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副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)不応症

ふくじんひしつしげきほるもんふおうしょう

ACTH unresponsiveness

告示番 号87
疾病名副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)不応症
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定義・概念

副腎皮質刺激ホルモン(adrenocortocotropin)の刺激にも関わらず、副腎皮質より糖質コルチコイド、副腎アンドロゲンの分泌が障害され、副腎不全を起こす状態をいう。アルドステロン分泌は保たれている。

病因

本症の病態は副腎皮質のACTHに対する反応性の欠如、低下であるため、糖質コルチコイド、副腎アンドロゲンの分泌は低下するが、アルドステロン分泌は保たれる。さらに外因性のACTHに対する反応性が欠如する。
常染色体劣性あるいはX連鎖型劣性の遺伝形式をとる。先天性副腎皮質不応症あるいは単にACTH不応症、さらに家族性グルココルチコイド欠損症 (Familial glucocorticoid deficiency)とも呼ばれることがある。その病因は多様性に富むが、ACTH不応症の一部にACTH受容体をコードするMC2R遺伝子異常が同定される。またMC2R accessory protein (MRAP)の異常(MRAP遺伝子異常)も報告されている。MRAPは一回膜貫通型の蛋白であり、MC2Rと共に発現し、MC2Rの細胞膜表面への発現に必須である。しかしMC2R, MRAP遺伝子異常のみつかる症例はACTH不応症の50%以下であり、なお成因の見つからない症例も半数以上存在する。まれな病態としてAllgrove症候群 (Triple A症候群)は、ACTH不応症に、アカラシア、無涙症を合併する。この原因遺伝子はAAASで、546個のALADIN (Alacrima-Achalasia-aDrenaL Insifficiency Neurologic disorder)をコードする。この蛋白はWDリピート配列をもち、核細胞質間の物質の移動に関与すると考えられている

頻度

正確な頻度は不明である

症状・検査

新生児期に発症することは比較的少なく、大部分は乳幼児期に発症する。しかし年長児での発症もある。新生児期発症の場合は嘔吐、哺乳不良、痙攣、光線療法を有する新生児黄疸が見られる。乳幼児期には低血糖による痙攣、意識障害がをきっかけに診断される場合が多く、感染症がその誘因となることもしばしばである。ACTH過剰による皮膚色素沈着は生後1ヶ月ごろから徐々に目立つようになる。ACTH受容体異常の場合には治療前に高身長であり、糖質コルチコイド補充により正常化することが報告されている

治療

糖質コルチコイドの補充を行う。感染やストレス時の対応についても糖質コルチコイドの服用量を2-3倍、経口不可能な場合には、点滴、静注が必要である。このような指導の徹底を行う。通常糖質コルチコイド補充によっても血漿ACTHレベルの正常化は不可能である。ACTH正常化のために過剰投与にならないように注意する

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会
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