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6及び7に掲げるもののほか、上室頻拍

そのた、じょうしつひんぱく

Supraventricular tachycardia

告示番 号28
疾病名26及び27に掲げるもののほか、上室頻拍
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概要

房室結節およびその周囲の心房筋を介するリエントリー性頻拍で,伝導速度が速い速伝導路(fast pathway)、伝導速度が遅い遅伝導路(slow pathway)、伝導速度が非常に遅い伝導路(super slow pathway)が頻拍に関与している。Slow-Fast型の房室結節リエントリー頻拍は房室結節リエントリー頻拍の80%以上を占める。この型は、right posterior extensionが順行性(心房から心室側への伝導)の遅伝導路と言われており、ここを伝導した興奮が房室結節を介してleft posterior extensionへ伝導する。この興奮は、左房と冠静脈洞間のmuscular connectionを介して冠静脈洞へ伝導し、冠静脈洞内の筋性組織を介して冠静脈洞入口部に興奮が伝導し、ここからright posterior extensionへ興奮が伝導することにより、リエントリー回路が形成される。速伝導路は、房室結節もしくはleft posterior extensionの一部と考えられる。また、遅伝導路から房室結節へ伝導した興奮が、Koch三角の右房側を伝導するとの説もある。新生児、乳児での発症は少なく、幼児、学童、思春期にかけて頻度は増加する。高周波カテーテルアブレーションの適応は、失神などの重篤な症状や、軽症状でもQOLの著しい低下を伴う頻拍発作の既往がある場合、または、頻拍発作があり,薬物治療が無効または副作用のため使用不能または患者が望まない場合である。

病因

房室結節およびその周囲の心房筋を介するリエントリー性頻拍で,伝導速度が速い速伝導路(fast pathway)、伝導速度が遅い遅伝導路(slow pathway)、伝導速度が非常に遅い伝導路(super slow pathway)が頻拍に関与している。

疫学

新生児、乳児での発症は少なく、幼児、学童、思春期にかけて頻度は増加する。成人での報告では女性が多いと言われている。正確な発症頻度はわかっていない。

臨床症状

動悸が主な症状である。

診断

【心電図】
房室結節の遅伝導路を順伝導、速伝導路を逆伝導する上室頻拍で、頻拍中の心電図の特徴は、
1.幅の狭いQRSの頻拍
2.QRSの後半もしくはQRSの中に逆伝導のP波を認める

治療

頻拍の停止:Caチャネル遮断薬、β遮断剤あるいはATP急速静注が有効である。
1) 中等度以上の心機能低下を示す場合には、第一選択としてジゴキシンが選択される。
2) 心機能低下は軽度もしくは正常の場合、ジゴキシン、β遮断薬、ベラパミルが用いられる。
3)迷走神経刺激:迷走神経刺激を行うことにより上室頻拍を停止できる。氷水で満たしたビニール袋を患児の前額部にあてる。このとき気道閉塞に注意し行うことが重要である。10秒から15秒を目安に行う。患者の状態が安定していれば1回目の施行が不成功でも再度試みてよい。ただし2回施行後、効果がなければ別の方法を考える。迷走神経刺激を行う際には心電図をモニターすることが重要である。

頻拍の予防:
1)高周波カテーテルアブレーション
クラスI
1.失神などの重篤な症状や軽症状でもQOLの著しい低下を伴う頻拍発作の既往がある場合
2.頻拍発作があり,薬物治療が無効または副作用のため使用不能または患者が望まない場合
クラスIIa
1.頻拍発作の心電図が確認されているが,電気生理検査で頻拍が誘発されず二重房室結節経路のみが認められた場合
2.他の頻拍に対するカテーテルアブレーション治療中に偶然誘発された房室結節リエントリー性頻拍

予後

高周波カテーテルアブレーションが成功した場合には、一般の正常人と予後は変わらないが、経過観察の必要がある。

参考文献

1. 長嶋正實他.小児不整脈改訂2版. 診断と治療社2011
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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