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中枢性塩喪失症候群

ちゅうすうせいえんそうしつしょうこうぐん

Cerebral salt wasting syndrome

告示番 号68
疾病名中枢性塩喪失症候群
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疾患概念・定義

中枢神経疾患罹患時あるいは罹患後に、低ナトリウム血症を来すことがある。その主たる病因として、ADH不適切分泌症候群(SIADH)が挙げられる。SIADHでは、ADHが不適切に多く分泌されるため、水分貯留を来す。一方、尿中の塩排泄が亢進し、細胞外液が減少して低ナトリウム血症と脱水症を来した状態を、中枢性塩喪失症候群(CSW)と呼び、SIADHと区別している。
 SIADHでも、貯留した水分を排泄しようとして、尿中Na排泄が増加する。SIADHの診断に、尿中Naが20 mEq/lが含まれているのはこのためである。CSWはSIADHにおけるNa排泄がさらに亢進し、大量のNaを排泄しようとするために低Naが悪化する状態であり、SIADHの延長上にある病態であり独立した病態では無い、という考え方もある。しかしながら、体液量については水分過剰であるか、脱水であるかという逆の病態であり、治療法も異なるため、二つを区別することが臨床上はわかりやすい。

疫学

脳の器質性疾患、とくに成人ではくも膜下出血において比較的高率に認められるとされるが、小児でも脳腫瘍などの器質性疾患、特に視床下部下垂体腫瘍の術後に、一過性に認められることがある。脳の解剖学的異常(全前脳胞症など)や脳腫瘍術後に、CSW が慢性化することが、稀ではあるが認められる。

病因

交感神経の反応性低下が、腎におけるNa再吸収障害につながるという可能性、BNP や ANP の過剰分泌による直接、あるいはアルドステロン産生低下を介した作用の可能性が示唆されているが、明らかではない。

症状

脱水症状に加え、意識レベルの低下などを伴うことがある。脱水により低血圧や血液の濃縮が観察される。
通常、脳外科手術やくも膜下出血などの脳血管障害のイベント後、一週間から10日以内に発症するが、遅れて発病することもある。

治療

Na補充、脱水の補正。
基本的に、等張液で輸液するが、尿浸透圧が 300mOsm/kg を超える場合、高張液の投与を行う。
フルドロコルチゾンを使用することもある。

予後

慢性化したものは管理が難しく、不良となることが多い。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会
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