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強皮症

きょうひしょう

systemic sclerosis

告示番 号24
疾病名強皮症
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概念・定義

 強皮症は皮膚硬化をはじめとした全身臓器の線維化を特徴とする原因不明の慢性疾患である。全身性強皮症 (SSc)は、皮膚症状の他に肺線維症・肺高血圧症や腎障害、消化器障害など全身臓器の合併症を認める。本疾患は、硬化の程度、進行などについては患者によって異なり多様な症状を認める。このため全身性強皮症を大きく2つに分けるLeRoyらの分類が国際的に広く用いられている。これは臨床症状から皮膚硬化が肘関節より体幹側に進展する“diffuse cutaneous SSc (d-SSc)”、皮膚硬化が肘関節までの末梢側に限局する”limited cutaneous SSc (l-SSc)“の2病型に分類される。

疫学

 SScの小児例は少なく、我が国でも小児リウマチ性疾患の約1%程度とされている。海外でも同様の頻度であり、男女比は1:3~1:5である。一方、成人例はわが国において2万人以上いることが確認されており、男女比は1:12で、30~50歳代に好発する。

病因

 小児期SScの病因は不明であるが、その基本病態は全身臓器の結合組織に生じる線維化である。この線維化の病態に、(1)結合組織における自己免疫応答、(2)血管内皮細胞障害、(3)皮膚線維芽細胞の活性化と増殖、(4)Transforming growth factor – β (TGF-β)やplatelet-derived factor (PDGF)、connective tissue growth factor (CTGF)など成長増殖因子、インターロイキン-1 (IL-1)やIL-6など炎症性サイトカインなどの関与が考えられている。

症状

1)皮膚病変:
 小児期SScの皮膚病変は対称性の手指の浮腫性腫脹 (swollen fingers)で始まり、経過とともに皮膚硬化を生じ萎縮期となり強皮症指 (sclerodactylia)へ進展する。その他の皮膚病変として近位皮膚硬化 (proximal scleroderma)や舌小帯短縮、手指屈曲拘縮、仮面様顔貌、皮下石灰化、全身色素沈着、顆粒状角化などを認める。早期診断に有用な皮膚所見として、爪床血管の、爪上皮出血点 (nailfold bleeding)や毛細血管拡張・蛇行/消失などを認める。進行例では手指などに難治性皮膚潰瘍 (digital pitting scar) を来たし指尖陥凹瘢痕や手指短縮を来す。皮膚潰瘍は寒冷期に認めしばしば感染を併発し難治性となりやすい。

2)レイノー現象:
 レイノー現象は、寒冷刺激など急激な温度変化や精神的なストレスなどによって発作的に引き起こされる手指の血管攣縮である。短時間に蒼白から発赤まで症状の変化を認め、特に加温によって改善することがある。本症状は手指のみならず足や舌にも認めることがある。小児期SSc例の90%以上に認め、時に皮膚症状の発現の数ヶ月から数年前より先行することがある。

3)内臓病変:
 小児期SScにおける内臓病変はすべての臓器に線維化を来しうるが、特に肺と消化器に病変を起こす頻度が高い。また予後因子としては肺病変と心筋病変、腎病変(特に腎クリーゼ)が重要である。

4)自己抗体検査:
 小児期SScでは各種の自己抗体を認める。小児期SScでは抗トポイソメラーゼ1抗体の陽性率が90.9%と成人例に比べて高値である。また抗RNAポリメラーゼⅢ抗体も保険収載され、成人SSc症例では良好な特異度を示していることからも診断に有用である。これらの抗体価は疾患標識として有用であるが、疾患活動性には相関しない。

5)皮膚組織検査:
 SScにおいて皮膚所見は診断ならびに疾患活動性の評価として最も重要である。皮膚病変の半定量的な評価としてmodified Rodnan total skin thickness score(表)が用いられる。さらに皮膚病変の評価として皮膚組織検査が行われる。組織所見は検査を行う病期によって異なる。病初期の所見として真皮の中~下層の膠原繊維の膨化・増生とリンパ球などの炎症細胞浸潤を認める。

診断

治療

 小児期SScに対する治療法は、病因が明らかとなっていない現在、根本治療は確立されていない。一方、SScの病態が徐々に解明されるようになり、基本病態としての結合組織の慢性炎症と線維化に対する治療が可能となってきている。またSScでは様々な合併症を来たしこれらに対する対症療法も同時に行う。つまりSScに対する治療ストラテジーとして、線維化阻止を目的とした治療(グルココルチコイドとシクロフォスファミドなど免疫抑制薬)と臓器合併症の改善あるいは病勢進行阻止を目的とした対症療法(プロスタサイクリン、エンドセリン受容体拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤など)の2つを対象にして治療を進める。

予後

 成人SScの5年生存率は80~90%で、小児期SScでは89%と成人例とほぼ同様の数字となっている。小児期SScの死因として心不全、肺高血圧症、腎不全が多い。またSScの予後は、病状の進行や病型、内臓合併症の有無によって異なる。一方機能的予後因子として皮膚硬化による四肢拘縮や消化管合併症、不整脈、腎不全が挙げられている。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児リウマチ学会
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