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中條・西村症候群

なかじょう・にしむらしょうこうぐん

Nakajyo-Nishimura syndrome

告示番 号19
疾病名中條・西村症候群
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定義・概念

 幼児期から発症する慢性反復性の炎症、発熱を特徴とする自己炎症疾患である。凍瘡様皮疹発症、結節性紅斑様皮疹、脂肪組織炎を認め、次第に長く節くれ立った指、関節拘縮、顔面と上肢を主体とする部分的脂肪筋肉萎縮が進行する。脂肪異栄養症および発熱を伴う慢性非典型的好中球性皮膚疾患症候群(Chronic Atypical Neutrophilic Dermatosis with Lipodystrophy and Elevated Temperature Syndrome :CANDLE Syndrome), あるいは関節拘縮、筋委縮、小球性貧血、脂肪異栄養症誘因性脂肪織炎(Joint contractures, Muscle atrophy, Microcytic Anemia, and Panniculitis Induced Lipodystrophy:JMP)と同一疾患である。プロテアソームを構成する20S構成因子の中のPSMB8が同定され、ユビキチン化蛋白質が蓄積が本症の発症に関わることが明らかになった。副腎皮質ホルモン薬が奏功せず、他に有効な薬剤がないため予後不良な難治性疾患である。

疫学

 CANDLE症候群は世界的に少なくとも60名知られている。本邦では内に10例程度で、大半が30-40歳代で幼児例も存在する

病因

 患者家系のlinkage 解析からプロテアソームを構成する20S構成因子の中のPSMB8が同定された。細胞内タンパク質は絶えず分解されアミノ酸に帰し、再び新たなタンパク白質として合成される。役割を終えたタンパク質は分解の目印としてユビキチン化された後、プロテアソームによって短いペプチド断片まで分解される。PSMB8遺伝子変異によってプロテアソーム複合体による細胞内の蛋白質分解機能が低下し、細胞内にユビキチン化蛋白質が蓄積すると、ストレスや死細胞刺激などによって増悪し、組織変性や炎症が惹起されると考えられる。CANDLE症候群、JMP、中條ー西村症候群の大多数の患者でPSMB8遺伝子変異が見出されている。本邦の患者では変異部位が同じことから、この部位に変異が起きやすい可能性や発端者保因者の変異が受け継がれてきた可能性が考えられる。本庄ではプロテアソーム活性の低下が報告されている。

症状

 CANDLE症候群は、乳児期や幼児期には反復性発熱で発症する。紫斑性の皮疹が出現し、特徴的な顔つきになる。すなわち、唇が厚く、紫色に腫脹した眼瞼、顔面の脂肪の喪失がみられる。また、関節炎を伴わない関節痛、結膜炎、結節性上強膜炎、軟骨炎、無菌性髄膜炎などを合併することがある。徐々に肝臓が肥大し、軽度の肝障害、貧血、筋肉量および末梢性の脂肪の減少がみられる。末期には関節拘縮や不整脈を認める。JMPは、本邦の中條-西村症候群の報告では、幼少児期に手足の凍瘡様皮疹にて発症する場合が多い。その後結節性紅斑 様皮疹が全身に出没したり、周期性発熱や筋炎症状を繰り返すようになる。早期より大脳基底核の石灰化を伴うが、成長発達障害ははっきりしない。次第に特徴 的な長く節くれ立った指と、顔面と上肢を主体とする部分的脂肪筋肉萎縮、やせが進行し、手指や肘関節の屈曲拘縮を来す場合がある。LDH、CPK、CRP や血清アミロイドAが陽性で抗核抗体も陽性になることがある。一方、ステロイド内服により、腹部や下半身の肥満を来す場合もある。呼吸障害や心機能低下のため に早世する場合がある

診断

治療

 副腎皮質ステロイド薬がやや有効である。副腎皮質ステロイド薬は発熱、皮疹などの炎症の軽減には有効だが、脂肪萎縮ややせなどには無効である。長期大量の内服による成長障害、緑内障、代償性肥満、骨粗鬆症など弊害も多い。NIHのグループは、マイクロアレイによるmRNA解析から、STAT1発現が増強していることを見出し、IFN経路を阻害する治療を試みている。さまざまな生物製剤の投与報告がみられるが奏功していない

予後

 長期的に疾患活動性は持続し、著効する治療法がないため予後不良である

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児リウマチ学会
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