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心房細動

しんぼうさいどう

Atrial fibrillation

告示番 号46
疾病名心房細動
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概要

心房が無秩序高頻度に興奮する不整脈で、僧帽弁閉鎖不全、先天性心疾患術後など心房筋に負担が生じる場合に発生しやすい。小児や若年者において基礎心疾患のない孤立性心房細動は極めて稀である。洞調律に戻らなければ直流通電する。頻回の場合や持続性のものは薬物治療の適応となる。予後は、基礎疾患によって規定される。慢性のものは、血栓塞栓症が合併すると予後不良である。

病因

小児や若年者において、基礎心疾患のない孤立性心房細動は極めて稀で、通常は基礎心疾患があって心房負荷や心房拡大・線維化等を伴っているなど病的な心房においてみられる。したがって、病歴や検査を通して背景にある基礎疾患を明らかにすることが重要である。心房細動をきたしやすい疾患は、僧帽弁疾患、心筋症による心不全(とくに肥大型心筋症)、右房拡大を伴ったFontan術後例、甲状腺機能亢進症、高血圧等があげられる。孤立性心房細動は、主に肺静脈を起源とする速いレートで発火する局所からの電気的興奮と関連していることが知られているが、20歳未満の小児・若年者においても肺静脈起源が最も多く、他に左房・crista terminalisなどを起源とするものがある。遺伝性心房細動が家族性不整脈・突然死・けいれん等の原因となるという報告もある

疫学

特発性のものは極めて稀である。ただし先天性心疾患術後例では、遠隔期に発生することが知られている

臨床症状

心房細動自体は脈の不整以外はあまり症状を認めないが、心房収縮を認めないため、心房内に血栓を生じやすく、脳梗塞などの塞栓症状が出現することがある

診断

【心電図】
心電図では基線に細かいゆれ(f波)を認める。

治療

1) 心室レートコントロール:心機能低下がある場合はジギタリスが薦められるが、慢性心不全でカテコラミンが増加してコントロールが不十分な場合は、少量のβ遮断薬の併用も有用である。
2)電気的除細動:電気的除細動は即効性で9割近い洞調律復帰が期待できる。
3)薬物療法
a. 基礎心疾患を有さない孤立性心房細動
心房細動の持続時間により薬剤の効果が異なる。①発作性心房細動;心房細動の持続が7日以内の発作性心房細動ではNaチャネル遮断薬が停止に効果的で、イオンチャネルからの解離速度の遅いslow drugsの除細動効果が高い。これに相当するのはジソピラミド・シベンゾリン・ピルジカイド・フレカイニド・プロパフェノンなどである。②持続性心房細動;心房細動が7日以上持続しリモデリングの進行した心房では、Naチャネル遮断薬の効果が低く、心機能低下例では副作用を呈しやすい。稀に催不整脈作用をおこす等の問題点がある。持続性心房細動には、レートコントロールを第一選択とすることが妥当とされている。最近の研究では、アミオダロン・ベプリジル・ソタロールなどのmulti-channel blockerが持続性心房細動の停止に効果があることが示されているが、その作用機序についての結論はでていない。さらに、これらは保険適応が認められていないため、使用に制限がある。
b. 基礎心疾患を有する心房細動
基礎疾患のある場合は、まずその原因を改善する治療を検討する。肥大心や不全心ではアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬などの使用を検討する。僧帽弁閉鎖不全にたいする僧帽弁形成術や僧帽弁置換術などの手術・Fontan術後の巨大右房にたいする両大静脈肺動脈吻合術への変換(TCPC conversion)など外科的治療についても検討する。次にレートコントロール治療が薦められるが、症状が強い場合には洞調律維持が必要となる場合がある。不全心では心房細動がしばしばマクロリエントリーにより生じており、Kチャネル遮断薬の効果が期待される。薬としてはアミオダロン・ソタロール(不全心を除く)・ベプリジルが相当するが、現在心房細動に対する保険適応が認められているのは、肥大型心筋症におけるアミオダロンと、持続性心房細動にたいするベプリジルだけである。アミオダロンは心房細動を合併した心不全の洞調律復帰や、慢性心不全の心房細動新規発生の予防に有効であったと報告されている。
4)抗凝固療法:塞栓症を起こしやすい危険因子を持っている場合は、原則としてワルファリンを投与する。危険因子には、塞栓・血栓症の既往、弁膜症、心不全、高血圧などがある。プロトロンビン時間でINR2.0〜3.0を目標とするが、機械弁の場合は2.5〜3.5にする

予後

予後は、基礎疾患によって規定される。慢性のものは、血栓塞栓症が合併すると予後不良である

参考文献

1. 長嶋正實他.小児不整脈改訂2版. 診断と治療社2011

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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