28

副甲状腺機能低下症(副甲状腺欠損症を除く。)

ふくこうじょうせんきのうていかしょう (ふくこうじょうせんけっそんしょうをのぞく。)

Hypoparathyroidism

告示番 号82
疾病名副甲状腺機能低下症(副甲状腺欠損症を除く。)
診断手引き、医療意見書等のダウンロードはこちら

概念•定義

副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌不全により発症するPTH分泌不全性副甲状腺機能低下症と、標的臓器のPTHに対する不応性により発症する偽性副甲状腺機能低下症に大別される。前者のうち原因の不明なものを特発性副甲状腺機能低下症とよぶが、責任遺伝子が明らかとなった副甲状腺機能低下症が増えている。副甲状腺機能亢進症および甲状腺機能亢進症の治療のために、副甲状腺あるいは副甲状腺を含む甲状腺を摘除した場合に、医原性に副甲状腺機能低下症が引き起こされる。PTH分泌は血清カルシウム値により調節されているが、この感知システムの過度の感受性はPTH分泌低下を伴い、副甲状腺機能低下症類似の病態を呈する。

疫学

まれ。22q11.2欠失症候群は1/4,000〜5,000出生の頻度で認められ、このうちの一部が副甲状腺機能低下症を呈する。

病因

① 奇形症候群に伴う副甲状腺の臓器発生の異常、②カルシウム感受性の異常、③免疫異常、④PTHの異常に大別できるが、いまだに病因不明の特発性もある。奇形症候群などに合併する副甲状腺臓器発生の異常としては、22q11.2欠失症候群、HDR症候群(Barakat症候群)Kenny-Caffey症候群などがある。

症状

低カルシウム血症、高リン血症、PTH低値、テタニー、痙攣など。奇形症候群に伴うものでは、それぞれ特徴的な異常を伴う。

治療

副甲状腺機能低下症の治療における目標は、血清カルシウム値を上昇させることにより、急性低カルシウム血症の症状を緩和し、慢性の低カルシウム血症および高カルシウム尿症による合併症を予防することである。現在のところ、治療の中心になるのはビタミンD製剤である。低カルシウム血症によるけいれん、テタニー、喉頭けいれんなどの症状が認められる場合、あるいは血清カルシウム値が7 mg/dl以下の時は8.5%グルコン酸カルシウムを緩徐に静注する。血清カルシウム値の急速な変動により、心悸亢進、徐脈などの不整脈がおきる可能性があるため、カルシウム静脈内投与時は、心電図モニターが必須である。

予後

短期的には低カルシウム血症を来さないようにビタミンD投与を基本とする治療を行えば問題は無い。時に過剰なビタミンD投与により、尿路結石、腎機能低下、異所性石灰化が問題となる。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会
「小児慢性特定疾病の対象疾患について」に戻る