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ベラパミル感受性心室頻拍

べらぱみるかんじゅせいしんしつひんぱく

Verapamil sensitive ventricular tachycardia

告示番 号33
疾病名ベラパミル感受性心室頻拍
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概要

左脚後枝領域を利用するリエントリーによる心室頻拍。左脚後枝近傍の部位にslow conductionを起こす部位が存在する。左室内に存在するfalse tendonがリエントリー回路のslow conductionをおこす部位である可能性もある。治療は、薬物治療か、カテーテル治療を行う。高周波カテーテルアブレーションが成功した場合には、健常成人と予後は変わらないと考えられるが、長期予後の観察が必要である。

病因

左脚とその周辺に存在するslow conductionをもつ組織(左室内に存在する偽腱索もその組織として疑われている。)の間で発生するリエントリーと考えられている

疫学

頻度ははっきりしていない。小児の心室頻拍の中では、流出路型心室頻拍についで多く、流出路型:ベラパミル感受性=4:3の割合である

臨床症状

動悸が主な症状である。長期に持続すれば、頻拍誘発性心筋症となる。失神、突然死を起こす例は稀である

診断

【診断基準】
① 心房刺激で誘発される
②右脚ブロック、左軸偏位型のVTである
③器質的心疾患がない
④ベラパミル投与で停止する
【心電図】
右脚ブロック、左軸変位型の心室頻拍を認める。房室解離は認める場合も、認めない場合もある

治療

頻拍の停止:Caチャネル遮断薬(ベラパミル)静注でほとんど停止する。効果がなければβ遮断薬や解離の遅いNaチャネル遮断薬・(slow drug)(ジソピラミド,フレカイニドなど)を静注する。
頻拍の予防:
1)Caチャネル遮断薬の投与を行なう。β遮断薬の投与も併用することがある。
2)高周波カテーテルアブレーション
推奨クラスI
1.症状を有する特発性心室頻拍で薬物治療が無効または副作用のため使用不能または患者が服薬を望まない場合。
2.植込み型除細動器植込み後に除細動通電が頻回に作動し,薬物治療が無効または副作用のため使用不能な心室頻拍
推奨クラスIIa:
1.症状を有する基礎心疾患に伴う単形性持続性心室頻拍
2.クラスIと考えられる乳幼児症例

予後

比較的良好である。高周波カテーテルアブレーションが成功した場合には、健常成人と予後は変わらないと考えられるが、長期予後の観察が必要である

参考文献

1. Nogami A, Naito S, Tada H, et al: Demonstration of diastolic and presystolic Purkinje potentials as critical potentials in a macroreentry circuit of verapamil-sensitive idiopathic left ventricular tachycardia. J Am Coll Cardiol. 2000;36:811-23.
2.Fukuhara J, Sumitomo N, Nakamura N, Ichikawa R, Matsumura M, Abe O, Miyashita M, Kanamaru H, Ayusawa M, Karasawa K, Mugishima H. Electrophysiological characteristics of idiopathic ventricular tachycardia in children. Circ J 2011;75: 672-6

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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