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混合性結合組織病

こんごうせいけつごうそしきびょう

mixed connective tissue disease; MCTD

告示番 号25
疾病名混合性結合組織病
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概念・定義

 混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)は、全身性エリテマトーデス(SLE),多発筋炎(PM),全身性強皮症(SSc)様所見の混在する疾患である。本疾患では、SLE・PM・SScそれぞれの臨床所見が同一患者に同時にあるいは経過とともに認められ、血中に抗U1-RNP (ribonucleoprotein)抗体が検出されることが特徴である。小児の混合性結合組織病ではSLE・PM・SScの3つ所見を全て認めることは少なく、SLE様所見の比重が高く、PM・SSc様所見の比重が少ないことが特徴である。

疫学

 小児の混合性結合組織病は平成12年度厚生科学研究班による全国調査では小児人口10万人あたり0.33人と成人に比べて少ない。

病因

 小児のMCTDの病因は成人MCTDと同様に明らかとなっていない。一方、診断基準に示されているように抗U1-RNP抗体の産生が特徴であり何らかの自己免疫異常が病因に関連していることが示唆されている。

症状

1)共通症状:
 レイノー現象は98%の症例に認め小児のMCTDの中核所見である。寒冷時には頻発するが夏期には顕在化しにくいため、丁寧な問診や負荷サーモグラフィーによる他覚的検査が必要である。その他“ソーセージ様手指”あるいは“手背の腫脹”が病初期に高頻度に認められ、時間経過により“先細り指”を認める。これらの症状は、小児のMCTDに特徴的な共通症状として重要である。

2)混合所見:
 MCTD症例ではSLE、全身性強皮症および多発性筋炎/皮膚筋炎の三疾患の臨床症状もしくは検査所見が混在して認められることが特徴である。これらの混合所見の特徴は、三疾患の所見が完全型に重複することは少ないことが重要である。
 小児のMCTD例では、成人発症例に比べて顔面紅斑、光線過敏、リンパ節腫脹などSLE様所見の割合が高く、食道蠕動不全、肺線維症や指尖部潰瘍などの全身性強皮症様所見が少ないことが特徴である。

3)肺高血圧症:
 本疾患の成人症例での特徴的臨床所見として肺高血圧症が挙げられ、また重要な予後不良因子の一つとされている。小児例では肺高血圧の頻度は少ないものの死亡症例の検討で肺高血圧症が死亡原因となっていたことから肺高血圧症の存在は診断ならびに早期治療が必要な病態である。さらに自覚症状(労作時呼吸困難)が出現してから精査を開始した場合、肺高血圧症の重症度分類クラスⅡ以下の軽症例は成人例で約1/4であり早期治療が困難であることが明らかとなっている。このため、労作時呼吸困難など呼吸器症状を認めない症例についても定期的なスクリーニング検査を実施し、早期診断・早期治療を目指す必要がある。

4)その他:
 小児のMCTD症例は病初期にSLE様所見が主要となることが多いものの重症ループス腎炎の合併はSLEに比べて少ないが膜性腎炎の頻度がSLEに比べて多い。小児のMCTDの合併としてシェーグレン症候群を30%の小児例に認める。

5)臨床検査:自己抗体検査
 小児のMCTD症例では抗U1-RNP抗体陽性が特徴的である。抗核抗体検査法で斑紋型の蛍光染色パターンを示す。SLE症例においても抗U1-RNP抗体陽性を示す症例が存在する。このような症例ではMCTDの特徴的所見であるレイノー現象やリウマトイド因子、高ガンマグロブリン血症、膜性腎症を認めることが多く、経過観察や肺高血圧症の評価などが必要となる。

診断

治療

 小児のMCTDは成人と同様に抗U1-RNP抗体など自己抗体産生とそれに伴う炎症により病態が形成されている。このため治療はグルココルチコイドなどの抗炎症療法と自己抗体産生抑制を目的とした免疫抑制療法が主な治療となる。さらにSLEやPM、SSc様症状・検査異常に対してそれぞれに対する治療も行われる。特に小児のMCTDにおいて予後不良となる可能性が高い肺高血圧症と肺線維症について症状の出現前に検査・診断を行い早期に治療を開始することが重要である。

予後

 成人MCTDでは発病からの5年生存率は96.9%であり、主な死因として肺高血圧、呼吸不全、心不全が挙げられ、呼吸器循環器系の死因が全体の60%を占めている。一方、小児のMCTDでは症例数が少ないため生存率は明らかではない。一方、平成22年の難治性小児リウマチ性疾患に関する全国調査で難治性小児リウマチ性疾患における死亡症例312例の内、小児のMCTDにおける死亡は認めなかった。一方海外での死因の検討では肺高血圧症(7%)、肺線維症に伴う拘束性障害(15%)が挙げられている。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児リウマチ学会
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