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成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものに限る。)

せいちょうほるもんぶんぴつふぜんせいていしんちょうしょう (のうのきしつてきげんいんによるものにかぎる。)

Growth hormone deficiency

告示番 号46
疾病名成長ホルモン(GH)分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものに限る。)
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概念・定義

成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)はGH分泌不全による低身長症で,その他の下垂体ホルモン[TSH、ゴナドトロピン(LH,FSH)、ACTHあるいはADH]の分泌不全を伴っていることもある(下垂体機能低下症)。

注:GHDの原因としては,器質的なものと特発性のものに分けられる。器質性GHDには頭蓋咽頭腫,胚芽腫など脳の器質異常、頭蓋照射の既往,骨盤位分娩・仮死・黄疸遷延などの周産期異常によって引き起こされ頭部MRI検査で下垂体茎離断、異所性後葉あるいは下垂体低形成をみとめる場合が含まれる。特発性GHDは成長ホルモン分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものを除く)で述べる。

病因

GHDの原因としては、器質的なものと特発性のものに分けられ、器質性GHDが約10%を占める。
器質性GHDは頭蓋咽頭腫、胚芽腫など脳の器質異常、頭蓋照射,骨盤位分娩・仮死・黄疸遷延などの周産期異常(頭部MRI検査で下垂体茎離断、異所性後葉あるいは下垂体低形成が認められる)に起因する。

疫学

頻度は、6~17歳の学童期で、1万人あたり、男児2.14人、女児、0.71人である。男女比は特発性2.2:1、器質性1.2:1で特発性は男児に多い。

臨床症状

GHDの病態は,成長率の低下であり、その結果低身長をきたす。重症型GHDで骨盤位分娩・仮死・黄疸遷延などの周産期異常の既往がある症例では、乳幼児期からの成長障害がみられ、低血糖などの症状を伴うことがある。一般に本症では、原因となる器質性疾患の発症以降に身長増加率が不十分となり、低身長が進行する。

診断

診断は、器質的な原因の証明、低身長(身長増加率の低下)とGH分泌不全を証明する事である。血中IGF1値の低値はGHDの可能性を示唆するが、診断にはGH分泌不全の証明が不可欠である。
GHDの診断基準は、問脳下垂体障害に関する調査研究班の「成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引き」で定められており、平成24年度に改訂された診断基準を診断の手引きに示している。①同性・同年齢の平均身長より2標準偏差(SD)以上下回っている成長障害あるいは身長増加率の低下、②脳の器質異常、頭蓋照射の既往、骨盤位分娩・頭部MRI検査で下垂体茎離断、異所性後葉あるいは下垂体低形成が認められ、インスリン負荷、アルギニン負荷、L-DOPA負荷、クロニジン負荷、グルカゴン負荷試験またはGHRP-2負荷試験のうち、1つ以上のGH分泌刺激試験で、GH頂値が低反応であった場合にGHDと診断される。

治療

GHDの治療は遺伝子組換えGH薬の皮下注射(0.175mg/kg/週)で、毎日あるいは週6回程度の注射が必要なため自宅での自己注射が認められている。短期的には身長増加を促進して、なるべく早く身長を正常化し、低身長に伴う心理社会的問題の解決を図り、長期的には成人身長の正常化を目標とする。しかし、脳腫瘍など原因となる疾患によっては、GH治療が再発・腫瘍増殖を促進する可能性が否定できず、数年間の経過観察の後にGH治療を開始する場合もある。GHだけでなく、他の欠乏しているホルモンの補償療法も必要な場合もある。

予後

GH分泌は加齢に伴って、直線的に減少するものの生涯分泌されており、体組成の維持あるいは動脈硬化危険因子の低減など、代謝調節因子の役割を果たしており、GHD患者の生命予後は健常人に比較して短いことが明らかになっている。これに対して成人GHDでもGH療法が認められている。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会
成長ホルモン療法の助成に関して
低身長を認め成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
成長ホルモン療法の助成に関しては下記を参照してください。
成長ホルモン療法の助成に関して
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