する。組織学的には表皮・真皮の著明な好中球浸潤、毛嚢に沿う膿瘍形成、表皮肥厚や過角化を認める。
 骨・関節病変としては、骨痛・同部位の腫脹発赤や関節の腫脹を認め、X線検査で長管骨骨幹端部や肋骨前面先端部の肥大、骨膜増生、骨融解像、異所性骨化を認める。骨生検では化膿性骨髄炎、線維化、骨硬化を認めるが、無菌性である。
 またその他の症状として、血管炎、呼吸障害、間質性肺炎、結膜炎、成長障害等を認める症例の報告がある。
 血液検査所見では、白血球増多、血沈亢進、CRP高値等の炎症所見を認める。

診断

治療

 日本ではまだ未承認薬ではあるものの、リコンビナントIL-1レセプターアンタゴニストであるアナキンラがほとんどの症例で有効であることが確認されている。一方、抗生物質や非ステロイド性抗炎症薬は無効であり、各種抗リウマチ薬(メソトレキサート・シクロスポリン・アザチオプリン・エタネルセプト・サリドマイド・IFNγ・免疫グロブリン大量静注)やステロイド大量療法も限られた効果しか示さないことも報告されている。

予後

 アナキンラによる治療がなされなかった例では、小児期早期の死亡例も存在し、適切な治療なしでは予後不良と考えられる。アナキンラ投与症例では、多くの症例において炎症所見の消失・症状の改善を維持することが可能とされているが、長期予後としてはまだ不明である。

文献

1) Aksentijevich, I. et al.: An autoinflammatory disease with deficiency of the interleukin-1-receptor antagonist. N. Engl. J. Med., 360: 2426-2437, 2009.

2) Reddy, S. et al.: An autoinflammatory disease due to homozygous deletion of the IL1RN locus. N. Engl. J. Med., 360: 2438-2444, 2009.

3) 高田英俊:PAPA syndrome・DIRA・他の自己炎症性疾患, 医学のあゆみ, 235: 1185-1190, 2010.

4) 金澤伸雄:IL-1受容体アンタゴニスト欠損症, 炎症と免疫, 19: 43-48, 2011.

5) Stenerson, M. et al.: The first reported case of compound heterozygous IL1RN mutations causing deficiency of the Interluekin-1 receptor antagonist. Arthritis Rheum., 63: 4018-4022, 2011.

6) Jesus, A.A. et al.: Monogenic autoinflammatory diseases: concept and clinical manifestations. Clin. Immunol., 147: 155-174, 2013.
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児リウマチ学会
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