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心房粗動

しんぼうそどう

Atrial flutter

告示番 号47
疾病名心房粗動
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概要

心房内のマクロリエントリーであり、通常型では三尖弁周囲を反時計回転方向もしくは反時計方向に,非通常型ではそれ以外の回路を利用する.通常型は上大静脈,分界稜、下大静脈、Eustachian弁、冠静脈洞が解剖学的障壁となり、その外側がリエントリー回路となる.緩徐伝導はないが,下大静脈─三尖弁輪峽部(cavo-tricuspid isthmus: CTI)が共通の回路である.器質的心疾患を持たない例の発生頻度は極めて少ない。新生児期に限定して認めることがある。1:1房室伝導をきたすと失神、突然死を起こす可能性がある。長期に心房粗動が続くと、心筋症(心機能不全)、血栓、塞栓症の原因となりうる。薬物治療、カテーテル治療が施行される。

病因

器質的心疾患を持たない例にも稀に発生する。心房切開、心房内パッチ閉鎖を必要とする先天性心疾患術後には発生することが多い。特にFontan術後、Mustard術後、Senning術後、Fallot四徴症術後に多い

疫学

器質的心疾患を持たない例の発生頻度は極めて少ない。新生児期に限定して認めることがある。MustardまたはSenning術後の患者で、著明な徐脈合併例では33%に心房粗動を合併する

臨床症状

1:1房室伝導をきたすと失神、突然死を起こす可能性がある。通常は2:1〜4:1の房室伝導であり、運動、日常の動作、感情の高ぶりなどにより頻拍となり、動悸を訴える。心房粗動が停止すると、洞結節機能低下を合併する例では洞停止となり、失神、めまいの原因となる。また、長期に心房粗動が続くと、心筋症(心機能不全)、血栓、塞栓症の原因となりうる。
心内大血管奇形を合併しない本症 (isolated corrected TGA) では成人期まで無症状である

診断

【診断基準】
240/分以上の規則正しい粗動波(F波)を認める上室頻拍で、F波間に等電位線を認めないもの

治療

頻拍の停止:心不全やショック(血圧低下)をきたしている場合など不安定な血行動態では静脈麻酔後、心電図R波に同期してDC(1J/kg: 成人では50J)により速やかに粗動を停止させる。
血行動態が安定している場合には、心室レートが100/分以上ではまずレートコントロールを目的として房室結節を抑制する薬物(β遮断薬・ジゴキシン・ベラパミル・ジルチアゼム・ベプリジル)を投与する。2歳以下ではCaチャネル遮断薬は心血管系の虚脱をきたすことがあるため投与に注意する。
頻拍の予防:
1)第一選択としては心房筋の不応期延長を目的として中等度以上のKチャネル遮断作用を持つ薬物を選択する。静注薬ではプロカインアミド・ニフェカラント、経口薬ではプロカインアミド・キニジン・ベプリジル・ソタロールなどである。第二選択は峡部緩徐伝導の抑制を目的とし解離速度の比較的遅いNaチャネル遮断薬(intermediate ~ slow drug) を用いる
2)経食道ペーシング:経食道ぺーシングによるオーバードライブペーシングは心房レートの25%以上速いレートで施行する。侵襲が少なく、無麻酔下での施行が可能(軽い鎮静があったほうがスムーズであることもある)な点より多くの例に試みることができる方法である。
3)心房粗動にたいするカテーテルアブレーションは有効性が高く比較的安全に施行できる

予後

洞機能不全を合併する例ではペースメーカ植込みが必要である。薬物治療、カテーテル治療で、一般的に治療後予後は良好と考えられる

参考文献

1. 長嶋正實他.小児不整脈改訂2版. 診断と治療社2011

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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