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カテコラミン誘発多形性心室頻拍

かてこらみんゆうはつたけいせいしんしつひんぱく

Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia; CPVT

告示番 号32
疾病名カテコラミン誘発多形性心室頻拍
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概要

カテコラミン誘発多形性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia: CPVT) は、運動や情動の変化、あるいはカテコラミン投与で、二方向性あるいは多形性の心室頻拍が誘発され、心室細動に移行して失神、突然死を起こす致死的不整脈の一つである。極めて稀な疾患。リアノジン受容体RyR2 やcalsequestrin 2 (CASQ2)の遺伝子異常が報告されている。これらの異常により、筋小胞体から大量のCa2+放出がおこり、トリガードアクティビティーを機序とする心室頻拍が起こるとされている。薬剤投与を行なわなかった場合極めて不良である。薬剤治療を行なっても10年で15から40%死亡すると報告されている。

病因

CPVTは常染色体優性遺伝例では1q42-q43 に存在するリアノジン受容体RyR2の遺伝子異常が、常染色体劣性遺伝例では1p11-p13.3に存在するcalsequestrin 2 (CASQ2)遺伝子異常が発見された(8, 59~61)。これらの異常により、筋小胞体から大量のCa2+放出がおこり、トリガードアクティビティーを機序とする心室頻拍が起こるとされている

疫学

極めて稀である。全世界でも1000例くらいの報告しかない

臨床症状

失神、突然死をおこす

診断

【診断基準】
1.器質的心疾患を認めず、心電図が正常な40歳未満の患者で、運動もしくはカテコラミン投与により、他に原因が考えられない二方向性心室頻拍、多形性心室頻拍、多形性心室期外収縮が誘発されるもの。
2.発端者もしくはその家族に、CPVTに関連する遺伝子異常を認めるもの。
3.発端者の家族に、心疾患を認めないにも関わらず、運動により多形性心室期外収縮、二方向性心室頻拍もしくは多形性心室頻拍が誘発されるもの。
4.器質的心疾患、冠動脈疾患を認めず、心電図が正常な40歳以上の患者で、運動もしくはカテコラミン投与により、他に原因が考えられない二方向性心室頻拍、多形性心室期外収縮、多形性心室頻拍が誘発されるもの。
1、2、3は確定、4は疑い

治療

頻拍の停止:β遮断薬やATP、ベラパミルを使用する。
頻拍の予防:β遮断薬(プロプラノロール、アテノロール)、Caチャネル遮断薬(ベラパミル), フレカイニドが使用される。ICDの適応も考えられているが、頻回作動の危険性も報告されている。星状神経節ブロックの有効性も報告されている

予後

薬剤投与を行なわなかった場合極めて不良である。薬剤治療を行なっても10年で15から40%死亡すると報告されている

参考文献

1. Leenhardt A, Lucet V, Denjoy I, et al. Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia in children. Circulation 1995;91:1512-1519.
2. Sumitomo N, Harada K, Nagashima M, et al. Catecolaminergic polymorphic ventricular tachycardia: electrocardiographic characteristics and optimal therapeutic strategies to prevent sudden death. Heart 2003;89:66-70.

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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