11

中枢性尿崩症

ちゅうすうせいにょうほうしょう

Central diabetes insipidus

告示番 号78
疾病名中枢性尿崩症
診断手引き、医療意見書等のダウンロードはこちら

概念・定義

下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンであるarginine vasopressin (AVP) の分泌低下により、腎集合管での水再吸収が障害され、低浸透圧尿が多量に排泄される病態である。

病因

先天性と後天性に大別されるが、多くは後者であり、胚腫・頭蓋咽頭腫などの脳腫瘍が特に頻度が高い。このほか、ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ球性漏斗神経下垂体炎、頭部外傷、髄膜炎などの中枢神経系感染症、外科手術等も原因となる。
先天性のものでは、AVP-ニューロフィジンII遺伝子異常や、 septo-optic displasia、全前脳胞症、下垂体低形成などの脳形成異常に伴うものがある。

症状

主症状は口渇、多飲、多尿(一日尿量 3L/m2以上 )である。特に冷水を欲しがることが特徴的である。夜尿で気づかれることもある。何らかの原因で水分摂取が不可能になると、著しい高張性脱水により、発熱、痙攣、意識障害などを呈する。また乳幼児では、体重増加不良や不明熱などの症状から診断されることも多い。

診断

検査所見としては低張性( 浸透圧 ≦200mOsm/kgH2O)の多尿(≧3L/m2 )が存在し、尿浸透圧は常に血漿浸透圧よりも低い。血清ナトリウム、血漿浸透圧は上昇していることがある。血漿中AVP濃度は低下しているが、判定には血漿浸透圧との対比が必須である。水制限試験で尿浸透圧の上昇がなく、バゾプレッシン投与にて著明に上昇する。高張食塩水負荷もAVP分泌の強力な刺激となる。頭部MRI 検査における、T1強調画像での下垂体後葉高信号の消失が特徴的である。

治療

AVPの誘導体である DDAVPの点鼻または口腔内崩壊錠による補充が治療の基本である。前者では、乳児 0.5~2.5µg、幼児以降1~10µg を1日2~3回使用する。後者では、通常60~120µgを1日1~3回服用する。
口渇中枢が正常で自発的に飲水行動ができる場合には、口渇感に従って自由に飲水をしてよい。乳児の場合は、DDAVPの効果が切れ多尿になってきたら十分に水分を与えることが重要である。

予後

長期予後は中枢性尿崩症の原因疾患により規定され、尿崩症自体はDDAVP投与により良好にコントロールできる。最初に特発性と診断された場合でも、後に脳腫瘍が発見される場合があるので、5年間はMRI をフォローすることが推奨される。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会
「小児慢性特定疾病の対象疾患について」に戻る