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エストロゲン過剰症(ゴナドトロピン依存性思春期早発症及びゴナドトロピン非依存性思春期早発症を除く。)

えすとろげんかじょうしょう (ごなどとろぴんいぞんせいししゅんきそうはつしょうおよびごなどとろぴんひいぞんせいししゅんきそうはつしょうをのぞく。)

告示番 号3
疾病名エストロゲン過剰症(ゴナドトロピン依存性思春期早発症及びゴナドトロピン非依存性思春期早発症を除く。)
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概念・定義

男性では女性化乳房をきたし、女性では巨大乳房、不正性器出血を呈する疾患で、血中エストロゲンの高値を認める。

病因・疫学

エストロゲンが高値を示す病態として①生理的なもの②外因性の薬剤によるもの③末梢のアロマターゼ活性の増加④エストロジェン産生腫瘍⑤hCG産生腫瘍がある。
① は新生児、思春期、老年期に起こる。母体由来の高いエストロゲン濃度により約60%の新生児乳児に乳腺の腫大がおこる。思春期には初期から2年ぐらいの正常男児の約40%に乳腺腫大を認める。テストステロン濃度が成人レベルに達すると自然に消失する。老年期になるとテストステロンが低下し副腎由来のエストロゲンが相対的に上昇することから生じる。
② はエストロゲンあるいはエストロゲンレセプターアゴニストの投与、外因性のエストロゲン、テストステロンやタンパク同化ホルモンなどアロマ化される男性ホルモン、マリファナ、アルコール、ヘロイン、ジゴキシン、アミオダロン、オメプラゾール、ラニチディンなどがある。
③ 遺伝性のものはアロマターゼ過剰症(aromatase excess syndrome)である。本疾患は男性では女性化乳房と低身長をきたし、女性では思春期早発症と巨大乳房、不正性器出血をなどをきたす疾患で、わが国では10家系20名の患者がいる。本症はエストロジェン合成酵素(アロマターゼ)遺伝子CYP19A1の変異により発症する常染色体優性遺伝性の単一遺伝子病である。全身の臓器組織でアロマターゼが過剰に発現し、血中のエストロジェンが上昇する。非遺伝性のアロマターゼ活性の増加には肥満症がある。
④ 副腎癌、精巣腫瘍(ライディッヒ細胞腫、セロトリー細胞腫、胚細胞腫)があり
⑤ hCG産生腫瘍は胚細胞腫、肺、肝臓癌などがある。

臨床症状

男性では女性化乳房をきたし、発症時期によっては低身長となる。女性では巨大乳房や不正性器出血を呈する。

診断

臨床症状がありかつ血中エストロゲンが高値がある。これに加えて病因疫学の関する項目を検討する。
① はそれぞれの時期に当たり、年齢と共に減少する。
② は薬剤の投与が認められ、薬剤を止めるか減量することで軽快する
③ アロマターゼ過剰症はCYP19A1の変異を検索する
④ 、⑤は精巣、副腎、肺、肝臓、腹部の超音波検査、CT検査、MRI検査などでで腫瘤の検索をおこなう

治療

原病の治療を行う。女性化乳房自体は良性の疾患であり、症状が軽い場合はそのまま経過観察するが、程度が強い場合、若年発症で低身長が予測される場合に治療を行う。内科治療として、アンドロゲン製剤、抗エストロゲン薬であるタモキシフェンやラロキシフェン、アロマターゼ阻害薬であるアナストロゾールなどがある。また男児で5cm以上の乳腺腫大で社会的精神的問題を生じる場合は外科的切除が行うこともある。

予後

原病により異なる。女性化乳房自体は良性の疾患である。アロマターゼ過剰症においてはアロマターゼ阻害薬で低身長や女性化乳房を予防することができる。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会
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